#304[星夜読書]夜の書店、心に残るはじめての小さな「印」[エッセイ]
読書と文具好きになったのは父の影響が大きいと思います。車で20分、夜の冒険は、いまでも鮮明な光景として心に残っています。
夜に出かけること、私だけが行けることは特別な時間でした。夕方6時には帰宅し、食事の後で大きな書店へ。いま思うと当時の父には、そうした時間のゆとりがあったことを、懐かしく感じます。
行くまでの期待感、暗くなってから夜道を抜けて、辿り着くのは、ひときわ明るい大きなお店です。
お店に入った時の、新しい本の香り。
期待感に、ますます胸が高鳴ります。
けれど、着くと退屈してしまいます。父がそこで本を3〜4冊、選ぶのを待つ間、私はおとなしく待つのが常でした。
この時、幼い私の癒やしだったのが文具売場です。
学校ではまず見かけない、様々な濃さの鉛筆とその香り、上級生のための学習ノート、かわいらしい消しゴム。文具売場は、宝物でいっぱいですよね。
大学の教科書(これも父のお古)ばかり読んでいた私にとって、子ども向けの本は非常に退屈でした。小学1〜2年生向けの本が少なく、幼児向けの絵本が多かったのです。
もう卒業した本と、まだ手の届かない背伸びとの間で、どこか宙ぶらりんのような、まるで空白の時間のように、この時代の記憶がぽっかりと空いています。
3〜4年くらいになると、地図や友情、児童文学に興味を持ちますが、とにかく古い本しかなく、料理など実用的な本に仕方なく手を伸ばしていました。野菜の切り方や形などは、ここでの学びが活きています。
ある日、自分の名前の印鑑を見つけました。
はんこは大人が使うものだと思っていました。自分の物を持つ習慣がなく、まさか買ってくれるとは夢にも思いませんでした。自分だけの宝物を手に入れたような、特別な瞬間です。
私の名前はとても珍しく、当時はどこを探しても見つからなかった自分の名前のグッズに、特別な新鮮さを感じました。
その時に店内のPOPで銀行口座の開設に使えることを知り、大人になっても覚えていました。この印鑑は、いまでも大切に持っています。
別の書店ができたことなどで足が遠のきましたが、6年の時にどうしても読みたい本があり、友人と2人、自転車で行きました。とても遠かったですが、進級した実感や自力で着いた達成感は忘れられません。
この書店には、大きな思い出がたくさんあります。
時は過ぎて、ある観光地の土産物店。友人と寺社巡りをしていて偶然、手彫りのはんこを見かけた時に、このことをすぐに思い出し、迷わず購入しました。
私は出かけると、ものを買ったり食べたりするよりも、自然の中を歩いたり、案内板や街並みを見るのが好きな方で、この時は本当に特別でした。
この印は、手紙の結びに署名代わりに使います。この印は押す時に、少しコツがいります。
姿勢よく、ゆっくりと、お腹に力を入れて確実に紙におします。この所作、時間をたまらなく愛おしく思います。
楽しくて、しばらく手紙がマイブームになりました。これは単なる署名ではなく、初めて自分の宝物を手にした時の喜びをあなたにも贈ります、という気もちで文末につけていました。noteの結びの文も同じです。
この小さな印が、あなたにとって大切な何かを思い出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。過去と、未来をつなぐ温かな印です。
忘れたことのない、小さな思い出でした。
(了, 約 1,300字)
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ノートとあじさいを、もう少し近づけたい
また、今度です

20回は生成したけど、花とノートが遠い(笑)
何か、単純なことに気がついていないのかな……?
もう少し「引き」で、上から、少し遠くから俯瞰すると、横長で丁度いい絵になりそうです。むずかしい……!

それではまた、次の記事でお会いしましょう!
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