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6月28日(水):あえての「チープアップ」に付随する「クリティカル・コア」

先般の日経産業新聞の記事で面白いと思ったのは、高級輸入車をあえてカジュアルな雰囲気に加工する「チープアップ」を施し、独自の世界観と魅力でユーザーを引き付けている「オンザスリー」のアプローチです。

同店ではボルボやジャガーなど20~30年前の状態のよい中古車を仕入れ、そこにカスタマイズを加えて価値を高めて販売しており、現在は全国から注文が相次いで納車1年待ちの人気だそうです。

車のカスタムで一般的なのは様々なパーツで見栄えを良くしていくドレスアップが一般的ですが、同店で実施しているのはあえてドレスダウンをして個性を出していくカスタマイズでした。

同店の代表はかつて古着店を経営していた背景もあり、古着を着崩しているような世界観を車で表現しているのだといいます。

記事では、かつて古着を買い付けに欧州に行っていた若い時に「現地の人が古い車をスニーカー感覚で乗りこなす姿」に魅了された旨を語っており、そのような原体験が反映されているのだと思います。

私自身はペーパードライバーなので車に対しては何のこだわりもありませんが、それでも記事にアップされていた画像は魅力的に映ったし、私の中では一昔前のレトロなフォルクスワーゲンのワゴンなどを良いなと思う感覚に近しい感じでしょうか。

何の世界でもそうですが、「あえて」の逆張りアプローチがもたらす価値があるのだと思わせてくれる記事でした。

このようなサービスを展開し始めた当初は、「誰がそんな車を買うのだ」と冷笑されたこともあったといいますが、他からは理解されない非合理が価値の源泉にもなっています。

昨今の概念でいえば「クリティカル・コア」に当たるものですね。

クリティカル・コアについて補足をしておくと、傍目には非常識に映るけれども、コンセプトから見ると一貫性をもった中核となる打ち手を指します。

誰もが納得するような合理的な戦略は、すぐに競合他社に模倣されて競争優位ではなくなってしまいますが、一見して非合理な打ち手は模倣されにくい面を持っています。

とりわけ今回のクリティカル・コアは同店の代表の方のモノの捉え方、世界観に端を発しているから、なおさら一般的なものの見方をしている同業からは、その意味合いが解せなかったのも無理はないかもしれません。

あえてのドレスダウンともとれるチープアップと、そこに内包された非合理から生まれる価値のクリティカル・コア、それらが凝縮された面白い事例だと思います。

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