なぜ俺にベルリンの学会営業が来たのか
なんか変なメールが来た。
ベルリンで開催される
Microfluidics and Microfabrication Forum
という国際フォーラムへの参加案内らしい。
いや、誰だよ俺。
大学所属でもないし、研究室も持ってない。
会社名義でもないし、名刺に肩書きもない。
あるのは、個人で書いてきた記事と、実験ログと、たまに出してる論文っぽい何かだけ。
それなのに、
「研究者・業界関係者の皆さまをお招きします」
みたいなテンプレ営業文が、普通に俺のところに届いた。
スパムか?と思ったけど、割と真面目
最初は当然スパムだと思った。
でも内容を見ると、別に怪しい感じでもない。
マイクロ流体
微細加工
マイクロデバイス
カスタム製造
マイクロディスペンシング
普通に技術系・産業寄りの国際イベント。
しかもこの手のやつ、
「誰彼構わず大量送信」じゃなくて
一応それっぽいリストを使ってることが多い。
つまりこれ、
人力じゃなく、データベースかAIで「研究者っぽい人」を抽出して送ってる。
で、そこに俺が引っかかった。
なぜ俺が引っかかったのか(たぶん)
心当たりは、正直めちゃくちゃある。
流体を循環させる構造の話を書いてる
微細構造、素材、加工方法の話をしてる
ペロブスカイトを流体として扱うとか言い出してる
個人で実験して、ログを公開してる
ZenodoとかOSFに論文っぽいものを置いてる
これを文脈を読まないAIが見ると、
「あ、研究者だ」
って判定するのは、まあ自然。
でも人間の制度から見ると、
「いや無所属じゃん」
になる。
このズレが、今回の一番おもしろいところだと思ってる。
学会と制度は、まだ「所属」を見ている
学会も研究も、長い間
「大学」「研究機関」「企業」
という所属ありきで回ってきた。
だから今でも、
所属欄が必須
メールアドレスが.eduだと安心
個人研究者は例外扱い
みたいな構造が残ってる。
でも現実はもう、
情報発信は個人で完結できる
実験ログも論文も公開できる
AIは所属を見ずに中身だけを見る
という世界に入ってる。
で、今回みたいに
制度より先に営業AIの方が「個人研究者」を検出してしまう。
これ、結構皮肉だと思う。
行くのか?と言われると、行かない
念のため言っておくと、
ベルリンに行く予定はない。
論文投稿もしないし、展示もしない。
普通に生活して、普通に別のことを考えてる。
でも、
「お前、研究者っぽいぞ」
って機械に判定されたという事実だけは、ちょっと面白かった。
評価されたいとか、認められたいとかじゃなくて、
「この時代、もう境界線が壊れてるな」
という実感として。
誰が研究者かは、もう曖昧
大学にいなくても研究はできるし、
論文を書かなくても実験はできるし、
評価されなくても記録は残せる。
制度が追いつく前に、
AIと個人が先に世界を進めてしまっている。
ベルリンの学会営業メールは、
そのズレがたまたま可視化された
ただの小さな事件だった、という話。

