貼党比周 ― 利害ではなくラベルで徒党を組む時代
「朋党比周」という言葉がある。
本来は、利益や思想を同じくする者が徒党を組み、互いに引き立て合うことを指す。
つまり、
利害が先にあり、集団は後から形成される。
しかし現代を見ていると、逆の現象が起きているように思う。
私はこれを仮に、
「貼党比周」
と呼びたい。
「貼」は、レッテルを貼る「貼」である。
現代では、
「あなたは○○側」
「あなたは○○界隈」
「あなたは○○派」
と先にラベルが貼られる。
そして、そのラベルに沿った発言や行動が期待される。
気づけば、
「自分は何を得たいのか」
ではなく、
「この立場なら何を言うべきか」
で動くようになる。
本来なら、
自分の利益を考え、
その利益が一致する者と協力する。
これが自然な集団形成である。
しかし今は、
ラベルが先に存在し、
そのラベルを維持すること自体が利益へと変換される。
SNSでは特に顕著だ。
昨日まで称賛していたものを、
空気が変われば一斉に批判する。
利益が変わったわけではない。
所属する空気が変わっただけである。
そしてこれはSNSだけではない。
学校では学年やクラス、部活というラベル。
会社では部署や役職というラベル。
社会は組織化と集団化によって、多くの役割を与える。
役割は必要だ。
しかし役割が目的となった瞬間、
人は自分の利益ではなく、
貼られたラベルの利益のために動き始める。
私は、
現代社会は「朋党比周」の時代ではなく、
「貼党比周」の時代なのではないかと思っている。
利害によって徒党を組むのではない。
貼られたラベルを守るために徒党を組むのである。
