【お金の学校①】個人事業主から法人化するメリットとは? ベストなタイミングを解説!
副業(複業)が以前より一般的になったことで、会社員+個人事業主の二足の草鞋を履くほか、個人事業主1本で生計を立てたり、会社を立ち上げたりする方が増えてきました。
特に最近は、インボイス制度の影響もあり、法人化を考えている方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、ぼくわたの経理担当、公認会計士のSetoが、個人事業主の方が一度は悩む、「法人化」についてわかりやすく解説していきます。
【この記事を読むとわかること】
・個人事業主と法人それぞれのメリット
・法人化のベストタイミング
・法人化の必要書類や便利ツール
個人事業主のメリット

まず、個人事業主でいることのメリットはこちら!
①開業手続きが簡単なのですぐに事業を始められる
個人事業主として仕事を始めるには、様々な手続きが必要だと思っていませんか?
法人に関しては、法務局に行ったり税務署に行ったりとかなり大変ですが、個人事業主に関しては、開業届を記入して、税務署に提出するだけで事業を始めることができます。
1日あれば誰でも開業手続きが可能です。
②税務申告が簡単
また、個人事業主における税務申告は、思ったよりも簡単。税理士に依頼しなくても自分で完結できるほどのレベルです。
領収証を集めたり、売上を計算したりなどの手間は発生しますが、専用の会計ソフトを使用すれば初心者でも確定申告が可能です。
③利益が少ないうちは税金も少なくて済む
個人事業主は「累進課税」という課税額が大きくなるほど税率が高くなる方式が適応されているので、利益が少ないうちはそれだけ税金を収める額が少なく済みます。
たとえば、利益が500万円程度であれば、15%程度の税金しかかかりません。しかも、195万円以下であれば所得税は5%です。お小遣い稼ぎとして副業をしている程度であれば、気にならない程度の金額に収まるかと思います。
以上が、個人事業主でいることのメリットです。
会社員+個人事業主の形態で、あまり売上がない方や、ちょっとしたお小遣い稼ぎをしている方であれば、個人事業主のままでいるほうがメリットが大きいです。
法人化した際に得られるメリット

続いて、個人事業主から法人化した際に得られるメリットはこちら。
①大きなクライアント獲得に繋がりやすい
個人事業主よりも法人の方が資金面や法律面などの関係で信用力があります。
また、2023年10月に始まるインボイス制度の追い風もあり、信用力のある法人と契約したいと考える企業は多いため、これからはより重宝されます。
②経費計上できる範囲が広がる

法人化すると、個人事業主では経費計上できなかった経費の範囲が広がります。たとえば、法人名義の家賃、出張費、役員報酬、交際費、スーツ代などです。
経費の範囲が広がるということは、それだけ節税をしやすくなるので、かなり大きなメリットといえます。
③融資や資金調達をしやすくなる

個人事業主でも融資や資金調達を受けることはできますが、法人に比べて審査が通る機関が圧倒的に少なく、額面も低いです。
また、クレジットカードやローンの審査も法人の方が断然通りやすい傾向にあります。
資金調達やローンが組めるということは、それだけ大きな事業ができるということにも直結するので、法人の方が事業の成長スピードが早いです。
④消費税の免税期間を2年間延長できる
個人事業主には2年間の消費税免税期間がありますが、それが終わるタイミングで法人化することで、最大4年間も免税事業主でいられます。
消費税を免税できるということは、それだけ事業資金が貯まることに直結するので、こちらも非常に大きなメリットになります。
以上が、法人化するメリットです。法人化した方が信用力や融資審査に関してメリットが大きいですが、そのぶん経理が複雑になったり運営コストがかかったりするため、法人化するタイミングには注意が必要です。
税制面でも、法人の場合は所得税ではなく法人税となり、税率が25〜35%とほぼ一定になります。個人事業主の場合は、累進課税になるため、売上が大きくなるにつれて税率が上がります。そのため、売上額が大きい場合は、法人に切り替えた方が節税対策になりやすいです。
結論、課税所得が390万円超なら法人化を検討すべき!

