ヨーロッパ珍道中⑥ パリ
ピレネー山脈を越え、パリへ向かう列車の中で、また驚くべき一報が入った。
パリ・カルチェラタンで爆破テロが起きたというのだ。
金浦空港を飛び立った直後には別の事件があり、今度は到着直前にテロのニュースである。
妙な偶然が続いていた。
しかも予約していたホテルは、そのカルチェラタンにある。
どうするか。
しかし結論は単純だった。
ええい、ままよ、行くしかない。
若さゆえの蛮勇だったのかもしれない。
パリ。
凱旋門、ノートルダム大聖堂、モンマルトルの丘。
街のあちこちに、教科書や映画で見た風景がそのまま存在していた。
さらにこの旅の中では、なぜかバチカン市国まで回っている。
ヨーロッパを駆け足で横断している感覚だった。
二日目は、パリ郊外のシャルトルへ向かった。
ステンドグラスで有名な大聖堂がある街だ。
静かな地方都市の空気は、パリとはまた違う落ち着きがあった。
パリの印象として残っているのは、街の“気位”だった。
どこかプライドの高さのようなものを感じる。
地下鉄ではフランス語表記しかなく、英語をあまり使わない。
それもまた一つの文化なのだろうが、外から来た者には少し距離を感じる場面もあった。
さて、旅はいよいよ最終目的地・ロンドンへ向かうことになる。
■愛次郎とのやり取り
愛次郎が地図を見ながら言う。
「ピレネー越えてすぐテロ情報って、タイミング悪すぎません?」
「そういう星の下なんだろう」
「いや、星のせいにする話じゃないです」
「でも行った」
愛次郎は少し黙ってから言う。
「それ、もう旅行というより移動ゲームですね」
「うまいこと言うな」
カルチェラタンの話になると、愛次郎は少し真顔になる。
「それでも泊まるんですね」
「予約してるからな」
「そこは律儀なんですね」
「意外とそういうもんだ」
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