「ぢ」の2周目 2026/01/19

「ぢ」ということで、今回も連濁から「底力」の話題を。
潜在的な力や可能性について語られる際に使われる言葉です。

日本は「底力」を発揮してきた珍しい国です。
記憶に新しいところですと、東日本大震災の際に混乱をほとんど起こさず、秩序立てて被災生活を送ったことは、世界的に見ると異常なことでした。
他の国では略奪などが当たり前であり、外国の特派員などは日本の民度に驚いたと言います。
海に囲まれ、自然災害が多く、逃げ場がないという環境が私たちの生活様式を形成していったのは間違いありません。
お互いに争っていたら、社会が成り立たなくなってしまうことを深層心理で理解しているのでしょう。

歴史を紐解けば戦後の高度経済成長が良い例だと思います。
戦勝国である連合国は焼け野原となった日本を再び立ち上がらせないように、農業国として管理する予定でした。
しかし思惑が外れ、朝鮮戦争特需や神武景気といった成長の波に乗っかった日本は、世界有数の工業国として名を馳せるようになるのです。
元々の下地となる技術と知識がなければ、成し得なかったでしょう。
平時に実力を蓄えることがいかに大切かを思い知らされます。

底力を発揮して危機を乗り越えたトヨタ自動車の話をしたいと思います。
2009年から2010年にかけて大規模なリコール問題が起きました。
リーマンショックなどの余波があったこともあり、トヨタにとっては追い討ちとなる事件でした。
当時の社長である豊田章男さんはこの局面を打開するために、米国の議会に出席し、自ら英語で説明することになります。
自国語ではない言語で、一歩間違えればさらに窮地に追い込まれる状況であったにもかかわらず、真摯に受け答えを行いました。
「全責任を取る」と謝罪をし、品質・安全最優先への回帰を誓い、これを通じて逆境をバネに信頼回復と経営改革を進めました。
日米の考え方の違いや思惑が原因で起こった問題でしたが、疑惑が晴れるまで気が気でなかったでしょう。
章男社長の態度に周りが味方となり、事態は収束へと向かっていくのです。
この経験を糧に良い試練と受け止め、トヨタは躍進を続けます。
世界新車販売台数1位になり、業界を牽引する立場になったのです。

底力は蓄積の成果です。
普段から緊急時に対する心構えを持つことが必要です。
一朝一夕で獲得できるものではなく、自らを高めることが大切なのです。
運は意識を持った瞬間に変わります。

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