個人事業主の法人化の目安はさまざまですが、メリットを考えた場合、「売上が900万円以上で課税所得が390万円以上(手取り給与28万円前後)」がベストなタイミングです。
普通法人の法人税率は25〜35%と一定なのに対して、個人事業主の所得税率は5〜45%の7段階で、所得が増えるほど税率が上がる「超過累進課税」となっています。つまり、一定の所得を超えるようであれば、法人化したほうが節税になり、手取り給与が高くなる可能性があるのです。
たとえば、上記のデータの場合、同様の売上でも、法人化したほうが手取り給与が43,660円多くなります。節税して給与を最大化したいのであれば、法人化を検討するタイミングだと思います。

法人化するとたくさんの恩恵が得られることは理解できたかと思います。しかし、法人化は個人事業主よりも登録や申請が手間で、お金がかかるのも事実です。
登記の手続きに30万円程度の登記費用が必要
資本金は1円でも問題ないが、融資を検討するなら100万円程度あった方が無難
社会保険に加入しなければならない
法人税申告書を作成しなければならない
赤字だとしても法人税住民税均等割が7万円前後発生する
賃貸の場合、自宅で登記することが難しい
役員変更や事業内容変更の際は、役所への届出と費用負担が必要
個人事業主の場合は開業届を提出するだけでしたが、法人立上げは個人事業主と比べて数倍の労力が必要になります。また、どのような事業をしていくのかも個人事業主よりも明確に決めていく必要があります。

さらに、法人化する際は個人事業主と比べて規則やテクニックが異なるため、計画性を持って法人化する必要があります。
もし怠ってしまうと、数年後に機会損失や金銭的損失が生まれかねないので、数ヶ月かけて会社の方向性を決めて法人化することをおすすめします。
法人化の段取りと必要書類

法人登記をする際には、13種類の書類の作成と提出が必要になります。書類は1箇所だけでなく、法務局、年金事務所、税務署の3箇所に提出が必要です。
【法務局】
・設立登記申請書
・定款
・登録免許税納付用台紙
・印鑑届書
・出資金の払込証明書
【年金事務局】
・健康保険新規適用届
・厚生年金保険新規適用届
・被保険者資格取得届
・法人設立届出書
【税務署】
・個人事業の廃業届
・青色申告の承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
一見、必要書類が多く感じるかもしれませんが、一度にすべての書類を提出するわけではありません。
次に紹介する法人登記までのスケジュールを参考にしながら、計画を組むことで効率的に登記準備を進めましょう!
法人登記までのスケジュール

株式会社の設立までは、事前準備から法人登記の申請まで最短でも2週間程度かかります。
設立後の手続きに関しては、書類により提出先や提出期限が異なるため実際に法人登記をする際は事前に確認し、漏れなく申請することが大切です。
設立1か月前:法人登記書類を準備して法務局へ
設立前には、商号や事業目的、定款など決めておかなければならない項目が多くあります。会社設立にあたり一番多くの時間を必要とするフェーズです。逆に、基本事項が決定している場合は、かなりスムーズに進められます。
【設立1か月前にやること】
・実印(銀行印・代表印)の購入
・設立費用30万円を準備
・法務局にて設立手続きの申請
法人登記完了時:各種届出書類を年金事務局に提出
無事に登記が完了したら法人名義の銀行口座を開設できるので、書類の提出と合わせて手続きしておきましょう。
【法人登記完了時にやること】
・健康保険、厚生年金保険新規適用届
・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届
・法人設立届出
設立1か月後:各種届出書類を税務署に提出
最後に、税務署へ各種書類を提出して法人化の手続きは完了です。法人税に関する手続きは、会社の本店所在地がある地域の管轄税務署でする必要があるので、事前に調べるのを忘れずに。
【設立1ヶ月以内にやること】
・個人事業の廃業届
・青色申告の承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
法人化した経営者が使用している便利ツール

