「昭和の工場物語」テレフォンライン
こんな季節はボーとして思い出したいこともある。


テレフォンライン
受話器に手を当てると、黒い大きな瞳が見つめている。
浮かんだ数字になぞってダイヤルを回していくと最後に0に戻って、受話器を耳に当てたけれど、いつもは呼び出しのベルがゆっくりと鳴るのに、今は、ツー、ツーと無関心な音が流れている。
だから、少し待ってもう一度ダイヤルを回すと、一度呼び出し音が鳴って朱色の形のいい唇が現れて「おはよう」と耳元で囁く。
「誰かに電話してたの、話し中だったから」
「電話したよ、話し中だった」「たぶん、同じ時にお互いにダイヤルを回したんだ」
「そうだったのね」朱色の唇がほころんだ。
Electric Light Orchestra - Telephone Line (Audio)
