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【マロニエの木の下で】二十四章 最終章(今)

 あなじ風が通り過ぎた後、三人はクスノキの木の下にいた。
「怖かったね」慎也は二人を抱き寄せていた手を下ろしながら言った。
綾の目には涙が溜まっていた。
「今の風は何だろうねパパ」
「う~ん、強かったね、季節風かなあ」と言いつつ亜希子の頭に付いた枯れ葉を取った。
ペルが足元に走り寄って来て3人の周りを駆け回った。

「お茶にしましょうか」と亜希子が言い3人は家に入った。
亜希子がホットミルクを作っている間に、綾はペルに犬用のビスケットをあげていた。
「あと一つだけですよ」と言っても何度もお手をするペルに綾は困り果てていた。
二人はその光景を見守りながらコーヒーを飲んでいる。
「明日買い物に出たらペルのビスケット、綾の歯ブラシ、パパの靴下を忘れないようにしなきゃ・・・」
「君のヘアゴムもね・・・」
「パパも一緒にお出掛けできる?」
「うん行こう」

慎也はロフトに上がるとキャンバスの前に立った。絵の中の3人はとてもいい笑顔でこちらを見ている。そして背景には大きな白い道がどこまでも続いている。
出来上がったこの絵のタイトルは『道』としよう。


その晩慎也は夢を見た

とても眩しい光の中を慎也はゆっくりと歩いている

白い道がどこまでも続く

遠くに一本の木が見える

それに向かって歩いている

近づくと見覚えのある木だった

大きく枝を伸ばした木の下は安心できる場所だった

幹を抱きしめ鼓動を感じた

回した慎也の指先に

誰かの手が重なるのを見た

その細くて白い指・・・


慎也はその人に・・・微笑みかけた・・・


ー 完 ー


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