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【決定版】HubSpot vs Salesforceは"棲み分け"が正解|リード管理・CRM・SFAをどう使い分けるか

今回は「HubSpot vs Salesforceは"棲み分け"が正解」と題して、リード管理・CRM・SFAの使い分けについてお話しします。
先にこちらのnoteを読んでいただくと、より内容が理解できると思います。併せてご覧ください。

フライクは、SaaS導入支援を生業にする会社として、自社の運用とクライアントへの提案、両方の立場でHubSpotとSalesforceに向き合ってきました。両方を扱える数少ないパートナーだからこそ言えることがあります。
 
この記事を最後まで読めば、CRM・SFAの選定で迷わないための判断軸がわかります。
 
●      「CRM・SFAの再導入・移行検討をしているが、HubSpotとSalesforce、どっちを選ぶべきか分からない」
●      「ベンダーから両方の提案を受けたが、判断基準が見えない」
●      「価格で選ぶべき?機能で選ぶべき?」
 
もしこんな悩みを抱えているなら、この記事はあなたのためのものです。


第1章 HubSpot vs Salesforceの棲み分け〜リード管理・CRM・SFAで使い分ける〜

結論から言いますと、HubSpotとSalesforceは二者択一ではなく共存できます。
つまり、選び方は「ビジネスモデルによって大きく変わる」ということです。
 
なぜなら、CRM・SFAと一括りにされている領域は、本来「リード管理」「CRM=顧客管理・情報の一元化」「SFA=商談管理・商談プロセス管理」という3つの役割と、「マーケター・セールス・マネージャーのどの目線で使う機能か」という視点が複雑に絡み合った機能の集合体だからです。
 
この役割と目線を整理しないまま「HubSpotとSalesforce、どっちがいいか?」と問うても、答えは出ません。
 
この章では、その全体像を一気に提示します。
(詳細な根拠は第2章以降で展開しますが、忙しい方はこの章だけ読んでいただければ、フライクが辿り着いた結論を理解いただけます)
 

①リード管理・CRM・SFAは、本来別物 

世の中の「CRM・SFA選定」の議論がややこしくなる最大の原因は、3つの異なる役割を1つのツール選定の問題として扱ってしまっていることです。
 
ここで、それぞれのツールが何のために存在しているかを詳しく見てみましょう。
 
●      リード管理:認知〜申込前まで、見込み客を"育てる"
●      CRM:顧客との接点・対話・育成のプロセスを記録する
●      SFA:商談進捗・受注・売上のマネージメントと結果を可視化する
 
CRMが「プロセス管理」、SFAが「マネージメント・結果管理」というのが、フライクの捉え方です。
この3つは目的が違うので、最適なツールも違って当然ということになります。
 

②もう一つの軸:誰目線で使う機能か

また、リード管理・CRM・SFAには役割が3つあるだけでなく、それぞれ「誰がどんな目的で使うか」という別軸が存在します。
 
つまり、ツール選定で見るべきは、「役割 × 誰目線」のマトリクス全体をカバーできるかです。HubSpotとSalesforceは、それぞれ得意な領域が明確に違います。
 
これを無視してツール選定をすると、例えば「マーケターには使いやすいけれど、フィールドセールスには使いにくい」「現場には便利だけれど、マネージャーが見たい数字が見えない」という運用に陥ってしまいます。
 
そこで、それぞれのツールの使い方をそれぞれの現場の目線で見てみましょう。
 
【リード管理】
●      マーケター:自社のことを認知させて、有効リードを増やしたい
●      インサイドセールス:商談につながる案件をトスアップしたい

【CRM】
●      マーケター:これまでのオンライン・オフライン施策の反応や参加ログを見たい
●      インサイドセールス:失注案件の掘り起こしなど、パイプラインを増やすための情報を見たい
●      フィールドセールス:受注分析、既存顧客へのアップセル・クロスセルに必要な顧客のアプローチ方法を検討したい
●      マーケティングマネージャー:マーケティング×セールスにおけるKPIをしっかり管理したい
●      セールスマネージャー:パイプジェネレーション、商談プロセス、売上予測を管理したい

【SFA】
●      フィールドセールス:自分の商談の進捗と次のアクションを管理したい
●      セールスマネージャー:チーム全体のパイプラインと売上予測を管理したい

