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第26話 神が宿るスタジアム(2001年6月号)

 アントラーズの歴史には、ドラマチックな出来事がたくさん詰め込まれている。ホームスタジアムである県立カシマサッカースタジアムにまつわるエピソードも尽きない。アントラーズが初年度のJリーグに加盟することは「99.9999%無理」と言われた状況を奇跡的にひっくり返したのは「日本初の屋根付きサッカー専用スタジアム」を完成させたことが大きかった。
 週末になると、おじいちゃん、おばあちゃんから子どもたちまで、みんながカシマスタジアムを目指す。チケットを取るのは大変だったけど、なんとか手に入れたチケットを握りしめて、スタジアムにやってくる。たくさんの屋台が並び、試合前からお祭りのような雰囲気のなかで、ワクワクしながら試合開始を待つ。この場所で、数多くの名勝負が繰り広げられ、歓喜の瞬間に居合わせた人たちの記憶とともに、歴史が刻まれてきた。
 そんなカシマスタジアムで、2002年、FIFAワールドカップ日韓大会が開催されることが決まり、15,000人規模だった収容人数を、4万人まで拡張する工事が行われた。これまでのスタジアムをベースに2階部分が増築されて、メインとバックスタンドを入れ替えて反対側に本部機能などがすべて新設された。これまでの雰囲気をそのままに、最新機能をそなえた、流線型の屋根が美しい新しいホームスタジアムが完成した。
 こけら落としとなったゲームは、2001年5月19日のJリーグ柏レイソル戦だった。アントラーズは、節目となる試合で劇的な試合をすることが多い。この試合も、書ききれないほどエピソードが満載だ。新スタジアムのファーストゴールはレイソルの黄善洪(ファン・ソンホン)選手に決められたが、後半、柳沢敦選手の2ゴールで逆転。天気が急変して、雷鳴が轟く中での逆転劇だった。しかし、同点を許し、試合はVゴール方式の延長戦へ。延長前半、この日、先発に抜擢された曽ケ端準選手がPKを与えてしまった。絶体絶命のシーンだったが、サポーターの大声援を背にゴール前に立った曽ケ端選手は、黄善洪選手のPKをストップした。そのすぐ後のプレーで、Jリーグ開幕からチームを引っ張ってきた長谷川祥之選手がダイビングヘッドを決めて歴史的な熱戦に終止符を打った。
 ドラマのような試合が目の前で繰り広げられて、興奮冷めやらないまま選手のコメントを取りにミックスゾーンへと向かった。いつもは冷静に記者の質問に答える選手たちも、気持ちが昂っているのが伝わってくる。PKのピンチで、曽ケ端選手がはじいたボールをすごい勢いでクリアした秋田選手がロッカールームから出てきた。やっぱり興奮が隠せない。
「このスタジアムには、神が宿っているね!」
 開口一番、飛び出したこの言葉が、フリークスの巻頭を飾った。今読むと、少し気恥ずかしくなるような熱すぎるセリフだけど、この日、カシマスタジアムで試合を見た人たちの気持ちを表すのにぴったりの一言だった。秋田選手がミックスゾーンでコメントした光景は、いまでも記憶からよみがえらせることができる。僕の記憶に刻まれている、カシマスタジアム名場面の1シーンだ。


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