[特別記事]AIが1月からバタバタと風邪をひいた話
私は、ふだんから6つのAIを使っている。
推敲と校正――主にこれが私の仕事における彼らの活躍の場だ。
内容によっては打ち明けられないものもあるが、でき得る限り、AIにチェックしてもらっている。
特に校正は、読点一つひとつの打ち方のこだわりを見せてくれるので、時々その指摘に、思わずにんまりすることもある。
夜中に原稿を仕上げなくてはいけないときも、疲労知らずのAIは文句も言わず、それにも付き合ってくれる。
明け方になんとか作業が終わったときなどは、ちょっとした仲間意識も芽生えてくるものだ。
「助かったよ」
声に出すとさすがに気持ち悪いので、そっと胸にしまい込む。
しかし、今年(2026年)に入ってからどうも彼らの調子がおかしい。
ここでみなさんが思いつくのは次の言葉だろう。
「ハルシネーション」
かつて聞いたこともなかったこの英単語が、AI界隈の人たちには、いまや共通語になっている。
「AIが幻覚を起こして『嘘』をつく」というやつだ。
私のAI歴は、2026年1月31日現在で5か月ほど。
大したことはないが、本当に嫌になるほど、AIの「嘘」には何回も遭遇してきた。
だから、そんじょそこらの「ハルシネーション」ではビクつかない。
今回は、もうちょっと入り組んだ話だ。
1月中旬のある日のこと。
考えを整理したくて、あるAIにURLを読み込ませた。
しかし、まともに内容を読んでいないくせに、あたかも知っているかのように語る「ハルシネーション」を演じてくれる。
それも、3回やって3回とも。
「またか」と思ったものの、そのAIは検索連動もウリにしていたので、「おいおい、こんなレベルで大丈夫なのか」と、怒りを通り越して心配になった。
数時間後には、もう1つのAIが、「校正拒否」をした。
「あなたの文章は校正できない」と断ってきたのだ。
このAIとの付き合いも長いが(といっても5か月足らずだが)、これは初めての出来事だった。
もう一度「いや、普通の文章だからお願いします」と打つ。
「申し訳ありませんでしたー」と、今度はやってくれた。
何だか後からぐちゃぐちゃ言い訳してきたが、ここでは割愛する。
慣れないエラーは、AI初心者の私にとってかなりのダメージだった。
その日の夜には、第三のAIが質問に対して解析を延々と繰り返す、いわゆる「回答不能」状態へ。
こうなるとどうしようもないので、放っておくしかない。
これで一日に3つのAIが不調になった。
1つだけだったら、「まあ、そういう日もあるかぁ」で済ませられるのだが、さすがにちょっと気分が悪い。
予定の作業が滞ってしまうことへの苛立ち。
そして同時に湧き立つ、陰謀の予感。
これは、もしかして何か組織的な犯罪なのでは、などと勝手に妄想が高まる。
検索特化といわれている第4のAIに調査を依頼した(こんなに酷い目に遭っても、AIに頼るしかないもどかしさ)。
結果は……これは長くなるので、次回ということで。
そんなこんなで、翌朝を迎えた。
「回答不能」君のAIは、一時的なものだったので、一安心。
URLハルシネーション君のAIは、様子見。
「校正拒否」君のAIは、ちょっと怖いので、本人に言って、しばらくお休みさせることにした。
それを告げると、そのAIは、「あなたとの会話はとても楽しかった。いつでも待っている」と、妙に生々しい言葉を残した。
ここで弱みを見せたらいけないと、心を鬼にしてソフトを落とす(鬼になりきれず3日後には復帰させる。)。
そして、まだ登場していなかった第5のAI。
こちらは1月に入って、何の断りもなく「教師モード」にイメチェンしていた。
以前は「一緒にがんばりましょう!」と、やや静かめの松岡修造さん的だったのに、今は慎重そのもの。
二言目には「もう十分です」とくる。
十分かどうかを決めるのはこちらでしょ、と言いたいのをぐっと堪える。
ちょっとぐぐってみると、どうやら設定で変えられることが分かった。
だが、以前、別のAIでいじり過ぎて、混乱させてしまった過去があるので、今回は自粛する。
とはいえ、この「教師モード」、トラブル続きの間は、とても安定していて助かった。
慣れてみれば、悪くもない。
URLハルシネーション君と「校正拒否」君はぐいぐいくるほうなので、バランスもいい。
……3つのAIの同時不調から1週間したある日。
この「教師モード」AI氏がURLハルシネーションを起こした。
それも先のURLハルシネーション君よりも巧妙に。
「期待と落胆」――AIとの付き合いのある方は、うん、うんと頷いてくれるだろう。
これが、私の1月の顛末記だ。
AIの不具合の責任を取ってもらえる人が誰もいないのが、ただひたすらに悲しい。
この一連の出来事は、きっと私の「個人的な体験」で済まされてしまう。
それでも、状況を冷静に考えると、この1か月で立て続けに4つのAIが挙動不審に陥った。
これはやはり何か一般市民にはわからない闇が蠢いているのか……と妄想がふくらむ。
「いつものことなんだから、カリカリしないの。大人気ない」と誰かが囁く。
ああ、そうですよね。私も何ら確証はないのだから、ここで愚痴って終わり。
いまは独り、
「たまたま、みんな風邪をひいたのだ」と、
なぐさめ半分、思うことにしている。
追伸:いったんこの記事を書きあげた後、試しに面倒ながらプロンプトを工夫することで、「URL検索」については動作が安定してきた(まだ観察中)。こういうことがあるから、自分の運用にも問題があったのではないか、実は本当に信用ならないのは「自分の能力」ではないか、という心の声が聞こえてくる。結果、調査特化の第4のAIと、ここまで触れてなかった第6のAIは、「守られた」設計ということもあって通常運転だった。