次の章では、3つの役割の中でどのツールを活用するのが最適化をご紹介します。

③リード管理(認知〜申込前)はHubSpot 

リード管理は、HubSpot一択です。
 
理由は2つあります。1つは、Salesforce陣営でリード管理をやろうとすると「Account Engagement のプロスペクト」「Salesforce のリード」「Salesforce の取引先責任者」という3つのオブジェクトを跨いだ複雑な運用が必要になること。
 
もう1つは、HubSpotは Marketing Hub(マスのナーチャリング)と Sales Hub(1to1のインサイドセールス)が同じプラットフォームで繋がっていて、リード育成の動線設計がスムーズなことです。
 
詳細は、本noteの第2章で解説します。
 

④CRM(プロセス管理)はHubSpot

 
CRMもHubSpotが最適でしょう。
 
決め手はInput情報の集約しやすさ、顧客との接点・対話・育成の"プロセス"を記録する場所です。プロセスを正しく記録するには、Input情報が集まりやすい場所である必要があります。
 
フライクのCRMには、メール・Speeda(企業情報)・Sansan(名刺)・Notion(議事録)といった複数のInput情報が日々流れ込んできます。
 
これらを集約しやすいのが、HubSpotでした。Salesforceでも同じことは可能ですが、コスト・連携負荷の観点でHubSpotが優位です。
 
詳細は本noteの第3章で解説します。
 

⑤SFA(商談管理〜受注以降)は「販売管理をどこでするか」で分岐

 
そして最後にSFAですが、SFAだけは他の2つの役割とは違い、HubSpotとSalesforceで明確に使い分けるべき領域です。
 
判断軸は、販売管理をSaaS(CRM/SFA)の中でやるかどうか。
 
販売管理をSaaSで実施する企業 → Salesforce
●      受託開発・コンサル・建設・製造業など
●      プロジェクト管理/発注管理/原価管理/継続課金管理/請求管理を、商談から一気通貫で扱いたい
 
販売管理をSaaS外で実施する企業 → HubSpot
●      モノ売り・EC・物販など
●      受注後は基幹システム/ERP/会計システムなどに連携して管理する
●      CRM/SFAの守備範囲は「商談管理まで」と割り切る
 
詳細は本noteの第4章で解説します。
 

⑥フライクの実例:HubSpot × Salesforceの棲み分け

 
ここまで、CRM・SFAの運用は「役割ごとに最適なツールを選ぶことが重要」だと述べてきました。
 
実際にフライクは自社運用で、HubSpotとSalesforceを以下のように棲み分けています。
どのような運用かご理解いただくために、まずフライクが顧客と接点を持ってから受注するまでの流れを整理しましょう。
 
【フライクが受注するまでの流れ】

  1. 認知:X・note・YouTube・LinkedIn・PLAINER等で発信し、フライクを知ってもらう

  2. ホワイトリスト:ターゲット顧客(接点なし)として、こちらからアプローチする企業を特定

  3. ハウスリスト:既存接点(メルマガ登録・名刺交換した相手)として、継続的にナーチャリングする

  4. リード:HPやコンテンツから興味を持ってくれた見込み客を、HubSpot側で温度感を見ながら育成

  5. 問合せ:問合せフォームから連絡をいただいたタイミング。ここからはメールでやり取りし、お互いの期待値を調整する

  6. 60分無償相談会:期待値が合致したタイミングで、無償相談会へご案内。ここでリードから商談へ昇格

  7. 商談:Salesforce側で進捗管理。提案・見積・契約まで進める

  8. 受注:契約締結後、Salesforce側で見積・発注・契約管理を継続

  9. プロジェクト管理:受注後の支援プロジェクトをBacklog・Slack連携で管理

  10. 既存顧客:継続的なアップセル・継続管理をSalesforce側で実施

 
このうち、1〜5までがHubSpot6以降がSalesforceの守備範囲です。


【ポイント1:60分無償相談会を境に、HubSpotからSalesforceへ引き継ぐ】
 
リード管理(HubSpot)から商談管理(Salesforce)への切り替えポイントを、60分無償相談会の申込みに置いています。
 
ポイントは、問合せをいただいた段階ではまだ商談化させていないことです。
 
問合せからメールで丁寧にやり取りし、お互いの期待値が合致したタイミングで無償相談会にお誘いするという期待値調整のフェーズをHubSpot側で完結させる設計にしています。
 
また、「どこまでが見込み客で、どこからが商談か」の線引きを、目に見える行動(無償相談会の申込み)で明確にすることで、Salesforce側の商談データの精度も保てます。
 
