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空き家のセルフリノベーションで見えなかったこと。文章だけでの振り返り。

アルプスの麓。
高原の森の奥に、
吹けば飛ぶような、ちっぽけなカフェを、
妻と二人きりで営んで、8年目になります。

静かな時間を愉しむ為のお店と銘打って、
本当に細々と、
爪に火を灯すように、妻と二人きりで、暮らしています。

そんな儲からないお店を、儲からないままに続けていくために、あれやこれやと、あくせくしています。

少し前に、空き家のセルフリノベーションプロジェクトのことをnoteにも書かせていただきました。

プロジェクト名は、【森と小川の借り暮らし】

偶然から自分たちにとって理想の土地・建物を見つけてしまい、どうしても欲しくなってしまい、でもお金は一切ないから、銀行からご融資をいただく為に無理矢理事業計画を捻り出しました。

無事に融資を受け、その土地と空き家(廃墟)を自分達のものにすることができ、DIYによる改修の日々が始まりました。

あまり更新することもできなかったけれど、作業の様子を気まぐれにInstagramに投稿したりしていました。(DIYの途中経過を報告する為のアカウントだったので、やはり動画が多かったです)

今回は、せっかくこのnoteという場所なので、
そんなInstagram投稿の中から、文章の部分だけを切り抜いて、まとめて並べて陳列しておきたいと思います。

自分にとっても、その時の言葉だけを掘り起こして、映像とは別に篩にかけて眺めることで、きっと改めて気付くことがある、と思いました。

映像は、現在を写して残してくれるけれど、
言葉には、まだぜ〜んぜん届かない未来へのお祈りとか、夢とかが一緒に煮込まれてる。

まえがき


森のふところ。
小川のほとり。

そんなところに暮らせたら。

でも所有には様々な困難があることを
私たちは身をもって知っているから、

だから、そんな理想の土地の古い建物に、
私たちらしく少しづつ手を入れて、
【借り暮らし】の舞台として用意することにしました。


地域で唯一といわれる
市街地に残された貴重な平地自然林。
その南側に隣接した、陽射しに溢れた土地。

森との境には小川がさらさらと音を立てて流れ、
広いお庭と、元々は学校の先生が住んでいた古い建物。

ここが【森と小川の借り暮らし】の舞台です。

”森と小川の借り暮らしの手引き書” より引用


真っ先にやったことは、
古い建具(襖や障子)を取り外したこと。

それだけで明るく広く、別の空間のように感じたことを思い出します。

開け放ってあげること。

自由になって、さてここから新しいカタチを考えます。

人生には、【蓋を開けないとわからない】ことがたくさんあって、

そのドキドキを楽しめるのか、
もしくは不安に取り込まれてしまうのか。

宝箱だらけだよね。人生は。

ここのところずっと、
塗り固められたものを剥がし落とす作業を続けています。

ついたものをそのままに、
更に上から塗り固めることもできるのだけれど、

それではきっと、後から気になって気になって、
自分の心が重く不自由になってしまう。

だから、ガイガイと、力任せに剥がし落とすのです。

階段に、2階の壁を壊して抜いた時の破片が落ちてきています。

このコロコロしたものが、
この世界の欠片だったりします。

二階建ての建物の、一階天井を剥がしてみたら、コンクリートスラブが現れて、、

こうなったら潔く、丸出しにしてしまえと、木部も全撤去することにしました。

潔さ、普段の僕に足りないものだなぁ。

このセルフリノベーション作業もそうだけれど、なにかを作るってことは祈りにも近いと感じます。

こう在りたいなぁといった理想や憧れを委ねて形にしていくものですから当然ですけれど、

改めて、潔くいきたいなぁと、思うのでした。

壁の破壊は、まだまだ続くのでした。

6畳2間の空間は、守られるもの(個の空間や空調効率など)が在る代わりに、風と光と自由が閉じこもっていました。

先ずは自由になってみて、その後で考えればいいと思いました。自分の望みを。

だからとにかく、壊しまくろうと決めました。

部屋の壁だけでなく、廊下との壁まで、そして収納の壁まで、

建物を支えていない壁は、なるべく取り払います。

その後で、考えましょう。

※フミノさんは凝り性なので、壁の内側までお掃除したくなってしまいます。なので、壊さないとお掃除できません。

壁は、何でできているのでしょうか?

