テレビの仕事に求められる能力
ひとことで言えば、
“全て”
です。
他の仕事も様々な能力が求められるのでしょうが、テレビの仕事は本当に全ての能力が求められます。能力が仕事に表れやすいと言った方がいいでしょうか。
分かりやすい例を挙げると、漢字です。テレビでよく出てくる【テロップ】ですが、漢字を知らなければテロップ原稿を書けませんし、間違いに気付くことが出来ません。
そして、言語力。日本語力が無いとスタジオトークやVTRの台本を書くことが出来ません。逆に日本語力があれば、視聴者を惹き付けるような言葉選びが出来ます。外国語を話せれば、知っている言葉の限りその国の人に通訳を介さずインタビュー出来ますし、外国語の映像や文献から情報を得ることも出来ます。
幅広い知識と人脈も求められます。いつも番組を作る際は都度その内容に関わる勉強をするわけですが、知識があればあるほどより深い内容の番組作りが出来ます。人脈があれば、他のテレビ局が掴めない独自の情報を得られたり、番組作りに協力してもらったり、実際に番組に出演してもらって専門的なことを話してもらったりすることも出来ます。
さらに、一番求められる力だと思うのが、抽象的な言い方になりますが人間力です。
東京キー局の夕方ワイド番組をやっていた時に、尊敬する先輩ディレクターの一人が飲みの席で酔っ払って言い放ったひとことが、今でもとても印象に残っています。
当時の番組スタッフに、キー局の社員(局員)で、正直あまり仕事が出来ない新人がいました(ちなみに、先輩やfox.chは制作会社の社員です)。新人は当時23歳くらいだったと思いますが、女性と付き合ったことが一度も無いという話になったのです。そんな中、先輩が言ったのが…
「女も口説けねぇ奴が、取材相手なんて口説けるわけねぇだろ!!」
「たしかにその通りだ」と思いました。
テレビの仕事では相手を口説き落とさなければいけない場面が多々あります。インタビューに答えてもらうため、番組に出演してもらうため、番組のスポンサーになってもらうため・・・番組の内容をアピールしてというのはもちろんなんですが、最後の一押しとなるのは熱意であったり、人柄であったり、言葉選びだったりするわけです。前回のnoteで会社の面接の話を書きましたが、フィーリングというのは人間力がもたらすものなのかもしれません。
fox.chが相手を口説き落としたエピソードについては、追々noteで書いていきたいと思います。
そしてもう一つ、様々な能力を備えた上で違いを生み出すと思うのが、これも抽象的な言い方になりますが、センスです。いくら能力があっても、それを表現するセンス(術)が無ければ、その能力は最大限に発揮されません。fox.chはセンスとは生まれ持ったものだったり、生きていく中で自然と身に付いたものだったりするとなんとなく考えていたのですが、最近違う考え方を得られました。
来年の元日に1年がかりで制作したドキュメンタリー番組を放送する予定なのですが、その主人公はfox.chの1歳年上で、70年以上続く鉄工所の3代目です。鉄工所でモノづくりをずっとされてきた方ですが、アートやデザインの分野にも見識が広く、その道のトップランナーたちとコラボレートしたモノづくりも数多く手掛けています。
その方に番組の中で、「センスとは何か」を問う場面がありました。その答えが…
「いかに知識と経験がその裏に潜んでいるかがセンス」
これまでふわっと考えていたセンスというものの輪郭がハッキリした感じがしました。
さて、ここまでつらつらと書いてきましたが、これを読んだ若い人の中には「そんなに求められるものが多いなら自分にはテレビの仕事は無理だ」と思ってしまった人もいるかもしれません。でも、テレビの仕事に正解はありません。
たしかに能力があるに越したことはないですし、番組作りの外せないセオリーや“鉄板ネタ”もあるのですが、何が視聴者にウケるか分かり切っていない世界でもあります。
テレビが好きであれば、なんとでもなってしまう仕事だとも思います。fox.ch自身、大学は経済学部出身で番組制作の知識はゼロでしたし、もちろん今回挙げた能力を全て持ち合わせているわけではありません。仕事を始めてからでも自分次第で知識も経験も人脈も人間力もいくらでも積み上げることが出来ます。
ぜひ思い切ってテレビの世界に飛び込んできてもらいたいと思っています。
次回は、fox.chが最初に就いた番組について書きたいと思います(終)