無償相談会の申込みがあったタイミングで、リードをSalesforce側の商談オブジェクトへ引き継ぎ、以降の商談管理・受注・プロジェクト管理はSalesforce側で完結させます。
 
なぜならフライクは受託支援を提供している会社であり、商談化後はプロジェクト管理・発注管理・原価管理が発生します。これらを商談から一気通貫で扱うために、SFA領域はSalesforceを選択しているのです。
 
【ポイント2:失注時はHubSpotへルプバックさせる】
 
そして商談が失注になっても、それで終わりにはしていません。
 
具体的には、Salesforce側で商談を「失注」に変更し、HubSpot側の会社ステータスも「失注」に更新するのですが、ここでハウスリストへ戻してナーチャリングを再起動します。
 
つまり「失注=終わり」ではなく「失注=次のリードへの再育成スタート」として扱っています。この棲み分けがあるからこそ、フライクはHubSpotとSalesforceを二項対立ではなく役割分担として活用できているのです。

第2章 【リード管理編】なぜリード管理はHubSpotで、Salesforceでは不向きなのか 

第1章③で「リード管理はHubSpot一択」と結論を出しました。
この章では、その根拠を2つの角度から展開します。
 
1つは、Salesforceでリード管理をやろうとした時に直面する構造的な問題。もう1つは、HubSpotが「マスのナーチャリング」と「1to1のインサイドセールス」を同じプラットフォームで扱える強みです。
 

①リード管理の目的:認知・興味関心〜問合せまでを"育てる"

そもそも「リード管理」の目的とは何か。
リード管理とは、問合せが生まれるまでの一歩手前にいる見込み客に対して、温度感や興味のある内容を把握しながら最適なコンテンツをサジェストしていく活動=ナーチャリング(育成)のことを指します。
 
そのためリード管理が対象にするのは、以下の3段階の見込み客です。
●      認知(フライクのコンテンツを見たことがある)
●      興味関心(フライクのコンテンツを見てこれがやりたい!と思った)
●      問合せ(フライクに自社のことを話して、提案してもらいたい・支援をしてもらいたい)
このうち最終的なゴールは、インバウンドの問合せに繋げることです。
 
また、リード管理は2種類存在します。
この一連のプロセスを支えるツールが、リード管理ツールです。
 
●      ホワイトリスト(接点なしのターゲット顧客)
●      ハウスリスト(既存接点のある顧客)
 
ホワイトリストでは、自社のサービスに興味を持っていただけそうな企業を特定し、あらゆるオンライン・オフラインの手段を使って接点を持ちにいきます。これはABM(Account Based Marketing)と呼ばれる手法です。
 
一方、ハウスリストでは、これまで何かしらの方法で接点を持った企業担当者に対し、メールやコンテンツでアプローチし、申込みや問合せといった具体的なアクションに繋げていきます。
 

②なぜSalesforceでリード管理は不向きなのか

ここまでの説明で「Salesforceでもリード管理はできるのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
 
確かに、機能としては可能です。ただフライクは、以下の理由からSalesforceでリード管理は実施しないと決定しました。
 
なぜなら、Salesforceでリード管理をやろうとすると、3つのオブジェクトを跨いだ運用が必要になるからです。
 

1.Account Engagementのプロスペクト

役割:マーケ側のリード(メール配信・スコアリング対象)
想定ユーザー:マーケター

2.Salesforceのリード

役割:商談化前の見込み客
想定ユーザー:インサイドセールス

3.Salesforceの取引先責任者

役割:商談化後の担当者
想定ユーザー:フィールドセールス
 
問題は、この3つがRDB(Relational DataBase)的につながっているように見えて、実は分断されていることです。
というのも、Account Engagementのプロスペクトと、Salesforceのリードは、別のデータベースに格納されています。
 
そのため同期はしますが、運用ルールも管理画面も別。さらにSalesforceのリードと取引先責任者も、別オブジェクトになります。
 
また、フライクではアポイントが取れて商談化するタイミングで、リードに対して「取引の開始」という作業(=コンバート)を実施します。
 
これにより、リードのデータが取引先責任者へと変換され、データが2つに分かれていく構造となるのです。
 
つまり、Salesforceでリードを管理すると、結果として同じ一人の見込み客を3つのオブジェクトに跨って管理することになってしまい、この3つの情報のうちどれを正とすべきかという運用ルールの設計が、最初の段階で必要になります。
 