これも、壊してみなければわからなかったのです。

確固たる信念、みたいなもので出来上がっている壁もあるかもしれないけれど、

その多くは、意外と脆くて、体裁とか体面とか、要は芯のない見てくれだけのものだとわかりました。

今の私たちにとっては、不要な壁です。

壊した残骸をきれいに片付けて捨てて、不要な虚構や誇りを失くします。

また必要になったら、作ります。

何かを壊したら、何かが出る。

希望。とか
思い出。とか

ではなくて、ゴミ。

そして、ゴミは捨てるのにもお金がかかるのですよ。

なので、破壊された壁は細かく仕分けて、
モルタル部分は細かく砕いて、お庭の砕石代わりに使用します。

ひとつひとつの破片を、ハンマーで叩いてモルタルを剥がすのです。

石膏ボード部分は、業者さんに頼んで捨てていただきます。

希望は捨てず。
思い出はお庭に植えます。

この齢にして、こんなにも自分の能力の限界というものに向き合うことになるとは。。

電気工事士のお勉強は、私にとっては甘いものではなかった。

なにしろ根っからの理数系ぎらいだったので、
オームの法則なんて覚えてやしないし、三平方の定理も忘却の彼方。

それどころか、円周率も脳のどこかへ迷子になり、ルートって?という状態。

極め付けは、なんと分数の計算すらできなくなっていた。。

また、元来のメンドクサイ性格が自身を呪う。

公式を覚えれば解ける!そんな問題も、素直に暗記だけすることができずに、なぜそんな公式になっているのかを理解しないと前に進めない!
なんで?なんで? ばかりが頭の中で暴動を起こし続けた。

受験を決めた当初、試験内容も知らないままに店主♀の『アナタならなんとかなるわ♡』発言を盲信していた私は、この試験をナメすぎていた。

なるべく経費削減を考えていたために、参考書や問題集を購入することも惜しんで、図書館で借りればなんとかなるか?とタカを括っていた。

これはヤバイ!と慌てて参考書を購入したのが4月末。

筆記試験は5月29日と、その時点で本番まで1ヶ月しかないという状況だった。

大型連休や、保健所の営業許可の更新による立入検査、そして定休日を利用してのコーヒー講座開催など、5月は無我夢中でお店の営業に全力投球せざるをえなかった。

そしてあっという間に、筆記試験の日を迎えたのであった。。

年末年始の詰まりきった予定も終わりが見え、
いよいよ本格的に私たちにとってのDIY期間が始まろうとしています。

私たちが行なっているのは、築45年と築46年の自分達より長生きである建物を、自分達の手でリノベーションすることです。

建物の躯体だけを残し、構造や強度に影響のない部分をなるべく解体して、キレイにお掃除したり作り直したりしています。

オタク気質で理屈屋で、なるべくたくさんのことを理解しておきたい僕と、
変なところで凝り性で、少し潔癖症?の気があるフミノさんは、

この建物がどんな風にできているのか、
見えない部分はどうなっているのか、
少しでも把握しておきたいですし、
今見えている壁の裏側も、
そしてあんなところやこんなところまでも、
お掃除したくなってしまう。

だから、こうした俗に言うスケルトンリフォームで、徹底的にやる方が性に合っているのだろうと思います。

なんでもそうだけれど、
【見えないところに手間をかける】
ということが、祈りにも繋がるように信じているのです。

古い建物をいじっていると、
使われているほとんどのネジは、マイナスネジです。

現在ではほとんど使われなくなってしまったマイナスネジ。(9割がプラスネジだそうです)

