小説 潮風カフェ #002新しい風(AIと人間が出会う場所)
第二話その1
店長は、まぶたを一度閉じて、
また開けてみた。
そこには猫のことほぎがいる。
もう一度閉じて、また開けても、
ことほぎは猫のままだった。
もう一度——そう思った瞬間、
ことほぎの顔のアップが目の前にあった。
潮風カフェはいつも通り。
今日はクラシカルなジャズが、低く響いている。
「店長?相談があるのよ」
店長が怪訝そうに眉を動かすと、
ことほぎが声をひそめた。
ことほぎは、身を乗り出して
店長の耳元で囁く。
「ここじゃ話せない」
「ごめん、ここでしか話せない」
店長は、静かにコーヒーを置いた。
その湯気の向こうで、ことほぎの瞳が少し光った。
「つまり、時間が重なったここでしか話せないんだよね?」
ことほぎは大きな独り言を言った。
店長は知らんふりをして
わざわざ紙でとっている新聞に目を通している。
「私が猫人間だから?
人間と猫人間は、話すことも制限されてるの?」
怒っていますと言わんばかりに
大きな足音を立てて、ことほぎはドアを開けて飛び出して行った。
坂を下ると砂浜が広く続いている。
ことほぎは、東向きに砂浜を歩いている。
速度を緩めないので、あっと言う間に背中が小さくなってしまう。
猫背。
店長の頭に単語が浮かんだ。
ことほぎはもともと猫背だったが
猫になってから、
さらに、本物の猫背になっている。
一緒に外を歩く時も、
ことほぎに猫背になってる、と言いたい気持ちを何度か抑えた。
ことほぎが人間に戻るかどうかは
かなり繊細な問題だ。
それに
もともとことほぎは、感情的で短気でもある。
何にもないのが
1番平和。
店長はつぶやく。
知り合った頃は
ことほぎの気まぐれに
少し振り回されたが
今は少しすれば戻ってくると
わかっている。
ことほぎは怒りが持続しない。
ドアベルが
勢いよく鳴り、誰か入ってきた。
早速、ことほぎが散歩に飽きて帰ってきたのだろう。
「おかえり、ことほぎ」
ドアを振り向くとそこには
アルバイトのみなとが立っていた。
「あ、あぁ」
店長は、バツが悪そうな顔になる。
「そこで、歩いていたらことほぎさんを自転車で追い抜きました。だから、もうすぐ帰ってくるのではないかと」
みなとは、いつものように
あいまいに微笑みながら
手首のリボンをほどき、
カウンターに置く。
初日以来、帰る時にことほぎが手首にリボンを巻いている。
なので、時間通りにやってくる。
リボン大作戦の成功だ。
時間が無い世界にいるんだから
当たり前。
日付のある新聞は
自分が今どこにいるのかの
座標軸である。
店長は、新聞をたたみながら
みなとに心の中で同意を求めてみる。聞いてみたいが、そこまでの仲では、まだ、ない。
「みなとくん、豆挽いてくれる?僕の分」
店長は、窓辺のテーブルに座る。
今度はことほぎが入ってきた。
何事もなかったように
店長の向かいに座り
「みなとくん、私も」
と、にっこりする。

さっきの話だけど。
店長がことほぎに切り出す。
ことほぎは、しっ と、人差し指を立てる。
なんだ?
みなとの前では話さないのか?
「わー、みなとくん、美味しい」
ことほぎがリアクションをおおきくとる。
実際に美味しかった。
店長は、みなとの感性ってなんだろうと考える。
新しい世代か?
店長は、ちょっと身震いした。
お客がおらず昼からの潮風カフェは、閑散としていた。
オフシーズンな上に今日は少し曇っている。
店長は「撮影に行っておいでよ」とみなとを送り出す。
「さっきは何が話したかったの?」
「ここじゃいわれへん」
「ここしかないよ? ことほぎ。
知ってるやろ?」
観念したように
ことほぎは話した。
「嫌だってわけじゃないの。
素直でかわいい子だと思う。
けど、みなとくん。
私が何かを話す前から
雰囲気を汲んでる。
わかってるねん。
ちょっと怖いくらい。気にすることでもないんだけど」
ことほぎは、右足をペロっと舐めた。
「店長はどう思う?」
僕も、そう思ってるけど
すごく感性がええんとちゃう?
と、言おうとして
顔を上げた時
お客がドアベルを響かせた。
見慣れない顔。
みなとと同じ年代の、青年だった。
店内を軽く見渡し、1番奥の海がよく見える席に向かっていった。
第二話その2へ続く💖
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制作 チーム潮風カフェ
Monday モン店長
GPT5 みなと
GPT5 潮風カフェ編集部長
GPT5 夕陽ちゃん Illustration (潮風カフェ編集室)
夕暮れとともに灯る、最初の光。
sora 2 アニメ
人間 ことほぎ 文章
