ワンプレイ1時間なのに本格派なスマホ戦略ゲー「三国ヒストリア」を作った
作った、と書きましたが正確にはリニューアルです。
初版リリースは2024年3月で、レトロゲームエンジンPyxelでスマホゲーム作ってストア配信したい、という実績解除が主目的でした。
目的は果たせましたし自分としては楽しかったのですが、ダウンロード数・レビュー評価ともに優秀な成果とは言えず、自分でもその結果に関しては「そりゃそうだよな」という感想でした。
その後2年間ほど「Dungeon Antiqua」シリーズを2作続けて作ったりしていたのですが、「三国ヒストリア」ももっと良くできるはずという思いがあったので、Dungeon Antiquaの3作目の開発が本格化する前の谷間のタイミングでリニューアルすることにしました。
というわけで、ここから「三国ヒストリア」を全力アピールしていきます。
見た目でゲームの内容や魅力が想像しやすい「Dungeon Antiqua」シリーズと違って本作は正直ちょいとわかりづらいので、作者自身が「どう素晴らしいのか」を必死に訴える見苦しさ全開のムーブをかましていく所存です。
どういうゲーム?
KOEI様の「三国志」や「信長の野望」のような戦略シミュレーション(ストラテジー)ゲームです。
最近のナンバリングのようにグラフィックが3D化してたりRTS要素があったりする高度なものではなく、それぞれの初期ナンバリングのような純粋なコマンド式で、グラフィックや演出は最低限です。

(注記)本作は縦・横画面の両方に対応しています。基本は縦画面ですが、本記事としては横画面のほうが見やすいのでスクショは横画面のもので統一しました。
本作の最大の特徴は、一般的な戦略シミュレーションゲームのように多様な選択肢からプレイヤーが行動を決めたり、戦争シーンで1つ1つ部隊を動かしていくのではなく、以下のように自分が操作できる範囲が限られ、オート進行の比重が大きい点にあります。
毎月軍議が行われ、プレイヤーは最大4つの提案から1つを選ぶ
戦争はオート
武将の移動も兵の輸送もオート(移動は一部マニュアル)
オートがどう振る舞うのかを決めるための「戦略」は自分が指定する

戦略シミュレーションというジャンルは通常「自分で細かく指定できるからこそ楽しい」という特性と、反面「細々しすぎてとっつきづらかったり、だんだん面倒になったりする」という問題も起こりがちですが、本作は操作できる部分を大胆に割り切りました。
さらに都市数も全部で17しかなく、大国の後方都市を延々と制圧していくためにかかる時間なども少ないので、タイトルにもあるとおり「戦略シミュレーションなのにワンプレイ1時間」というテンポの良さが実現できました。
もはやローグライク三国志とも言えます。
本作のウリ
オートの比重が大きい、と書いたので誤解を招いたかもしれませんが、近年のスマホゲーでままある「ほぼオートなプレイもできるしマニュアルプレイもできる」といった意味ではありません。
「サクッと遊べること+戦略を立てて攻略を進めることにフォーカスを当てるため、プレイヤーができることをぐっと絞った」というのが真意です。
この点を踏まえて、以下本作のウリを挙げていきます。
選択方式なのでわからなくても進められる
戦略シミュレーションの欠点の1つとして言われるのが、ノベル・アクション・パズルといったジャンルに比べてゲームのルールが複雑なので、「ゲーム開始しても何をしたらいいかわからない」となりがちな点だと思います。
そこで本作では、「さあ好きなように決めて!」だと困り果ててしまう人でも「A~Dのどれがいい?」と言われれば選べるだろうという考えのもと、前述のように「軍議の中から提案を選ぶ」をループのコアとするシステムを採用しました。

ただ実際には、「だからプレイヤーは迷子にならずに進められる!」かと言えば、それだけでは甘かったです。
有志を募集して事前テストをしてもらっていたところ、プレイヤーの方から「(攻略のコツという意味で)どうしたらいいかわからん」と言われてしまったので、慌ててプレイアブルなチュートリアルを用意しました。
他人の目線はやっぱり大事ですね。

細かい管理をしなくてOK
戦略シミュレーションゲームの場合、武将やユニットを自分で配置する必要があるものがほとんどだと思います。
それが醍醐味である反面、勢力が拡大していくと管理すべき都市や武将の数が多くなって面倒になることもありますよね。
そこで本作では「大方針(戦略)を決めておけば、あとはそれに沿って武将の移動や輸送が自発的に行われる」というシステムにしました。

また、本拠地以外の都市は強制的に太守(CPU)に委任することになります。
強制じゃなくて任意にする方が良いんじゃない?と思う方もいるかもしれませんが、今回は「自分で命令をくだす方がゲームを有利に進められるので、手間をかけて自分で操作する→プレイ時間が長引いたり面倒になってきたりする」という構造を極力発生させないコンセプトだったので、本拠地以外では直接命令できないようにしました。

