アルゴリズムは市場調査のサブスクだった
「市場調査をしろ」
マーケティングを語ると、必ず出てくる言葉だ。
誰に届けるのか。
何を求めているのか。
どんな違和感や欲求があるのか。
本来、マーケティングはここから始まる。
けれど今、SNSやプラットフォームの時代になって、少し不思議なことが起きている。
市場調査が、あまり語られなくなった。
代わりに語られるのは、
「ショートを量産しろ」
「冒頭0.5秒が重要」
「フックを作れ」
「ABテストしろ」
「Discordを作れ」
「毎日投稿しろ」
施策、施策、施策。
でも、ふと思った。
“誰に届けるのか”って、どこ行った?
市場調査は本来、マーケティングの土台だった
昔の市場調査は高かった。
アンケート。
ヒアリング。
定性分析。
競合調査。
企業しかまともにできないくらい、時間も金もかかる。
だから、
市場調査 → 商品投入
という順番だった。
外すと痛いから、先に理解しようとした。
もちろん外れることもある。
でも少なくとも、
「誰向けかわからないまま突っ込む」
ことを避けようとしていた。
そこに現れた救世主
SNSとプラットフォーム。
これは革命だった。
なぜなら、
「とりあえず出せば数字が返ってくる」
からだ。
再生数。
クリック率。
視聴維持率。
コメント。
つまり、
市場調査の民主化
が起きた。
大企業じゃなくても、個人でも観測できる。
これは間違いなく恩恵だと思う。
問題は、その次だった。
市場調査は“代替”された
いつの間にか、
市場調査をする
ではなく、
プラットフォームに市場調査を肩代わりしてもらう
に変わった。
昔:
誰が求める?
↓
仮説を作る
↓
出す
今:
出す
↓
数字を見る
↓
後付けで考える
つまり、
市場理解の前払いが、後払いになった。
しかも月額制で。
アルゴリズムは市場調査のサブスク
これが今の感覚に近い。
昔は、一度大きな費用を払って市場調査をした。
今は違う。
毎日投稿。
毎月AI課金。
動画制作。
編集。
広告。
分析。
少しずつコストを払いながら、
「市場、どう思う?」
を聞き続ける。
つまり、
アルゴリズムは市場調査のサブスク
になった。
ただし、少し厄介な仕様付きで。
問題は、“市場そのもの”ではないこと
ここが重要だ。
返ってくる数字は、
市場そのものではない。
正確には、
市場 × アルゴリズム
の結果だ。
つまり、
「人が好きだった」
のか、
「アルゴが流した」
のか、
わからない。
逆もある。
人には刺さっているのに、アルゴが広げない。
最近よく見る、
平均視聴率高いのに伸びない
みたいな現象も、そのズレの一部かもしれない。
だから、
アルゴ理解 = 市場理解
ではない。
ここを混同すると、
いつの間にか、
人を見ていたはずなのに、アルゴリズムの癖だけ研究していた
という状態にもなりうる。
市場調査は消えたのではない
消えたのではない。
サブスク化した。
そして民主化された。
ただ、その代わりに、
終わりがなくなった。
投稿を止めれば、データが止まる。
分析を止めれば、不安になる。
市場理解のはずが、
いつの間にか
アルゴリズムとの付き合い方
になっていく。
それは果たして、
本当に市場調査なのだろうか。
それとも、
市場調査の代替物なのだろうか。
