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【植物雑記】 万年青(オモト)に出会いたい

万年青(オモト)という植物をご存知ですか?

私がオモトを初めて認識したのは小学生の頃でした。当時家の庭には色々な種類の花や木が植えてありました。桃、木蓮、さざんか、ユリ、菊、牡丹、芍薬。父は育てるのが上手でした。

私は植物が幼い頃から大好きでした。特にお花が好きでした。しかし、どうしても子供の自分には理解できない植物がありました。家の裏、勝手口の側に十数個並んでいるオモトの鉢でした。

どこがいいの?どうしてこんなにいっぱいあるの?など父に尋ねてみましたが笑って受け流されるばかりで納得できる答えはありません。まあ、子供には渋すぎる趣味でしたのでしょう。よくわからない植物だなぁと横目に見ておりました。

中学生になり夏目漱石の『こころ』を皮切りに日本の古い小説を読むことを覚えました。ある時、森鴎外の『雁』を読んでいましたらそこにオモトが出てきたのです。これには酷くびっくりしました。

森鴎外が取り上げるような由緒ある植物だったのか……あのオモトは、と認識を改めました。江戸時代?の昔から日本人に愛されている園芸品種のようですね。

それからしばしの時が経ち、大人になりまして学び直しの機会を得て資格を取る為の学校に入りました。校外へ実習のある分野でした。実習でひとりのご婦人を担当させて頂くことになりました。

その方は数十年、生け花をされている方でした。私も興味を持って色々話を聞かせて頂きました。その方の生け花の流派では、お正月にオモトを花材として使うと教えてもらいました。これにもまたびっくり致しました。あのオモトがそんな華々しい舞台で活躍する植物だったとは……。

オモトには赤い実がつくのです。赤い実込みで生け花にする。全く知らない世界でした。言われてみたら父の鉢にも赤い実がついていたことがあったような…。奥深いオモトの世界。

さてこれはつい最近のことです。谷崎潤一郎の『刺青』を読んでいましたらまたオモトが出てきました。この小説に出てくる危険極まりない彫り師の男が、ターゲットの女性に出会う前なんとなくオモトを眺めていたのでした。オモト、また会ったな。さりげなくあらわれました。

本を読んでいて偶然出会うのもいいですが、もっと積極的にこちらからオモトに歩み寄って出会いたいと思ってしまいました。オモトの植物そのもののことではなくて、文学作品の中に出てくるそれのことなんですけど。

そこで手っ取り早くは青空文庫の全文検索です。

万年青(リンク)

50作品もヒットしました。オモトってみんながよく知る有名な植物だったのですね。

明治、大正、昭和を代表する錚々たるメンバーの名前が並んでいます。永井荷風、島崎藤村、芥川龍之介、夏目漱石、樋口一葉、正岡子規、与謝野晶子、北大路魯山人。大菩薩峠までありました。

これからしばらくはオモト充できます。嬉しい。なんだかよくわからない私のオモトに寄せる思いについて書いてみました。いつか育ててみたいと思う日は来るのかしら?わかりません。

以上、今回はこんなところです。また次回までごきげんよう。

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