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私の2025年のアルバム#4

「God Shaped Hole」 Those Damn Crows

ウェールズのバンドの4作目。

全然知らなかったんですけど、サブスクで流れてきて、良い曲やってるので気になって調べてみたら、UKのオフィシャルアルバムチャートで1位を獲ってるっていうじゃないですか。

ちょっとまだ素性があまりわかってないんですけど、歌メロの利いたゼロ年代以降のハードロック/メタル。ニッケルバック以降というか。アメリカならこんなバンドは今も普通にいそうだけど、ウェールズでもこんな音を出してるバンドがいるんだなあという意外な印象。

元々はエクストリームメタル/グラインドコア系レーベルだったイヤーエイクというUKのインディレーベルと契約しているバンドだそうだけど、レーベルメイトにはマッシブワゴンズやライバルサンズのようなブルースロックバンドなどがいるということで、なかなかの親近感。

ただ聴く人の対象年齢は高そうだなあという感じ。今も根強くこうした骨太なロックバンドを支持している40代50代がアクセスしやすそうな、オジサン向けという感じもしなくはないけど、現在の20年代でも、本国チャートやメインストリームでこんなバンドが活躍しているなら、無名すぎてる日本でももっと紹介される存在になってほしいな。

「Chasing Euphoria」 Harem Scarem

カナダのバンドの16枚目。

ヘアメタル隆盛末期にメロディアスハードロックバンドとして登場して、2作目のムードスウイングス(日本盤ではデビュー作。)では、日本のハードロックファンに広く高い評価と認知がされて、そして逆風の中での試行錯誤の活動形態が印象的だった90年代の中盤以降。

個人的にはムードスウイングスから入っていって、即座にお気に入りのバンドになったものの、この後半のパワーポップ化していく流れが、特に自分の中ではとても好きな時期でした。

今もそうなのだろうと思いますが、とにかく誤解を恐れずに言えば、彼らは名盤とされるムードスウイングスへの完成度とその憧憬に縛られているイメージはすごくあって、レビューの大半はそういうところが前提になっているような気がします。

混迷のラバー期を過ぎて、もう一度バンド音楽をリセット・リスタートをかけて、フロンティアズ・ミュージックというレーベルと契約して、それから今日まで長らく積み上げてきた現在。

21世紀の彼らのディスコグラフィーを見て驚かされるのは、ソロやその周辺バンドまでも含めると、アルバムのリリースの数がとても多くて、バンド本体は1回4年くらい解散もしてたりするんだけど、とにかく作品のリリースや裏方業と休みなく動いてるんですよね。

この辺の彼らの生真面目さはずっと印象的で、結局90年代の不器用な振り回され方も、少しでも上向きでいたいという思いと、やれることはやろうとする真摯な行動力と自身の器用貧乏が招いたことだとわかるような気もします。想像ですけど、彼らもこの時の酸いな部分は結構学んだんじゃないですかね。

そして、今回見せてくれているアルバム作品の内容も、自分たちの持ち味となる音楽性の継続と自信ある老舗のやり方で、少しでもそのレベルの高いものを喜んでくれるファンに提供したいと思ってくれてそうな感じの、改めて真面目な人柄が垣間見えるような作品の仕上がりでした。

終始メロディアスでポップ&キャッチー、いつもと変わらない歌謡とテクニックな演奏を魅せてくる安定のハードロック。多分もう長く愛されてきてるような、いいとこの甘味処のお菓子みたいなもんじゃないですかね。間違いないやつ。

「Stereo Crush」 Gotthard 

スイスのバンドの14作目のスタジオアルバム。

2010年に交通事故でスティーブ・リーを失ってからのバンド活動の舵取りはなかなか試行錯誤だったとは思いますが、ボーカルが代わると普通に乗り越えなければならなくなる試練の数々、それに加えてスティーブのような強力なキャラクターが、ある日突然悲劇的に奪われた形となると、色んな人の気持ちも難しくなりますよね。間違いなくスティーブ・リーは、とても優秀なカリスマ的シンガーでしたから、それは余計に悲しいことでした。

それでもバンドの継続を選択して、直後のオーディションで選ばれたニック・メーダーというボーカリストが加入してから、もう15年もの月日が経過しました。

かつてのスティーブ・リーは、ハスキーかつソウルフルな声質と歌いまわしで、楽曲を自分から引っ張って魅了していくような、まさにカリスマのようなシンガーだったと思うのですが、継いだニックは声質こそタイプは似ているものの、スティーブほど声が抜けるようなボーカルではないので、どちらかというとバンドの音の中で、ブルージーでじっくり聴かせる方に向いている感じかなという風で、これまでのホワイトスネイク的なハードロックで依然勢いをしっかり感じさせながらも、ブルースロックの部分が少し濃くなってたりして。