マイナスネジの歴史は古く、プラスネジは1952年になって初めて日本に持ち込まれました。
持ち込んだのは本田宗一郎氏とのこと。




たった一本の、線の増減。

それによって、締め付け強度や、作業効率に格段の差が出て、機械による締め付けを行うことも可能になりました。

僕自身も、リノベ中に山ほど現れるマイナスネジの使いにくさに、溜息を吐いたこともあります。

・・ただ、マイナスネジは、美しい。




たった一本の、線の増減。

マイナスネジの佇まいは、潔く、凛として、筋が通っています。

・・気が付いたら、新しく付け替えたスイッチプレートにも、新しく取り寄せたマイナスネジを締めている自分がいました。

3月に実施した、たった3日間の【森と小川の借り暮らし〜未完成見学会〜】に足を運んでくださった皆様、遅ればせまくりながら、本当にありがとうございました。

そのたった3日間の為に、2人で様々な準備をした日々が既に懐かしいです。

アート作品を展示するギャラリーをイメージして、
私たちの手作業の行程がまるで作品に見えるように展示をしたり、
気付かない人も多いようなメッセージカードをたくさん作って飾ったり、
可能な限りの雑貨を何往復も運んで並べたり、
そして、そこでお茶を飲む時間を過ごしていただけるようにしたり。

徒労と言われれば、それまでなのだけれど、
この無益な手間のかけかたが、なんとも私たちらしいなと、2人でにんまりして、自己満足の海に溺れました。笑

そして、そんな私たちの趣味の塊りのようなモノと時間を、沢山の人がわざわざ足を運んで味わいに来てくださって、ただの自己満足に少し足の生えた、価値あるものへと、引き上げてくださいました。

本業においてもそうなのですが、お客様に何かしらの“良い”ものを残したいと願いながらも、

何をしたらお客様にとって”良い”ものなのかを描けるほど、器用でもないし、優秀でもありません。

だから、とことん自分たちにとっての“良い”ものを追い求めるしか他に術なく、これはともすれば、ただの自己満足で終わって朽ちてしまう。

それを、自己満足ではないものに引き上げてくださる錬金術師は、いつでも、心優しく、心響きあった、お客様方です。

あらためて心から、心のそっこの方から、御礼を申し上げます。

※まだまだ、リノベは続くよ。

元々は押入れだったところ。

何かモノを押し入れるのではなく、自由に使える空間にしたいと思いました。

勿論、棚を置いて収納スペースにしても良いのだし、こうしてちょっとした椅子とテーブルで、お茶を飲む場所にしても素敵だなと思って。

イメージをするのって、すごく大切なことなんだと、今回のセルフリノベーション作業を行いながら、強く思っています。

昭和感満載だった古い建物から、生まれ変わった後の姿を明確にイメージすること。

このイメージが描けなければ、作業の手も動き出さないし、何よりこの挑戦をしようとも思えなかった。

自分達がここに暮らすことを明確にイメージすると、すごく幸せな気持ちになれます。

そして、ここに借り暮らしをする人の笑顔もイメージして、作業をふんばってがんばります!!

このセルフリノベーションは、

わたしたちにとっての【作品】だったり、

その為の道具は、誰かにとっての【作品】だったり。

2021年11月に出会った、この【森と小川の借り暮らし】の土地建物。

2022年2月からDIYを始めて、計3戸分のセルフリノベーションに取り組み、主に冬の間、お休みの日に、せっせと手を動かし続け、

2023年夏には、2戸がそこに暮らす人を迎え、

2024年2月に、最後の3戸目のDIY作業を終えて、新たな暮らしが始まりました。

たくさんの人から、ご助力や励ましをいただきながら、2人でがむしゃらにやってきました。

まだまだ外構工事・お庭作りなどを残しながらも、ひとまずのひと段落。

改めて振り返ると、あんなことやこんなこと、頭を悩ませたことや、疲労でボロボロになったこと、暑かったことや凍えたこと、溜息を吐いたこと、歓声を上げたこと、

様々に思い出される、めまぐるしい日々でした。

未完成の状態、

床も張り終えていない状態で、

見学会を開催させていただいた。

失敗も、汚れも、

全部がわたしたちの作品であり、表現活動だった。

新たにフローリングを張り直す床には、

養生もせずにペンキが飛び散って、

まるで星空のようだった。

見学会に御足労いただいた親愛なるお客様方には、

星空の上にまで、御足労をいただいた。


こんな、むっきゃむっきゃな文章ですが、
自身で読み返すと、込み上げてくるものがあります。


次は、逆に写真だけで振り返りたいと思います。笑

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