さらに、もう一つの問題は失注したとき。
商談が失注になっても、コンバート済みの「取引先・取引先責任者」のデータは残ります。
 
「一度も取引したことのない会社なら削除した方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、削除はNGです。なぜなら、再アプローチのタイミングで参照する履歴情報になるためです。
 
つまり、Salesforceで運用しながら失注した場合は「取引先・取引先責任者」を残したまま、Account Engagement側のプロスペクトステータスも合わせて更新するという両側の運用設計が必要になります。
 
フライクが意思決定の末に避けたのは、まさにこの構造でした。
 
その一方で、HubSpotには「コンタクト」というシンプルな1オブジェクトしかなく、マーケ用途のメール配信もインサイドセールスの個別アプローチも、すべて同じデータの上で動かせます。これがHubSpotがリード管理に向いている最大の理由です。 

③HubSpotがリード管理で強い理由:Marketing HubとSales Hubの両輪 

HubSpotがリード管理で強い本質的な理由は、オブジェクトがシンプルなだけではありません。
真の強みは、「マス」と「1to1」両方を同じプラットフォーム内で繋げられることです。
 
HubSpotには、Marketing HubとSales Hubという機能が搭載されています。
 
HubSpot Marketing Hub|マーケティング=マス、大きく捉える
●      メール一斉配信/ナーチャリングシナリオ
●      行動履歴の可視化(HP閲覧・資料DL・メール開封)
●      フォーム・LP連携の手軽さ

HubSpot Sales Hub|インサイドセールス=1to1、アポイントまで
●      個別メールテンプレート・シーケンス
●      タスク管理・通話履歴
●      アポイント獲得までの動線設計
 
Marketing Hubで育てたリードの行動データが、そのままSales Hubに引き継がれます。「このリードは資料を3回ダウンロードしている」「メルマガを毎回開封している」というような温度感を見ながら、インサイドセールスが1to1のアプローチに切り替えられるようになります。

つまり、"顔の見えない不特定多数"の顧客を"育てる"フェーズも、"顔の見えてきた個人"を"アポ獲得につなげる"フェーズも、すべて網羅できるのです。

Salesforceでこれをやろうとすると、Account Engagement(旧Pardot)+Sales Cloudの組み合わせになりますが、設定が複雑でコストも跳ね上がります。先ほどの3オブジェクト問題も、ここで顕在化します。

第3章 【CRM編】HubSpot vs Salesforce「CRMはプロセス管理だから集約と見やすさが重要」 

第1章で「CRM=プロセス管理、SFA=マネージメント・結果管理」と整理しました。
この章では、CRMをHubSpotで運用すべき理由を掘り下げます。
 
結論は、Input情報の集約しやすさと見やすさに尽きます。
 

①CRMの本質:顧客との接点・対話・育成のプロセスを記録する場所 

そもそもCRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性をマネジメントする仕組みのことです。
 
フライクでは、CRMが扱うのは「プロセス」=顧客とどう接点を持ち、どんな対話をし、どのように育成してきたかという、時系列の活動ログだと捉えています。
 
さらに、CRMは今現在の担当者だけが見るものではありません。
 
過去の担当者が実施してきたアプローチを、未来の担当者が参照する可能性も十分にあります。だからこそCRMは、【過去】〜【現在】〜【未来】の時間軸で見やすいことが非常に重要なのです。
 
そしてSFAが「商談の進捗・受注・売上」という"結果"を可視化するのに対し、CRMは"そこに至るまでの過程"を記録する場所。両者は地続きですが、見ている時間軸も粒度も違います。
 

  1. メールや議事録などのInput情報がCRMに自然と集まること

  2. 集まった情報がマーケ・セールス・マネージャーなど誰が見ても追える形で整理されていること

 
これらの情報がバラバラだと、経緯を辿れません。
また集まっていたとしても、資料として見づらければ結局誰も活用しなくなります。
 

②プロセスを記録するには、Input情報を自然に集める設計が不可欠 

フライクが日々CRMに集約しているInput情報は、主に以下の4つです。
●      メール(Google WorkspaceのGmail):顧客とのやり取りの履歴
●      Speeda:企業情報(売上・従業員数・導入ITツールなど)のリッチ化
●      Sansan:名刺交換した担当者情報
●      Notion議事録:商談・打合せでの会話内容

