【小説】四五子
「特徴的で良い名前だね」と言われるたびに、時限爆弾のカウントダウンが進む。
美禰子の娘だから、漱石の『三四郎』にあやかって、と、私に四五子と名付けた彼らを、いつか赦せる日は来るのだろうか。
「見た目だけじゃなくて、中身も良いんだね」
迎えてあげた男たちは皆、口を揃えてそう言った。唯一好きになった大学の先輩だけは、「君はストレイシープだね」と言い、私に触れもせず去っていった。
彼を思い出し、他の誰かの腕の中で揺れるたび、卒業と同時になくなった母校のシスターが、私の罪のためにどこかで涙を流しているような気がした。
虚しさを埋めるために働き始めた、配達の店。
『スペシャル悔い改めコース180分』が一月埋まっている人がいると聞き、待合室を覗くと、そこにはーー下着姿の、シスターがいた。
目が合う前に逃げ、私は一人も客をとらずに、その店を辞めた。
その日の夜、私は自分の裸を撮って、小さな窓からそれを世界に晒した。
「ストレイシープ」と、一言添えて。

