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ネイティブが聞いたらびっくりする英語の俗説

ネイティブが聞いたら「え? そんなこと一瞬も考えたことないし、むしろ気持ち悪いんだけど……」とドン引きしたり、爆笑するような「イメージ解説」は、日本の英語教材界隈にゴロゴロ転がっています。

彼らが提唱する「宇宙の法則(イメージ)」が、実際のネイティブの日常的な感覚といかに乖離しているか、彼らが聞いたらびっくりする代表例を3つご紹介します。

1. have to の「外からの圧力で押し潰されそうなイメージ」

学校で習う have to(〜しなければならない)の解説でよくあるのが、これです。

  • 「must は自分の内から湧き上がる強い意志! 対して have to は、外からの客観的な圧力やルールに、背中をドーンと押されて(あるいは押し潰されそうになって)仕方なく動くイメージなのだ!」

💡 ネイティブが聞いたら:

「いや、ただの日常会話なんだけど……」と困惑します。

例えば、ネイティブが友達と遊んでいるときに "I have to go to the bathroom."(トイレ行かなきゃ) と言うとき、彼らの頭の中にあるのは「尿意」という生理現象だけです。「社会的なルールや外からの圧力に押し潰されそうになりながら、義務感でトイレに向かう」ような壮大なドラマは、彼らの脳内には存在しません。ただの「そうする状況にある」という事務的な表現です。

2. 現在完了形(have + 過去分詞)の「過去からエネルギーの矢印が伸びてくるイメージ」

イメージ英文法の花形といえば現在完了形です。

  • 「過去に起きた出来事のエネルギーが、時間の矢印となって現在に向かってビヨーンと伸びてきて、現在の自分にドーンとぶつかるイメージ。だから『過去』ではなく『現在』完了形なのだ!」

💡 ネイティブが聞いたら:

ネイティブにとって現在完了形は、以前お話しした「ファイリングシステム」の噛み合わせに過ぎません。彼らは "I've lost my keys."(鍵をなくしちゃった) と言うとき、「過去から失くしたエネルギーが現在に……」などと妄想してはいません。ただ単に、「『鍵を失くした状態』を、今(have)持っている」という、静的な事実の報告として使っています。

3. Core Image(コア・イメージ)の呪縛:「すべての意味は一つに繋がる」という嘘

これが最もネイティブをびっくり(あるいは呆れ)させるポイントです。

日本のイメージ文法では、例えば前置詞の by のコア・イメージを「〜のそば(近接)」と教え、そこから「期限(〜までに)」や「手段(〜によって)」という意味への広がりを、一枚の美しいマインドマップのように解説します。

  • 「期限の by は、その時間の『すぐそば』にターゲットをピタッと寄せるイメージだから『〜までに』になるんだよ!」

💡 ネイティブが聞いたら:

「いや、それは完全に別の意味として脳の別々の引き出しに入ってるよ」と言われます。

ネイティブの脳内では、「場所(そば)」の by と「期限(までに)」の by は、たまたま同じスペルと発音(音の偶然)を持っているだけの、実質的にまったく別の単語(あるいは別の文法機能)として処理されています。

彼らは、締め切りに追われて "by Friday"(金曜までに) と言うとき、頭の中に「金曜日のカレンダーの横にピタッと寄り添う自分のイメージ」なんていう詩的な絵は描いていません。ただ「期限」という事務的な引き出しをパッと開けて使っているだけです。

💡 結論:彼らが困惑する理由

なぜネイティブが困惑するのかというと、彼らにとって英語は「息をするのと同じように、何も考えずに自動処理しているただの道具」だからです。

日本人が日本語を話すとき、「『私は学校へ行く』の『へ』は、目的地に向かって意識の矢印が向かっていくイメージだから……」なんて一瞬も考えないのと同じです。

「ネイティブの頭の中のイメージ」と称して売られているものの正体は、ネイティブのリアルな脳内ドキュメンタリーではなく、「日本人の英語講師が、バラバラの文法規則を自分が納得するために後付けで創作したファンタジー文芸作品」でしかありません。

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