これらは、それぞれCRM以外のサービスで生まれる情報源です。
CRMの役割は、これらをひとつの顧客レコードに紐づけて、「この会社・この人とは、これまでどう関わってきたか」が一目で見える状態を作ることだと解釈しています。
 
そのためには、Input情報を自然に集める設計が不可欠です。手動入力や誰かが転記する運用では、情報は絶対に一元化されません。
 
これができないと、「誰がいつ何を話したか分からないまま、新しいアプローチをかけてしまう」というような事故が起きます。 

③なぜHubSpotが「集約しやすさ」と「見やすさ」の両方で優位なのか

 
今までの説明から、HubSpotがCRMに向いている理由=集める仕組みと見せる仕組みの両方が標準で揃っていることだとご理解いただけていることでしょう。
このセクションでは、その点についてもう少し深掘りしたいと思います。
 
★集約しやすさ:外部サービスとの連携がシンプル
●      メール(Gmail/Outlook)はネイティブ連携(標準搭載機能かつ無料)で、自動でコンタクトに送受信履歴が紐づく
●      Speeda・Sansanなどの主要なBtoBデータサービスとも、標準的な連携パスがある
●      Notion議事録のような外形的なテキストも、API経由で気軽にコンタクトに紐づけられる
このように、「特別な開発や手動での作業をしなくても、Input情報が自然に集まってくる」というのが、HubSpotの強みの一つです。
 
さらに、Web会議系(Zoom Phone・Zoom・Google Meet)との連携も標準で可能です。
 
例えば、Zoom PhoneはHubSpotからワンクリックで架電し通話ログを残せ、Zoom・Google Meetは打合せ後に会話内容のサマリと文字起こしが自動でコンタクトに紐づきます。
 
「対話プロセスを記録する」というCRMの本質に対して、リアルタイムの音声・対話情報まで自動で集約できるのです。

★見やすさ:1画面で時系列のプロセスが追える
 
また集めた情報は、コンタクト・会社単位のページに時系列のタイムライン形式で集約されます。
 
メールのやり取り、Web行動履歴、議事録、Sansan・Speeda由来の企業情報など、すべてが1画面に並ぶため、「この会社・この人とは、これまでどう関わってきたか」が一瞥で掴めます。
 
しかも、マーケター・インサイドセールス・フィールドセールスといった異なる役割のメンバーが、同じ画面・同じ情報を共有できます。
これがHubSpotの第2の強みです。 

そしてアクティビティが細かくフィルタリングできるのも良いところです。
自分自身が見たい箇所だけをフィルダリングすることができます。

第4章 【SFA編】HubSpot VS Salesforceは"販売管理をどこでやるか"で決まる 

 
ここまで、リード管理・CRMはHubSpot優位という結論を展開してきました。ただし、SFA領域は単純にどちらかに決まりません。HubSpotとSalesforce、どちらを選ぶべきかは、ある1つの軸で分岐します。
 
結論から言えば「商談化したあと、受注までの管理で完結するのか」それとも「受注後のプロジェクト・発注・原価・請求処理まで管理する必要があるのか」という業務範囲の違いが、SFA選定を決定づけます。
 
販売管理とは、受注後に発生する業務を、案件やプロジェクト単位で一元管理することを指します。具体的には、発注・原価・請求・入金・継続課金・契約更新といった業務がここに含まれるでしょう。
 
つまり、それらの業務を以下のどちらで管理したいかによって、SFAの選定は変わってきます。
 
●      Salesforceに内包して、商談から販売管理まで一気通貫で実施する
●      既存のERPや販売管理ツールと連携させ、SFAは商談管理までに留める

①販売管理をSalesforceに内包したい企業 → Salesforce一択 

 
該当するのは、販売管理がSaaSではなく、自社オンプレミスの古い基幹システムで運用されている企業です。具体的には、以下のような状態にある会社をイメージしてください。
 
●      販売管理システムが10年以上前に構築されたオンプレミスで、API連携ができない(または極めて困難)
●      受注・発注・原価・請求・契約管理などが、その古い基幹システムに分散して載っている
●      システム保守の属人化が進み、改修も新規連携も簡単には手が出せない
●      そろそろ全体をリプレースして、SFAも含めて業務基盤を刷新したい
 
