DoTは軽視され、HoTで安心する
——ゲームと現実に共通する「長期ダメージの無視」
ゲームでもDoT(Damage over Time)は軽視されがちだ。
一撃のダメージは派手でわかりやすい。
数値も大きく、「効いている感」がある。
それに対してDoTは地味だ。
一回のダメージは小さく、変化も見えにくい。
だが実際のボス戦では、勝敗を分けるのはDoTの管理だったりする。
■ DoTの本質
DoTは弱い攻撃ではない。
・継続的にダメージを与える
・行動していない時間も削る
・気づかれにくい
つまり、「気づかれずに勝つための攻撃」である。
重要なのは入れることではなく、切らさないことだ。
一瞬の火力ではなく、削り続けているかどうかが勝敗を決める。
■ HoTという誤解
一方で、HoT(リジェネ)は好まれる。
・HPが戻る
・安定しているように見える
・安心感がある
だが、ここに大きな誤解がある。
HoTは回復ではない。
ダメージの原因を消しているわけではなく、ただその場のHPを戻しているだけだ。
つまり、崩壊を遅らせているだけである。
■ 構造
DoTとHoTの関係はこうなる。
ダメージ(原因)はそのまま
↓
DoTは蓄積する
↓
HoTで一時的に回復する
↓
安定しているように見える
しかし実際には、内部では削られ続けている。
■ 現実世界のDoT
この構造は現実にもそのまま存在する。
DoTにあたるものは、
・少子化
・教育の劣化
・インフラの疲労
・信用の低下
どれも一撃ではない。
だが確実に削り続ける。
■ 現実世界のHoT
そしてそれを覆い隠すのがHoTだ。
・補助金
・給付金
・一時的支援
・借金による延命
これらは問題を解決していない。
ただ「まだ大丈夫」と感じさせているだけである。
■ なぜDoTは無視されるのか
理由は単純だ。
評価系が瞬間火力しか見ていないからである。
・売上
・成長率
・KPI
これらは短期的な変化を測る。
DoTは長期で効く。
そのため、最も危険なダメージが評価対象から外れる。
■ 最適化の罠
現代の最適化は、測れるものだけを対象にする。
結果として、
・瞬間的な成果は最大化される
・長期的な損耗は無視される
つまり、DoTを受け続けながら最適化している状態になる。
■ HoTがもたらすもの
さらに問題なのは、HoTの存在そのものだ。
HoTがあることで、
・危機感が消える
・問題が見えなくなる
・対処が先送りされる
結果として、DoTの管理がさらに放置される。
■ 崩壊のパターン
この構造は必ず同じ終わり方をする。
最初は問題が見えない。
次に違和感が出る。
それでも数値は改善している。
そしてある時、一気に維持不能になる。
これは突然ではない。
ただ、ずっと削られていただけだ。
■ 結論
DoTは軽視され、HoTで安心する。
だがそれは回復ではない。
崩壊を見えなくするための遅延処理である。
■ 一行でまとめる
人類は削られ続けながら、回復していると錯覚する。