ここからは、法人化した際に利用するのにおすすめなWebツールをご紹介していきます。
「どんなツールを使えば良いかわからない」「使いやすいツールを知りたい」という方におすすめです。
下記で紹介するツールは実際に「僕と私と株式会社」内でも使用されているツールになります。
1.Slack(連絡系)
「Slack」はビジネスチャットツールです。チーム内でのコミュニケーションを集約できるので、作業効率が高まります。
またメンバーを限定したグループが作れるので、チームごとのやり取りにも使え、スタンプなどでリアクションが取れるのでコミュニケーションのハードルが低い点も特徴です。ほかに連絡系ツールでは、「Discord」、「ChatWok」を使用している人も多いです。
2.Notion(プロジェクト管理)
「Notion」はドキュメント管理ツールです。書類を「Word」などで作成し、それぞれ個人のパソコンでデータを保存しなくても、「Notion」を使うことで簡単にドキュメントを共有できます。
しかもドキュメント内に表やデータベース、写真などを盛り込めるため、あらゆる情報の管理に役立ちます。無料版の容量は5MBですが、有料版にすると無制限となるため使い勝手が良いです。
3.法人版Gmail(ドメイン管理)法人版Gmailは有料版のGmailのことです。無料版のドメインは@gmail.comですが、法人版では@マーク以降を自由に設定できます。
「@○○.co.jp」や「@○○.com」などの独自ドメインに設定することで、フリーメールと比べて顧客からの信用度が高まります。また、Googleが提供する法人版Gmailは強固なセキュリティが特徴です。
ほかにドメイン管理でよく使われるものに、「お名前.com」や「shopify」、「STUDIO」があります。それぞれ得意な分野が違うので、事業に合わせてどれを使うか考えるのが良いでしょう。
4.会計freee(バックオフィス系)
会計freeeは法人むけのクラウド会計ソフトです。31万社の企業が使用している、国内シェアNo.1の会計ソフトで、大企業から小規模な企業、個人事業主まで幅広く対応しています。
freee株式会社は、ほかにも様々なサービスを展開しており、別のサービスと連携して使用することで業務効率化を目指すことができます。
5.PayPay銀行口座(決済)
法人口座を作るならPayPay銀行がおすすめです。
月額使用料が無料で使えたり、振込手数料が安かったりと、法人にとって使い勝手が良いのが特徴です。
また、インターネットバンキングのデータは、クラウド会計ソフトで取り込めるため、帳簿を半自動的に作れる点も魅力です。
6.Canva
Canvaはオンラインのグラフィックデザインツール。プレゼンテーションや動画、掲示物、SNSなどで使用するバナーや画像を作成する際に便利なツールです。
デザインのテンプレートが豊富なため、デザインの経験がなくてもおしゃれな資料が作成できます。作成したものは商用利用もできます。
法人化の良いスタートを切るには?

最後に幸先の良いスタートをきる法人の特徴を紹介します。
・明確な株式比率で意思決定の上下関係がはっきりした役員構成
・自己資金を最低100万円用意
・自己資金でスタートし軌道に乗ったタイミングで借金や調達を検討する
・なんでもかんでも経費にしないで計画的な事業計画のもと経営をする
・歳が近く信頼できる仲間や参謀を役員に加える
・経営初期は継続案件で安定的なキャッシュを作る(コンサル案検等)
法人化するメリットは多いですが、タイミングを見誤ると節税にならない、借入がうまくいかずに資金がショートする可能性もあります。法人化するメリット、個人事業主のままいるメリットを理解し、事業にとって良いタイミングで法人化しましょう。
法人化の判断をする場合、最終的には準備等も合わせて税理士などの専門家に相談することがおすすめです。
僕も個人的に相談を受け付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。
「お金の学校」第2回では、個人事業主のための節税対策について解説する予定です。次回の「お金の学校」もお楽しみに!
僕と私と株式会社について

僕と私と株式会社は、Z世代を代表する企画・マーケティング会社です。食べられるお茶"咲茶”や、メンズも通えるネイルサロン"KANGOL NAIL”、見ると恋がしたくなるマッチングアプリ「タップル」の公式TikTok"幼馴染との共同生活【おさ活】”など、Z世代ならではの多くの企画を咲かせています。
メンバーの7割がZ世代であることを活かし、今を生きるリアルな若者の視点を取り入れたPR設計からブランドプロデュース、SNS運用までをワンストップで担当いたします。また、リモート制度やサウナ採用、地方へのワーケーションなどを取り入れた新しい働き方も実践中。「メンバー全員の社長化」を目指し、社内からも多くの企業が生まれています。
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