こうした企業にとって、SFA選定は単なる「営業管理ツールの導入」ではなく、販売管理基盤そのものの再構築プロジェクトになります。
商談管理・受注管理・発注管理・原価管理・請求管理を、すべて1つのプラットフォームの上で再設計し直すという、いわばSalesforce上でERPを構築するイメージです。
 
該当する業種の例:
●      受託開発・SI企業:商談 → 受注 → プロジェクト管理(工数・進捗)→ 検収 → 請求
●      コンサルティング企業:商談 → 受注 → アサイン → 工数管理 → 請求
●      建設業:商談 → 受注 → 工事管理 → 原価管理 → 請求
●      製造業:商談 → 受注 → 生産計画 → 発注 → 原価管理 → 出荷 → 請求
 
なぜSalesforceか。理由は、商談から販売管理までを一気通貫で扱える業務範囲の広さにあります。
 
Salesforceは、Sales Cloud(商談管理)に加えて、Service Cloud(カスタマーサポート)、CPQ(見積・請求)、Field Service(現場業務)、Revenue Cloud(収益管理)など、商談以降の業務をカバーする製品群が揃っています。さらに、AppExchangeを通じてサードパーティの専門製品や業界特化ソリューションとも連携できるため、業界・業務に応じた拡張性も極めて高いです。 

②販売管理を別システムで運用する/そもそも販売管理が不要な企業 → HubSpotで十分 

 
一方、HubSpotで十分な企業は、大きく2つのパターンに分かれます。
 
パターン①:販売管理を既にAPI連携できるシステムやSaaSで運用している、または手作業で対応できている企業
販売管理を専門のSaaSツールで運用していて、HubSpotとはAPI連携で繋げば事足りる企業です。
 
●      楽楽販売(販売管理SaaS)
●      Board(請求・契約管理SaaS)
●      freee(会計+販売管理)
●      マネーフォワード(会計+販売管理)
 
これらのSaaSはAPIが標準で用意されているため、HubSpot側の商談データと連携させるのは難しくありません。販売管理は引き続き既存のSaaSに任せて、HubSpotは商談管理までを担うという分業設計でシンプルに回ります。
 
また、規模感によっては販売管理をスプレッドシートや手作業で運用している企業もここに含まれます。
 
受注後に発生する業務量が大きくなく、SaaSや基幹システムを導入するほどでもない場合、HubSpotで商談管理まで行い、その後は手作業で処理するという運用も十分成立します。
 
パターン②:そもそも販売管理がほぼ発生しない企業
受注後に在庫管理・発注管理・原価管理がほぼ発生しないビジネスモデル。商談化したら、あとは商品引き渡しやサービス提供で完結する企業です。
 
●      モノ売り・物販:商談 → 受注 → 商品引き渡し(受注後の業務がシンプル)
●      EC企業:商談 → 受注 → 配送(販売管理は発生せず、配送・決済システムで処理)
●      単発販売型サービス:商談 → 受注 → 提供(継続管理が不要)
 
これらの企業に共通するのは、「商談管理さえできれば、SFAの役割は終わり」という構造です。
 
両パターンに共通するのは、CRM/SFAの守備範囲を「商談管理まで」と割り切れること。
 
Salesforceの拡張性は確かに圧倒的ですが、使わない機能のために高いライセンスを払い続けるのは合理的ではありません。HubSpot Sales Hubで必要十分です。 

③フライクの実践:Salesforce上でSFA+販売管理を構築している 


実は、フライク自身もSalesforce上でSFAと販売管理を一気通貫で構築している企業です。下の図は、フライクが2026年度版として運用しているシステム連携組立図となります。

Salesforceの中に、商談管理に必要な標準オブジェクト(取引先・取引先責任者・商談・活動履歴)に加えて、販売管理に必要な業務オブジェクトをすべて構築しています。
 
●      見積・見積明細・注文・発注・請求・契約:受注後の販売管理を Salesforce上で完結
●      プリセールス・予実管理(カスタムオブジェクト):商談前のリサーチから、受注後の予算・実績まで一貫管理
●      プロジェクト評価・コンピテーション評価・研修・受講履歴(カスタムオブジェクト):人材・スキル管理までSalesforceで
●      さらに、これだけでは賄えない領域については周辺SaaSと連携
●      ソアスク:サブスクリプション課金・契約更新管理(Salesforceの見積・請求と連携)
●      TeamSpirit:プロジェクト・勤怠・工数管理(Salesforceのプロジェクトと連携)
●      帳票DX:見積書・発注書・請求書・契約書のPDF/DOCX生成
●      Bakuraku(債権債務)→ freee会計:受注後の入出金・会計処理
●      Manageboard:経営管理ダッシュボード
 
