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#578_寓話_ねむらない王様(原案)

心を閉ざした王、技術と知恵、壊れた国を手作業で立て直す物語です。
パッチワークや和紙、手触りと質感のある素材を組み合わせた、タペストリーやちぎり絵の世界で彩る物語を考えました。

(約 4,300字)


 初めて童話(児童文学)を書きました。
 今日はその原型、ラフスケッチでお送りします。

あらすじ

 森と湖の国が山火事で焼失。若き王が復興の最中、休息を促した賢者の勧めで深い睡眠を得ます。やがて賢者たちも弱り果て、国が荒れていきます。そこへ「知恵の鳥」がやってきて、王にささやいたのは……。

登場人物

……森と泉の国の若き王。復興と外交に携わる
国の人々……鍛治、木こり、裁縫など手工業の担い手
賢者……木、水、火、星、月、太陽、石、花の8人
くらやみの花……夜になると白く光る。花びらの縁は薄いピンク
知恵の鳥……真っ白な、文鳥より少し大きな、両手に収まる大きさ
楽師の姫……隣国の宮廷楽師。銀の笛の名手。


物語の骨子(絵と文、挿絵のイメージ)

 挿絵がないためイメージも織り交ぜて書きました。
 元は1400字ほどのお話です。

復興・若き王と山火事

 ある国に、勇敢な若き王様がいました。王様は森と泉に囲まれた湖のほとりで、琴の音を聴くのを楽しみにしていました。ある日、山火事で美しい町は3日で燃えて灰になりました。王様は丘の上の城から見ることしかできませんでした。「ああ…町が、人が、花が、国が……」王様は悲しみました。
 最後の夜、めぐみの雨がふり続き、山火事は消えてゆきました。そこで王様は城中の賢者を集めて言いました。「これからみんなで国を直そう」王様と賢者たちは、知恵と力を合わせてもとの美しい国に戻そうと誓いました。
 鍛冶屋が斧を作り、木こりが木を集めます。木こりは家を建て、余った木を燃やし、町の人はおいしいスープを作り、みんなは涙を流して食べました。
 町はだんだん元気になっていきます。今度は大きな運河から石が運ばれてきました。王様が川に石の橋を架けると、となりの国からたくさんの人がきました。
 おいしい食べ物、美しい布、珍しい宝石、大切な薬……。国中が少しずつ元気になっていきます。
 さあ、国を直そう。王様は一生懸命に働きました。

休息・8人の賢者とくらやみの花

 やがて港に大きな船が来るようになりました。王様はよその国の使者に国中を見せて回りました。わが国も知恵をお借りしよう、今度は我が国の姫にもお見せしたい。皆、喜んで自分の国へ帰っていきました。
 ある日のこと。薬の賢者は夜に1人胸を痛めていました。「このままでは王様が死んでしまう」そして、勇気を出して言いました。「王様、働きすぎです。少し休まれてはいかがですか」王様は言いました「今がいちばん大変なときだ。一緒に頑張ろう」王様は眠らずに働きました。毎日、毎日、働きました。
 薬の賢者は王様を大変心配しました。「王様、あなたが倒れてしまうと皆が悲しみます。どうか少しでも眠ってください」王様はいいました「わたしは、眠らないのではなく、眠れないのだよ……」薬の賢者はおどろきました。「王様、よく言ってくださいました」薬の賢者は涙を堪えました。王様は言いました。「私はみなに心配をかけていたのだな。少し休むとしよう。国を頼むぞ」王様は少しだけ眠ることにしました。
 賢者たちは、薬の賢者を称えました。王様が元気だから頑張れた。朝になれば王様はまた元気になる。少しの間、みんなで力を合わせよう。賢者たちは夜通し働きました。
 翌朝、賢者たちは大慌てしました。「大変だ、王様がお目覚めにならないぞ!」王様は寝息を立てて、深い眠りについたままです。「いったい、どうして……」そこへ、薬の賢者が言いました「王様はくらやみの花で眠っておられるのです」石の賢者が言いました「なんだって…!くらやみの花の眠りは、ひかりの雫が無いと溶かすことができないのだ」石の賢者はひかりの雫を取り寄せました。でも、王様は目覚めません。
 花の賢者がいいます「くらやみの花で眠った者は心を閉ざしていては、目覚めることはないのです」賢者たちはいいます「心を閉ざす?一体なぜ……」皆、王様の本当の気持ちがわかりませんでした。

王様の夢・ひかりの雫と深いねむり

 王様は夢を見ていました。「わたしがいなくても、みな大丈夫なのだな。」王様は自信を無くしていました。「わたしはまだ眠っていたい。それに、わたしも皆と同じように、友と語らい、共に食べ、笑い、歌いたいのだ……」王様は深い眠りの中で初めて、疲れ果てている自分に気がついたのです。王様の頬は涙で濡れていました。
 ある夜、水の賢者が王様の夢を映し、火の賢者が水鏡をそっと照らしました。月明かりの夜、美しい花が咲く湖のほとりに、王様が楽師の琴の音に耳を澄ませています。風が楽師の髪をなで、2人が目を合わせたとき。賢者たちはそっと水鏡を閉じました。
 賢者たちは泣きました。「王様ごめんなさい。気づいて差し上げられなくて」
 太陽の賢者はいいました。「これ以上眠ったままでは、太陽の力でも深い眠りから目覚めることはありません」
 月の賢者も言いました「くらやみの花で眠った者の夢には、月の光も届きません」星の賢者が言いました「皆で知恵を絞り、心を一つにして、王様を夢の中から救おう」
 賢者たちは、薬の賢者を責めました。「元はといえば、くらやみの花など使ったせいです」賢者たちは話し合い、薬の賢者を塔に閉じ込めてしまいました。「少しの間、そこで反省するといい」
 やがて、賢者たちの体が少しずつおかしくなっていきました。おいしい料理から栄養が、疲れた時の「花の気つけ薬」が、なくなってしまったのです。
 賢者たちは知らないうちに疲れ果て、少しずつ元気がなくなっていきました。何をしてもやりがいがなく、楽しくなくなっていきました。そしていつの間にか、みんな倒れて眠ってしまいました。
 王様は、夢の中で皆の異変に気がついていました。「大変だ、今度は私がみなを支える番だ。でも体を動かすことができない。一体、どうして……」

