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「骨太ショック」なるもの

日本国債の10年債利回りが3%に近い水準まで上昇してきた。
骨太の方針の原案が示されたのと金利上昇のタイミングが重なったことから、今回の金利上昇に対して一部では「骨太ショック」と命名する向きもあるようだが、果たして足下の金利上昇は「骨太ショック」と呼ぶべきものなのだろうか。
※ 7月13日にグラフを7月10日終値ベースで更新しました。

過去の「ショック」との比較

我が国において、国債市場の流動性がある程度確保されてから発生した「ショック」と呼ばれる金利の急騰局面は二つあった。
一つは、1998年終わりから99年始めにかけて発生した資金運用部ショックであり、もう一つは、2003年6月に発生したVaRショック(「バーショック」又は「バリュー・アット・リスクショック」)である。
二つのショックのときと最近の長期金利(10年国債利回り)の動きを比較したものが下図である。

奇しくも、二つのショックの際の金利の動きは似ており、50bp(=0.5%)程度の二度の金利急騰局面を経て、ショック前と比べ最終的に100bp程度の金利上昇となった(資金運用部ショック時には1%台半ばから2%台半ばまで、VaRショック時には0%台半ばから1%台半ばまで)。
過去二度のショックと比べれば、最近の金利上昇はより緩やかで上昇幅も限られていることがわかる。
また、「ショック」と呼ばれる金利急騰の海外の事例としては、2022年9月にイギリスで発生したトラスショックが記憶に新しいが、このときも、英国10年国債利回りは、短期間に3%台半ばから4%台半ばまで、約100bpの幅で上昇していた。
過去の「ショック」時と比較すれば、最近の金利上昇は限られたものであり、後世「ショック」と呼ばれ続ける可能性は低いのではないだろうか。

海外の金利動向との比較

また、長期金利の上昇基調は、骨太の方針の議論に始まったものではなく、ここ数ヵ月継続している。
その大きなきっかけとなったのが、2月末のアメリカ、イスラエルによるイラン攻撃開始であり、ホルムズ海峡封鎖に伴う物流(とりわけ原油供給)停滞によってインフレが加速するのではとの懸念から、各国の長期金利が上昇した(下図参照)。

2月末から、ピークをつけた5月20日頃にかけて、主要先進国の10年国債利回りは揃って60~70bp程度上昇した。
アメリカとイランの間での停戦協議など緊張緩和への期待から、5月下旬以降は金利が一旦低下していたが、足下では相互に散発的な攻撃が繰り返されるなど予断を許さない状況となっているため、長期金利も再び上昇している。
このところの長期金利上昇は、日本に限った話しではない。
(強いて言うなら、諸外国の長期金利は5月20日頃のピークを上回るところまでは行っていないのに対し、日本だけがそれを超えているのは、骨太の方針に関する議論の影響かもしれない。)

近時の長期金利上昇を「骨太ショック」と呼ぶのは、縦(歴史)・横(国際)での国債市場の動きと比較し、金利変動の大きさという意味でも、また、原因を骨太方針だけに帰してしまっているという点においても、妥当な命名とは言えないであろう。

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