#526_散文詩_だれかの雪
──だれの声でもない、自分の声を探してきた
だれかの期待
だれかの価値観
だれかの正しさ
だれかの物語
だれかの痛み
だれかの沈黙
だれかの声が積み重なって
これは私の声なの?
ずっと、自分の声を奪われないように
守りながら生きてきた
どこかで、だれかも同じことを思う夜
そんな夜は、少しだけ寒い
自分が本当はどうしたいのか
だれと、どんな未来を望んでいるのか
言葉、声、歌声にも滲み出てしまう
だからこそ、歌が無表情になる
語り手の心が
まだ自分の方向を決めきれていないから
だれかのレンズ越しに切り取ると
人の生き方は
どうしてこんなにも軽く見えるんだろう
騒がしい中で、自分の輪郭を他人の言葉で
塗りつぶされるのだけはイヤ
せめて、自分の物語くらい
自分の手で書いていたい
真実に近づきすぎれば痛む
遠ざかりすぎれば曇る
ちょうどいい距離を測る感覚
努力して身につけるというより
もともと身体のどこかに
備わっていた感覚として残るもの
自分の手に責任の重みを感じないときは
相手が心血を注いで築いてきたものを
無自覚に壊せてしまう
もし、石垣の小石が抜けたら──
抜いた人は、気づきもしない
たった一つの小さな石でも、支える側にとっては
全体を崩壊させかねない致命的な一手になる
その想像力が欠けると──
ほんとうは、誰にも見えない場所で
その人なりの痛みや選択や
どうしようもない夜が積み重なっているはずなのに
嘘に見えてしまう
嘘じゃないことはわかるけれど
多分、どっちも本音
まあ、そんなもんだよね
だれかの心に消えない景色を残せる表現者に──
<了, 約 630 字>
見出し画像: 筆者撮影(東京都、2010年代)
(あまりにも生成できず諦めて実写です🫣)

まいいや、死んだら作品管理してもらおう😆🤍
作品が売れたらおいしいもの食べに行ってもらおう
それではまた、次の記事でお会いしましょう!
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