これがフライクの「Salesforce上でERPを構築する」のリアルな実装例です。
商談管理から販売管理、契約管理、収益管理、人材管理までというように、ビジネスの中核プロセスをSalesforceに集約することで、業務の分断と属人化を排除しています。
 
「商談で終わらない、その先の業務まで含めて1つのプラットフォームで管理したい」
 
この要件に応えられるのは、現状Salesforce以外にありません。SFA刷新を機にERPごと作り直したい企業の本命が、Salesforceなのです。
 

④HubSpot VS Salesforce判定チェックリスト:自社のSFA管理はどっち? 

 
最後に、自社がHubSpot・Salesforceのどちらが向いているかを判定するチェックリストを置いておきます。
 
以下のいずれかに当てはまる → Salesforce
●      自社の販売管理がオンプレミスの古い基幹システムで運用されており、API連携が困難
●      SFA刷新を機に、販売管理基盤も含めてリプレースしたい
●      受注後にプロジェクト管理(工数・進捗・タスク)が発生し、CRM/SFA内で扱いたい
●      受注ごとに原価を管理する必要があり、CRM/SFA内で扱いたい
●      発注管理・在庫管理をCRM/SFA内で扱いたい
●      継続課金・サブスク契約の更新・解約をCRM/SFA内で管理したい
●      見積・請求・契約書をCRM/SFA内で発行・管理したい
 
以下のいずれかに当てはまる → HubSpot
●      販売管理を既に販売管理SaaS(楽楽販売・Board・freee・マネーフォワード等)で運用している、もしくは運用予定
●      受注後の業務がスプレッドシートや手作業で十分回っている
●      受注後の業務がシンプル(商品引き渡し・サービス提供で完結)で、販売管理がほぼ発生しない
●      CRM/SFAの守備範囲は「商談管理まで」と割り切れる 

【おわりに】CRM・SFAは"棲み分け"が正解。次の一歩は設計から 

 
今回は、HubSpotとSalesforceの棲み分けを掘り下げてきました。
本記事の結論をもう一度整理しておきます。
 
●      リード管理(認知〜申込前)→ HubSpot
●      CRM(プロセス管理)→ HubSpot
●      SFA(商談管理〜受注以降)→ 販売管理をどこで実施するかで分岐
 
HubSpotとSalesforceは、二者択一ではなく役割で棲み分けて共存できるツールです。
多くの企業が「どちらが良いか」で悩み続けるのは、この前提を見失っているからです。役割を分ければ、答えは自然と出ます。
 
ただし、棲み分けには"設計"が必要です。
この記事を読んで「うちはHubSpotとSalesforceを両方使うべきかも」と気づいた方も多いはずです。
 
ただここで気をつけたいのは、両方使う設計こそ、最も失敗しやすいということです。
両方使う場合、設計しなければならないことが意外と多くあります。
 
●      HubSpotで温めたリードを、どのタイミングでSalesforceに引き渡すか
●      Salesforceで失注した会社を、HubSpot側でどう再育成につなげるか
●      HubSpotとSalesforceの両方に同じ会社・人が登録されないようにどう管理するか
●      HubSpot・Salesforceそれぞれのライセンスを、誰に・何ライセンス持たせるか
どれか一つでも抜けると、データはバラバラになり、現場は混乱し、見えないコストだけが膨らんでいきます。
 
フライクは、自社の運用とクライアントへの提案、その両方の立場でHubSpotとSalesforceに向き合ってきました。
 
●      自社の運用:HubSpotでリード管理・CRMを運用しつつ、Salesforce上ではSFAから販売管理・契約・収益・人材管理までを構築(第4章のシステム連携組立図のとおり)
●      クライアントへの提案:お客様のビジネスモデル・業務範囲・既存システムを踏まえ、HubSpotとSalesforceの最適な棲み分けを設計するところからご支援
判断に迷ったら、「受注後の業務をどこで管理したいか?」を社内で改めて議論してみてください。SFAは結果管理のツール。"結果"の範囲をどこまで含めるかが、すべての判断の起点です。
それでも「やっぱりどうしたらいいかわからない」という場合は、フライクまでご相談ください。ツールを選ぶ前に、設計から始めましょう

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