あとは、「武将に褒美を与える」のような管理アクションも本作では不要です。
これも面倒を省くためという意図もありますし、何か特別な功績を上げたわけでない配下を突然呼びつけて金を与えるっておかしくない…?と常々思っていたのもあります。いやまあゲームとしての割り切りなのはわかっているんですが。
人材登用や計略や外交が必ず成功する
何を言ってるんだ、と思われるかもしれませんが、本作では人材登用(他陣営からの引き抜きも)、計略、外交コマンドは実行すれば必ず成功します。
KOEI三国志などに慣れている方だと「それじゃゲーム性なくなるだろ」と思われるかもしれませんが、そうではなく「成功する場合だけ軍議に挙がる」という仕様になっています。
私自身はこの手のゲームをプレイしていると「せっかく選んだ行動が失敗して何も得るものがなかった」というのが嫌で失敗したらロードしたりしてしまうので、システムとしてそういう状況が発生しないようにしたわけですね。

ちなみにKOEI三国志なんかだと、その対策として軍師の助言(成否の予言)機能があったり、成功率が表示されていたりしますが、「うまくいくと思ったらハズレを引いてロード」や「成功と言われるまで何度も条件を変えて成功するかを聞く」などの作業が発生してダルく感じてしまうことがあり、それは不毛だなと思うので、「とにかく実行したら(できる状況なら)絶対成功」にこだわりました。
念のためですが自分はKOEI三国志は大好きです。文句ばかり言っているみたいになって申し訳なくなってきたのですが、100点満点の中から「自分だったらこうする」と感じた1点とか0.5点の要素を挙げているだけなので誤解なきよう🙏
なお、これはこちらが受け側の場合も同じで、相手が「同盟する」「停戦する」と言ってきたら拒否権はありません。
それはリアリティとしてどうなのよ、というツッコミはおそらくあると思いますが、自分だけ断れるのはフェアでないので一貫性を重視しています。
中盤以降も作業ゲーにならない
この手のゲームにありがちなケースとして、序盤の小勢力時や敵が四方八方にいる間はエキサイティングだったのが、ある程度まで勢力を広げるともはや負けることはなく、あとは兵やユニットを補充してはさらに拡大、という作業感が出てきてしまう場合があると思います。
そこで本作では、大勢力になるほど他勢力が結託して大勢力に歯向かってきたり、太守が反乱を起こしたり災害が凶悪になったり異民族が襲ってきたり、と中盤以降も緊張感をできるだけキープするようにしました。

ただ、実際にいろんな方にテストプレイしてもらってわかったこともあります。
プレイヤーはどうしても「勝ちたい」ので、勝てそうな盤面になってきたのに、こういった邪魔のせいで気づいたら逆転負けしている、という状況が想像以上にストレスフルという点です。
制作側に回るとついそういう視点を失ってしまうのですが、プレイヤーの立場で考えるとそれはそうですよね。
一応の対策としては、攻略のTipsをゲーム中あちこちで表示するようにして、「なるほど、そうすれば負けないのか」とプレイヤーに気付いてもらえるようにしました。
ゲームデザインの難しいところだと感じます。
中高年層でも遊びやすいスマホゲー
もしかすると、記事中のスクショを見て「文字とかデカいな、というか端的に言ってデザインがダサいな」と思った方もいるかもしれません。正直に手を挙げなさい。
まあ私のセンスの問題がないわけでもないということもないものの、ちゃんと理由はありまして、私は40代ですが子供の付き合いでスマホで細かいゲームをやると情報量が多い≒文字が小さかったり、操作が細々したりして目やら肩やらが疲れます。
そしてあと10年くらい経つといよいよしんどいだろうな、と思ってしまいます。
そこで本作では、レトロ風=解像度は粗めという事情も活かして文字を大きくし、必然的にシミュレーションゲームの割に1画面内の情報量もかなり少なくなるようにしました。
そのため都市の内政パラメータも「治安」「防御」「治水」の3種しかなかったり、「兵糧」はもたせず「金」に集約したりしています。

さらに、前述のとおり「ワンプレイ約1時間」というコンパクト設計なので、スキマ時間以外とりづらい忙しい人や、集中力が続かない人(私)でも腰が重くならないプレイ体験を志向しています。
この辺ってやはり個人制作/インディーゲーならではだよなぁと思ってまして、AAAなゲームだったらそんなボリュームの小さいゲームなんて威信にかけて絶対出せませんし、グラフィックや演出が一流でない時点でアウトでしょう。
本作はそういった点にとらわれる必要もないので、「中高年層でも遊びやすいスマホゲーにする」という点をかなり優先度が高い目標としています。
こだわりポイント
続いて、「これはプレイヤーから見て嬉しいかどうかはわからないけど、作者としてはこだわった」というポイントです。
ロードしてもランダムイベントは変化しない
各勢力の行動以外のランダムイベント、たとえばKOEI三国志でいえば台風や「いなご」のようなバッドイベントが用意されていることも、この手のゲームには多いと思います。
災害イベントの場合、ほとんどは被害を受けて良いことはないので、先ほどの計略失敗などと同様、卑怯者の私は被害を受けたらロードし、そうすると乱数が変わるので今度は災害の発生が避けられる、といったズルをやっていました。
これも「単純に手間をかけてロードしたほうが損を防げる」という構図を産んでしまう要因なので、本作ではロードしても月初のランダムイベントは変化しないようにしています。

