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虐待を受けて復讐のために殺人を犯した少女は、30年後の今何を思うだろう〜永遠の仔〜

つまらない学校だと思っていた。
私が思春期を過ごした田舎のお嬢様学校では、素行の悪い生徒は片っ端から退学になっていた為、残るのは大人しい生徒ばかりで窓ガラス一枚割れやしない。
私自身も大人しく過ごして中学から高校へはエスカレーターで上がったが、何も起こらない平穏無事な学校生活は、4年も続けばうんざりだった。

あれは、何も起こらない平和な毎日では刺激がなさすぎて、いつもため息をついていた16歳の春のことだ。
私は友達の冴子と教室の窓辺で日向ぼっこをしながら、連日のように

「あ〜あ、退屈。何か事件でも起こってくれないかなぁ」

などとぼやいていた。


そんなある日、私の望み通りに事件が起こった。
同じ学校で隣のクラスだったAが、自分の妹を包丁で滅多刺しにして殺したのだ。

中学一年生の少女が自宅で惨殺された事件は、全国ニュースでも大きく報道された。
あの頃の私が毎晩欠かさず見ていた報道番組「ニュース23」では、当時メインキャスターを務めていた筑紫哲也さんが、

「凄惨な事件が起きました」

と、神妙な顔をして第一報を報じたのを今でも覚えている。番組では第一発見者である被害者の姉の供述に基づき、犯人とされる覆面をした男のイラストも用意されていた。


当初は、覆面をした黒づくめの暴漢が被害者の家に押し入ったと報じられた。
ニュースによれば、真夜中に不審な物音に気づいた被害者の姉が妹の部屋へ様子を見に行くと、そこで手に包丁を持った覆面の男と鉢合わせたが、男は窓から逃げて行った。そして、妹が血まみれで死んでいるのを見つけた姉は両親の寝室へと駆け込み、妹が何者かに襲われて殺されたと話したという。


しかし鑑識が調べたところ、家には何者かが押し入った痕跡が見つからず、逃げた跡も見つからなかった。聞き込み捜査でも、付近で怪しい人物の目撃情報は出てこなかった。

間も無く供述の辻褄が合わない姉が逮捕されることとなり、それは世間に大きな衝撃を与えた。
今でこそありふれてしまったが、当時は家族間殺人が非常に珍しかったのと、学校では真面目だと思われていた不良でない子供が凶行に走る事件は、それまで例が無かった為だ。

「普通の子供がなぜ?」

という疑問と議論がメデイアで盛んに繰り返された。


Aが逮捕された翌朝、私は朝礼時間に学校長のアナウンスを聞きながら、「何の話をしているのだろう」と不思議に思っていた。

校長先生は、

「登下校中に報道関係者に話しかけられても、決して口をきいてはいけません」

と、私たちに念を押すのだが、一体何のために箝口令を敷こうとしているのかさっぱり分からずにいると、隣の席の子が「隣のクラスのAが逮捕されたんだよ」と教えてくれた。
朝のニュースで被害者の姉が逮捕されたことは知っていたが、未成年者で実名が出ないため、それがAだとは分からなかったのだ。


事件の背景は、Aと仲が良かった女の子たちから伝わってきた。

Aの家は再婚家庭で、Aは父親の連れ子であり、母親と妹とは血が繋がっていないこと。
その継母と妹からAは家庭内で虐められ、家事をさせられていたこと。
妹はAよりも容姿が悪く、頭の出来も劣り、姉と同じ学校を受験したものの失敗して、公立中学校に通っていたこと。
そして、Aが我が子よりも出来の良いことに腹を立てた母親は、我が子の受験失敗をきっかけに継子いじめを一層エスカレートさせており、そのことでAがひどく思い詰めていたことなどを聞いた。

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2015年から10年間、Livedoorブログに書き続けてきました。 その間、いくつかの企業メディアにも寄稿してきましたが、メディアが閉鎖…

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