その辺の違いから生まれる賛否や反響の大きさ、何なら無い物ねだりまであったとは思いますが、新体制3作目、前々作にあたるSilverでは、キャッチーさの混ぜ具合が上がったような、覚えやすくて良い曲があるなっていう印象が先に来て、そんな違和感も乗り越えて、バンドの未来へのポジティブな展望が同時に見えたような感じに、個人的には思えました。

かつてバンドの2作目で国内アルバムチャートのトップに立って以来、途中の変化にも対応して、今回のアルバムまで1作も外さず、13作連続でチャート1位を継続し続けているそうで、これがなかなかすごい話。今もファンベースを確保して、国民的バンドという看板を維持し続けているイメージなんでしょうね。

今回の作品もその調子で、安定して充実した内容。良い楽曲とパフォーマンスが揃ってるっていう感じで、どうやらこの作品に加えられる続編ももうすぐリリースになるようなので、もしかしたら今のバンドの状況は最高潮だと言えるのかもしれません。

「Roar Like Thunder 」 Buckcherry

カリフォルニアのハードロックバンドの11作目。

90年代の終わり頃に登場して、落ち着きつつあったハードロックシーンに、Lit Upの例の印象的なギターリフでバンドの狼煙をあげた彼ら。個人的には、2000年元旦の日にお台場のゼップまで、実際どんなもんかと観に行ったことが思い出されます。

最初の2作の後に一悶着あって、活動が一度終わってしまうものの、再結成して立て直し、3作目の15ではミリオンレベルの商業的な成功を収めて、見事復活。それから20年もの月日が流れて、現在はオリジナルメンバーもジョシュ・トッド1人だけになりつつ、それでも当初と変わらないモチベーションで、バンドの勢いを保っているよう。

果たしてこうしたAC/DCやモーターヘッドのようなバンド音楽は、もはや時代遅れなのかという問いが長くやってるとリスナー側にも訪れてくるけど、彼らはバラードのような甘い時間なども設けずに、ただひたすらにカミナリのように吠え続けるという信条のもと、他の競合を寄せ付けず、ラウドに鳴り響くギターロックンロールがただ格好良くて、それに魅了された人たちの集合体、我々はその取り巻きでしかないということで、今もバンドが支持されていいはずだと思います。それ以上それ以下でもなくて、長い間とてもタフでストイックな世界をずっと体現できているのが、彼らのすごさなのだと思う。

世の中全体もそうなっていることに合わせていることもあるのかもしれないけど、このアルバムが1枚10曲31分で完結する潔さも魅力。短い時間で充実した彼らの出力の高いカミナリ音を堪能することができる。


「The Wild Card」 Treat

スウェーデン・ストックホルムのバンドの10作目。

自分の中では、大体昔の北欧メタルのカタログとかを眺めてると出てくる名前だなあっていうくらいの印象しかないバンドだったんですけどね。

バイオを読んでみると、ヒット曲に恵まれる運がなかったといってはそれまでなんですが、なかなか不遇なバンドで、80年代に北欧方面からのハードロックバンドが注目を集めて、その流れに乗ってメジャーデビューしてずっと活動していたものの、同じスウェーデンから、ヨーロッパがファイナルカウントダウンの大ヒットで一気に有名になり、ノルウェーのTNTも好調に活動中、その最中もこのバンドはそれなりの健闘を見せたものの、大成功とはほど遠い展開に。そうこうしてるうちに90年代になって、業界は様変わりして逆風に転じ、その煽りを受けて、93年にバンドは解散。

05年にベストアルバム的編集盤がリリースされると、それなりの反響を得たバンドは再結成することになり、それ以降新譜を出し続けて活動するバンドとして今に至る。前作では国内アルバムチャートのトップ10以内にランクインするという快挙も生まれている。

北欧のバンドらしい重厚なキーボードサウンドを纏ったハードロックで、ヴァンヘイレンのように高いプレイテクニックに、ジャーニーのようにキャッチーなハードポップ部分が強み。

個人的には80年代のあのリヴァーブの利いたバンドサウンドが、後追いで聴いた立場からはあまり好きにはなれず、若い頃はその辺の多くはあまり触れることはせずに、聴く機会を失っていたのですが、現行の音源だとそれが時代とともに解決されて、好印象に転じたよう。

前作を聴いた時に良かった印象は、今回の作品も同じように引き継がれていて、得意の持ち味の形が成功したまま。昔よりずっと器用で、キャッチーでシンガロングがしやすい楽曲の宝庫。時代の潮流に乗っている時もそれに合わせて良かったんでしょうけど、今の方が純粋により良さが素直に伝わりやすいのかもしれません。

今度フェアウェルツアーで日本にやってくるらしいです。いま世界的にそういうパッケージで付加価値をつけて回るのが流行ってますけど、ご年齢がおいくつなのか、えー、この作品で最後?って感じですよね。




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