「をん」の2周目 2025/12/09
「をん」ということなので「音訓」の話題を。
漢字を読む際には音読みと訓読みが存在します。
有名なところだと「生」という漢字は100個以上読み方が存在し、「死」という漢字は「し・じ」の2種類だけとなっております。
生き方はいっぱいあるけど、死は同じという意味が遠からず込められているのでしょう。
偏愛(特定の人・物にだけ特別な愛情)と遍愛(古語で「広く愛する」)はどちらとも「へんあい」と読みます。
漢字も似ていることから間違ってしまうものの代表例でしょう。
他にも「書文・所聞(しょぶん)」「共存・競存(きょうそん)」は同じ音なのに別の意味合いで使われるものになっています。
日本語は基本5つの母音を軸に形成されているために同音異義語が多数存在します。
上で挙げた例は漢字だけをピックアップしているのでわかりづらい部分もあると思いますが、会話や文章の中で判断することが多いので不便に感じる部分は少ないのではないでしょうか。
実は我々が自由に使いこなせている漢字ですが、伝来されてからすぐに使いこなせていたというわけではなく、試行錯誤の上に現在の形になっていきました。
万葉集などの古い文献には、どのようにして漢字を日本語に当て嵌めるのかを苦心して見出している箇所があります。
漢字を利用した他国には見られない動きです。
音読みは中国由来の発音。訓読みは大和言葉を当てて読ませるもの。
と使い分けた事により、日本語の文章は多彩になりました。
先人たちの創意工夫のおかげですね。
中国由来の漢字ですが、漢字辞典を編纂したのは日本人です。
大修館書店創業者であった鈴木一平の依頼のもと、『大漢和辞典』は諸橋轍次及び彼の生徒の手によって、長い時間をかけて作られました。
当初予想されていた2巻ほどの分量は、諸橋さんらの飽くなき探究心のおかげで全15巻までに膨れ上がったのです。
諸橋さん自身は13巻まで受け持ちました。
後継者による修訂を願っていたので、彼の死後に補完として2巻が発行される運びとなります。
諸橋さんの座右の銘は
論語の「行不由径」です。
(読み方:行くに径《こみち》に由《よ》らず)。
『意味:近道せずに道を一歩一歩着実に歩む』
30年を超す膨大な編纂作業をした諸橋さんなので言葉の重みが桁違いです。
母語のみで学術論文を書ける国はそこまで多くありません。
日本語の文章を読め、理解できる環境であることは世界的に見ても幸運なのです。
