資本に見放された道 ─ 陥没するインフラと、死にゆく未来 ─
資本に見放された道
── 陥没するインフラと、死にゆく未来 ──
「道路が陥没しました」
ニュースで何気なく流れるその一報に、人々は驚き、そしてすぐ忘れる。
しかしその穴は、たんなる地面の穴ではない。社会そのものの亀裂だ。
──資本が回収できないものは、もう直されない。
1. 見捨てられる土台
道路、橋、水道管、ガス管、排水路。
これらは誰の生活にも不可欠でありながら、“誰の利益にもならない”とされている。
実際には公共事業として予算はついている。だが、「儲からない」は、すべての判断を後回しにさせる。
一方で、資本が回収できるインフラ──空港、鉄道の駅ナカ開発、高速道路の商業施設──は、どれだけ使われていなくても整備され続ける。
なぜなら“誰かが回収できるから”。維持する動機がある。
だが私たちの生活を支えているのは、“回収できないインフラ”のほうだ。
道路は広告を載せられないし、橋はスキャンダルにならない。
そして今、それが静かに崩れている。
2. 長距離ドライバーの地獄
物流の主役であるトラックドライバー。
かつて“男の仕事”と呼ばれた彼らは、今や安月給と過酷な労働時間に苦しんでいる。
高速道路は本来、物流の動脈として整備されていた。
しかし近年は“会社の経費削減”で下道を走らされる。
その下道こそ、補修費が削られ、陥没していく道だ。
資本は高速道路という“収益インフラ”には興味を示すが、生活道路には無関心。
そしてその“無関心”の結果、運ぶ人も、運ばれるモノも、インフラごと崩れていく。
3. 陥没が象徴するもの
「なぜ、陥没するのか?」
この問いに、“土壌の劣化”や“地盤沈下”などの説明はされる。
だがその裏にある“構造”は語られない。
予算が削られた。点検が減った。補修が遅れた。
それはすべて、「採算が合わない」から。
つまり──
道路は必要だけど、儲からないから直さない。
この構図が、いま日本中のインフラを静かに殺している。
4. 資本の正体
資本主義は、イノベーションの起爆剤と言われてきた。
だが本当だろうか?
資本が注がれるのは、回収できるものだけ。
思想でも、生活でも、未来でもない。
“金になるかどうか”──それが唯一の基準。
だから、道路は崩れる。
人を運ぶより、金を回収する装置が優先される。
資本は「回収」には向いているが、「支える」ことには向いていない。
5. 土の下に埋まった未来
陥没した道路の下に埋まっているのは、
ただの土砂ではない。
そこには、支えられるはずだった社会がある。
“利益にならないから”という理由で切り捨てられた、安全、快適、そして人間らしさ。
本来、インフラとは人々の共同財であるはずだった。
だが今、それは“採算ベースに乗るものだけ”へと矮小化されている。
資本は、支えることをやめた。
そして、社会は静かに、沈んでいく──。