知恵の鳥・ただそこにいるだけでいい

 ある夜、「知恵の鳥」がやってきました。「王様、王様はみんなにとって大切な方です。ただそこにいるだけで、みな勇気や自信が湧いてきます」「王様は今、心を閉ざされているのです。このままではやがて死んでしまいます」知恵の鳥のさえずりだけが、くらやみの花で眠る王様の心に届いたのです。けれど王様は目覚めることができません。王様は深い眠りの底で心から助けを呼びました。くらやみの花の眠りは、より深くなっていきました……。

銀の笛・めざめ

 知恵の鳥は「王様、私に考えがあります」と言って隣国の楽師に会いに行きました「どうかその銀の笛の調べで、王様を目覚めさせてほしいのです」楽師は言いました。「この虹の花の雫を使うのです」楽師の姫は、つるバラの花を知恵の鳥に渡しました。
 翌朝、透き通った花びらが陽に当たって虹色に輝くと、花の中にキラキラと光る「虹の雫」がありました。知恵の鳥は雫をそっと王様の口に運びました。王様はゆっくりと目を覚まして言いました。「私はどうしていたのだ……」知恵の鳥は、くらやみの花のことを話すと王様は薬の賢者を塔から出しました。「ありがとう、とてもよく眠れたよ」王様は自分の気持ちも大切にする、と知恵の鳥に約束しました。
 王様は楽師の姫にお礼を言いました。姫は王様に言いました「王は人間なのです。眠らなくてはなりません。でも苦しい時にはわたくしをお呼びください」姫が銀の笛を奏でると、城中に美しい調べが響き渡り、くらやみが溶けていきました。賢者たちも少しずつ元気になっていきました。
 国は元気になり、王様は町の人を集めてコンサートを開きました。花と音楽と、おいしいごちそうでいっぱいの国になりました。
 みんな笑顔で暮らしましたとさ。

おしまい。

(本文 約 2,500 字、かきおろし)
最終更新: 2026/3/31 深夜


制作日記

 絵本を書き出しているうちに、児童書になってしまいました。
 次第に、一昨年の創作を素材にして物語が膨らんでいきました。

 絵はアナログで、和紙のちぎり絵や、色とりどりの素材を使ったパッチワーク、西洋と中東が混じったような魔法の世界。このような想像から始まりました。

 絵本の場合は全体的に削った方が良さそうです(要素が多い)

 5歳未満向けには絵本で 800−1200字ほど、賢者は1人。小学校低学年向けには3〜4人に話を詰めるなど、考えています(書くのはまた今度💦)

 児童書は長くても140ページくらい、5000字くらいにしても素敵かな、と思いました。絵本では「ねむりの花」など、シンプルに書きたいです。

 切り絵での上映、ペープサート、人形劇、小学2年生を中心に、その前後の年齢の子どもたちが、お昼寝や夜の読み聞かせを通し、休むこと、仲間と手を携えることのよさを伝えられたらと思います。

※挿絵のイメージは、こちらです。

 また、本作品は下記の3つの大きなテーマを持っています。

1.王様がいるだけで、みんなの心がまとまる
 
役に立つ、立たないではなく、あなたが “そこにいる” ことが国や人々を支えている(存在感、自己の肯定)

2.手でつくることは、心をつくること
 木で組み立てる、布や革を縫製し、着心地のよい物を長く使う(アナログ回帰)

3.交流することで互いに豊かになる
王と賢者たち、賢者同士、王と町の人、国と国、それぞれがつながることで(穏やかで安定した暮らし、未来を創る)

などなど。

性別や役割はあくまで「象徴」として描写します。お子さんとお話ししながら、あるいは1人読みで想像が膨らむように話を作ります。

あとがき

 尚、おまけのエピソードですが、楽師の姫君は「解毒剤」をこの国にもたらしたことになります。毒と解毒剤、カンの言い方はもうお気づきでしょうか。これは戦争の始まりにもなり得ます。

 楽師の姫君は、実は隣の国のスパイ。王を唆し、豊かな国を乗っ取ろうとくらやみの花で国中を寝かせてしまう……。

 おっと、これでは違う物語になってしまいます(笑)
 今日のところは、1本の純粋な童話ということにいたしましょう。

また、お目にかかります。

それではごきげんよう、ありがとうございました🌹

今日もお読みいただいてありがとうございます🎁

今月はnote開始2周年、
3年生になりました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします🍀

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久藤 あかり | はじめまして! スキ、コメントが1番うれしいです。私の記事を元にあなたの記事を書いてもらうのも大歓迎!心が動く言葉はありましたか?ご感想お待ちしています😊