見出し画像

ワードローブを見直して気づいた。名作でも足に合わない靴はある

名作と呼ばれる靴でも、誰にでも合うわけではない。
今回、新たな一足として検討を重ねた末に、パラブーツのランス(REIMS)を見送る決断をした。

もともと自分のワードローブはスニーカーが中心だ。そこに革靴を加えるなら、最初の一足は何がいいか。導き出した答えは、ストレートチップのような硬い靴ではなく、ローファーだった。カジュアルに合わせやすく、スニーカーからの移行もスムーズだと感じたからだ。

候補の筆頭は、パラブーツのランス。厚みのあるラバーソールの実用性、雨を厭わない堅牢さ、そして定番としての完成度。今のライフスタイルにこれほど馴染む靴はないと思えた。

実際に店舗へ足を運び、試着を繰り返した。
まずはメンズの最小サイズであるUK5(23.5cm相当)を試したが、自分には大きく感じた。そこで、ユニセックスに展開されている同ブランドの特性を活かし、レディースモデルも選択肢に入れた。

ちなみに、ランスのレディース版は「オルセー(ORSAY)」と名称が変わる。デザインはほぼ同一だが、女性の足型に合わせた木型が採用されているモデルだ。今回はORSAYの在庫がなかったため、代替として近いモデルであるORSAYTIのUK4を試着した。

パラブーツの公式表記では、ランスのUK5とオルセーのUK4はいずれも23.5cm相当とされている。だが実際に履き比べてみると、そのフィット感にははっきりとした差があった。

最終的にUK4が「ほぼジャスト」という感触までは辿り着いた。
しかし、それでもわずかに踵が浮く。一方で、さらに下げたUK3.5も試している。こちらは足入れ自体は可能だったが、明確にタイトで余裕がない。夕方のむくみを考慮すると現実的ではなく、革が馴染むことに期待するのはリスクが高いと判断し、候補から外した。

試着時はかなり薄手の靴下を履いており、これ以上タイトに調整する余地がない状態だ。

店員の方からは「履き込めばソールの返りが良くなり、踵の抜けは軽減される」とアドバイスをいただいた。確かにその通りだろう。けれど、それはあくまで「緩和」であって、根本的な不一致が消えるわけではない。

ローファーは構造上、紐靴以上に踵のフィット感が命だ。ここを妥協すると履き心地が悪くなるだけでなく、次第に玄関でその靴を手に取る回数自体が減ってしまう。

実際、手持ちのワラビーも「少し緩い」と感じ始めてから、自然と履く頻度が落ちてしまった。その苦い経験がある以上、同じ違和感を抱えたまま高価な一足を購入するべきではないと判断した。

ランスは間違いなく、魅力的で力強い一足だ。
ただ、今回の試着を通して、私にとっては「ほんの少しだけ、縁がなかった」という結論に至った。

革靴は、価格的にも、付き合う年数的にも、気軽に妥協できるものではない。特にサイズ選びがシビアなローファーは、調整前提で選ぶと、その靴本来の良さを損なってしまうこともある。

今回あらためて学んだのは、同じ「23.5cm」という表記であっても、モデルや男女の木型の違いによって、フィット感は全く別物になるということだ。

「欲しい」という情熱と、「合っている」という事実は別物。
だからこそ今回は、胸を張って“買わない”という選択をした。

これは決して後ろ向きな諦めではない。
いつか、心から納得して歩き出せる「真の一足」に出会うための、前向きな一歩だと思っている。

いいなと思ったら応援しよう!