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「いい人」の皮を被った私たちが、無意識に「椅子」を奪い合う理由


「君って、本当にリーダーシップがあるよね」

これまでの人生で、何度この言葉を投げかけられてきただろうか。部長、ゼネラルマネージャー、プロジェクトリーダー。組織の階段を上がるたび、私は周囲からの信頼という名の「免罪符」を手に入れてきた。

でも、心の奥底ではずっと気づいていた。
私がリーダーの椅子を欲しがるのは、組織を良くしたいからでも、仲間を導きたいからでもない。もっとドロドロとした、名付けようのない「暗闇」が私を突き動かしているのだと。

最近、ある心理学の研究を目にして、点と線がつながった。
「ダークトライアド」。
サイコパシー、マキャベリズム、ナルシシズム。これまでひとまとめに「悪人の素質」だと思われていたこれらの特性が、実はもっと細かく、そして驚くほど巧妙に私たちのキャリア選択に組み込まれているという話だ。

今日は、私の「黒い履歴書」を告白しようと思う。

1. 誰よりも冷静な「冷酷さ」が、私をトップに押し上げた

研究によれば、サイコパシーは「大胆さ」「冷酷さ」「衝動性」に分解されるという。
私の場合、それは「大胆さ」という名の仮面として現れた。

数年前、大規模なリストラを伴うプロジェクトの責任者を任されたことがある。同僚たちが「長年一緒に働いた仲間を切るなんて……」と涙を流し、精神を病んでいく中で、私は驚くほど冷静だった。
いや、冷静というより、どこか「他人の不幸」をチェスの駒が盤上から消える程度にしか感じていなかったのだ。

会議室で淡々とクビを宣告する私を見て、上司は「プレッシャー下でも揺るがない、真のリーダーだ」と絶賛した。
だが、それは勇気ではない。ただの「共感性の欠如」だ。他者の痛みを想像できないからこそ、私は誰よりも早く、迷いなく決断できた。この「大胆さ」が、私を医療や経営といった、一歩間違えれば誰かを壊しかねないシビアな分野へと引き寄せた。

2. 人を信じないからこそ、支配に惹かれる

次に、マキャベリズムの話をしよう。
この特性は「人間を疑い深く見る傾向」と「他者を操作する傾向」に分けられる。

私は幼い頃から、人間を信じていなかった。「人は放っておけば怠けるし、隙があれば裏切る」という歪んだ人間観が、私のOS(基本ソフト)だった。
面白いことに、研究ではこの「疑い深さ」を持つ人ほど、リーダー職に強く惹かれるという結果が出ている。

なぜか?
それは、「自分がコントロールしていないと不安だから」だ。
他者を信頼できないからこそ、自分が一番高い場所に立ち、ルールを作り、監視する立場にいたい。マネジメントという名目で他者の行動を縛ることに、私は歪んだ安堵感を覚えていた。

「君の管理体制は完璧だね」と言われるたび、私は心の内で嘲笑っていた。それは完璧なのではなく、単なる私の「人間不信」の現れに過ぎないのに。

3. 「賞賛」という麻薬と、クリエイティビティの罠

最後の一つ、ナルシシズム。
これは「賞賛を求める側面」と「競争的な側面」を持つ。

かつて私は、クリエイティブな企画を次々と打ち出すことで有名だった。周囲はそれを「才能」と呼んだが、本質は違った。私はただ、「スポットライトを浴びていないと死んでしまう病」にかかっていただけだ。

自分のアイデアが採用され、誰よりも目立ち、他者を圧倒する。
研究でも、ナルシシズム的な傾向は「創造的表現」への関心と結びつくとされている。美しく、斬新な何かを生み出す動機が、「純粋な好奇心」ではなく「他者からの拍手」である場合、それは暗黒特性の裏返しなのだ。

組織という名の「怪物」の正体

この研究を読んで、私は背筋が凍る思いがした。
なぜなら、現代の組織構造そのものが、こうした「ダークな性格」を持つ人間をリーダーとして選別し、歓迎するようにできているからだ。

大胆で冷酷な決断ができる人(サイコパシー的側面)

人を疑い、システムで制御しようとする人(マキャベリズム的側面)

目立ちたがり屋で、競争に勝とうとする人(ナルシシズム的側面)

これらはビジネスの世界では「有能なリーダーの条件」として語られがちだ。
しかし、その裏にある動機は、高潔な志などではない。単なる「支配欲」や「自己愛」の変形なのだ。

もちろん、全てのリーダーがそうだとは言わない。
けれど、もしあなたが今、「なぜか無性にリーダーになりたい」「人の上に立って影響を与えたい」と強く願っているのなら、一度胸に手を当てて考えてみてほしい。

それは、組織を救いたいという「光」の動機だろうか?
それとも、あなたの内側に潜む「闇」が、自分を正当化できる場所を求めているだけなのだろうか?

終わりに

私は今、あえてリーダーの椅子を降り、裏方の仕事に徹している。
自分の内なる「黒い衝動」を自覚したとき、それを無理に抑え込むのではなく、正しく「飼いならす」必要があると感じたからだ。

暗黒特性は、決して「悪」そのものではない。
それは強烈なエネルギーであり、使い道を間違えなければ、社会を動かすエンジンにもなり得る。
大事なのは、自分の内側にあるドロドロとした欲望を、「リーダーシップ」という綺麗な言葉でラッピングしてしまわないことだ。

もし、あなたの周りに「やけに自信満々で、他人の痛みに疎く、それでいて魅力的なリーダー」がいたら、少しだけ観察してみてほしい。
彼らは、自分でも気づかないうちに、内なる暗闇に突き動かされているだけかもしれないのだから。

あなたのリーダー志向、その裏にあるものは、一体何ですか?

(あとがき)
この記事は最新の心理学研究をベースに、私自身のこれまでのキャリアを振り返り、自戒を込めて執筆しました。ダークな性格は「ひとまとめ」ではなく、私たちの日常の選択に深く根ざしています。皆さんの身近な「リーダー像」を考え直すきっかけになれば幸いです。

読んでいただき、ありがとうございました🌸

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