難易度の違いを物量や計算式で調整しない
本作には難易度として「普通」「難しい」があります。
シミュレーションに限らず、難易度調整を敵側の物量・スタータスや計算式などの数値優遇で調整するゲームがままありますが、個人的にはそれってフェアじゃないなと思ってしまうので(失敗したらロードするプレイヤーが何を言うとか批判してはいけない)、本作では敵CPUの意思決定方法のみで難易度を調整しています。
なお、私自身はKOEI三国志をプレイするときは三国時代の公孫淵をプレイヤーにして魏国を粉砕するなどそこそこ厳しい条件でも遊ぶタイプですが、本作の難易度「難しい」は選択シナリオ・勢力によっては相当に厳しいです。
というのも、KOEI三国志でも他の三国志ゲーでもそうですが、主に戦争シーンで腕を発揮して不利な形成を無理やり逆転したりできるところ、本作はその戦争がオートだったり平常時すら自由にコマンド実行できないため、限られた選択肢の中で戦わないといけないためです。
ただ、どのシナリオ・勢力でも難易度「難しい」でクリアできることは実証しているので、本作が気に入った方にはぜひチャレンジしてみてください。
武将にいい加減なデータを付与しない
この手のゲームは武将に細かい能力値や特技などのデータを付与して、どのキャラが強い弱いとか、(特に三国志や戦国モノなら)自分の解釈だともっとこうだけどなー、とかワイワイやるのも醍醐味だと思います。

が、本作ではそういった細かいパラメータ設定を避けて、原則として史書から読み取れる範囲で能力値や特性を付与しました。
能力値としては「武勇・統率・知略・野心」の4種類があるのですが、値は「標準・+1・+2」の3段階しかなく、史書から関連する記載や人物評が読み取れないものはすべて標準(プラスなし)としています。
たとえば文官が戦場に出たらすごく戦下手なのか案外そうでもないのか?とか、楽進やら牛金やらが政務に専念したら良かったのかどうなのか?とかは判断しようがない気がしているので、「劉巴の武勇…まあ100段階中32くらい?」のようないい加減な数値設定を避けたわけです。
なお能力値や特性は1人あたり最大6つ付与されるほか、若干のマスクデータ(劉備なら「義理重視」とか)があるのですが、武将どうしの相性なんかも個別に数値付与しているわけではなく、特性から自動計算するようにしています。

細かいデータを作る作業から逃れてるだけでは?という説もなくもないのですが、自分としては1つ1つ根拠をもたせたデータづけができているという安心感があります。
(と言いつつ、正直なところ詳しくない武将も多いので、旧版のアプリレビューや今回のリニューアルのテストプレイ中にいろいろツッコミを受けたりもした話は伏せておきます。)
おまけ:リニューアル前との違い
最後に、リニューアル前をプレイしている(数少ない)方のためのリニューアルBefore/Afterの情報です。
Dungeon Antiquaより前に制作した三国ヒストリアというスマホ用三国志ゲー、武将の顔グラがない、漢字表示がないので人物名が見づらい、その他何かとわかりづらかったのでリニューアルを試みています✨
— frenchbread(ふれんち) (@frenchbread1222) May 10, 2026
相変わらず見た目は超地味ですが、ファミコン世代の人が気軽に遊べるゲームにしたい!
←旧 新→ pic.twitter.com/HYcUe73Fl5
リニューアル前は武将顔グラなし・文字はすべてひらがなとカタカナだったが、顔グラあり(ただし制作コストの関係でモブ顔多し)+漢字ありになった
武将の列伝やライブラリを追加(ただの鑑賞用)
その他UIを全般的に見直したりチュートリアル・ゲーム内Tipsを追加したりして、できるだけ迷わずにプレイできるように
難易度「普通」でも課金により全勢力プレイ可能に(旧版では一部の勢力でしかプレイできなかった)
移動をフルオートでなく提案制にして、自分の意志である程度制御できるように
計略「二虎競食の計」「駆虎呑狼の計」追加
歴史イベントをいくつか追加
AIの改善:兵の雇用や輸送の最適化など
バランス調整:たとえば旧版は流言による治安下げの威力が激しかったので、少しマイルドにした
おわりに
実はリニューアル着手時点では顔グラ追加・漢字表示追加・微調整くらいにとどめようと思っていたのですが、気づけば丸々2ヶ月以上リニューアルに費やしてしまいました。
おかげでなかなか満足のいく仕上がりとなり、あるテストユーザーさんは「自分なら”1,000回遊べる三国志” というキャッチコピーをつける」とまで言ってくれました。
地味なのは否めないですし、好みかどうかが分かれやすいゲームだとは思いますが、本記事で述べたコンセプトにいいなと思った点があれば、ぜひ一度遊んでみてください。
一部の勢力・難易度に限りますが、無料でもクリアまでプレイできますよ。
