「Pyxel x スマホ x SRPG」を考える
私の主なゲーム制作実績はPyxelで制作したDungeon AntiquaシリーズというRPGをSteamでリリースしていることですが、ありがたいことに「Steamは持っていないけど遊びたい」と言ってくださる方がけっこういらっしゃるので、1, 2ともにスマホ版もリリースしています。
Dungeon AntiquaはFC/SFCレベルの低解像度の2D画面、しかもRPGというスピーディな操作が要求されない分野なので、スマホプレイとの相性が良いのかもしれません。
ただDungeon Antiquaシリーズのスマホ版は「PC版の画面をそのまま押し込んでバーチャルパッドで操作できるようにした」ものなので(スマホ用の微調整はいろいろ入れていますが)、スマホ最適化しているわけではありません。
そこで改めて「Pyxel x スマホ」を考えた時に、ファイアーエムブレム的なSRPGはけっこうアリじゃない?と思いました。
実際にプロトタイプを作ってみましたので、Xのアカウント持ってる方は下のポストの動画を見ていただければ。
AI x Pyxelが優秀✨
— frenchbread(ふれんち) (@frenchbread1222) March 9, 2026
Pyxelがシンプルで扱いやすいので相性がいいんですよね
自分はPyxelガチラーなので本気の制作にはまだ使いませんが、プロトをさくっと作るのにとても重宝します
👇はAIがコーディングしたSRPG on スマホのプロトですが、絵(by @Emt_mezzo )と音をつけるとかなりそれっぽい! pic.twitter.com/Bxq12UO7qw
Xを見れない方などは、こちらから直接触ってもらうこともできます。
(マウスカーソルがないのでPCだと操作困難、スマホからお願いします。あとあくまでプロトなので、ゲームとしての面白さは期待しないでください。)
なぜSRPG?
2DタイプRPGの場合、バーチャルパッド以外で操作させようとすると、ざっくり以下2点が悩むポイントになると思います。
バトルのコマンドやメニューの操作をどうするか
フィールドのマップ移動をどうするか
1は画面上にボタンやアイコンを表示する形が一般的だと思います。
あるいは文字の大きさや間隔にさえ気をつければ、ウィンドウ内の文字を直接タップする方式でもなんとかなります。FFピクリマなんかはオリジナルの見栄えを尊重しているためこれでしたね。
「使うアイテムや呪文を選択する」など、選択肢が多いシチュエーションではやや操作しづらくなりますが、UIの工夫次第でカバー可能といったところでしょうか。
2は「フィールド上に半透明のパッドを重ねて表示して操作させる」「スワイプで移動させる」「移動目標地点をタップして移動させる」あたりだと思います。
バーチャルパッドはリアルのゲームパッドと比べてどうしても操作性に劣りますし、移動目標地点をタップさせる方式だと画面上のタイルの大きさが小さすぎると誤タップが発生して操作しづらくなりますし、スワイプ方式だと長距離移動が面倒ですし、一長一短な印象があります。
(脱線しますが3DのRPGはその点相性がいいですね。移動歩数が2Dに比べて少なくて良い上に、1人称視点でのスワイプ操作がとても直感的なので。)
一方SRPGの場合、1については2DタイプRPGと同じですが、2について「移動先や攻撃対象の敵をタップする」「マップをスクロールする場合はスワイプ」という操作がムダなく直感的なので、操作感としてスマホ操作と相性が良いように思いました。
むしろゲームパッドだとキャラ選択やスクロールする際にカーソルをちまちま動かさないといけない(たいていショートカットボタンもありますが)ので、PC x マウス操作のタイプのほうが遊びやすかった印象があります。
画面設計を考える
ということで、「Pyxel x スマホ x SRPG」の操作感を、メインである戦場画面の構成とセットで考えてみます。
自分(成人男性なので指がまあまあ大きい)の体感だと、スマホ縦画面の横方向をストレスなく正確にタップし分けられるのは10個区切りくらいが限界な気がしています。
今回の試作品ではやや大胆に横8マス区切りにしました。
縦のほうは、ChatGPT先生いわく「一般論でいうと、横1に対して縦は 1.7〜1.8 くらいまでは想定しておくのが無難(16:9 = 1 : 1.78)」だそうで、8x 1.7 = 13.6ですが、念のため小さめに縦13マスとしました。

次に、文字の表示を考えます。
ファミコンのような見た目のドット絵ゲームの場合、フォントとしては8x8を使うのが一般的です。
現在使いやすいフォントとしては美咲フォントが有名ですね。
ただ8x8は漢字表記は厳しいです。
たまに美咲フォントで漢字表示しているゲーム画面を見かけることもありますが、読みづらいので自分は得策ではないと考えます。
8x8だと「が」のような濁音つきひらがなすら可読性がギリギリで、ファミコンでも多くのゲームが「が」については8x16マスを使って濁点部分を「か」の上の8x8マスに配置する方式をとっています。
(濁点を共通化できるので容量削減になるという狙いもありますが。)
本モックでは漢字表記も行うことを想定し、Pyxelライブラリにも同梱されている12x12(半角は6x12)ドットのフォント、umplus_j12r.bdfを使用することにしました。
FE的な西洋ファンタジー風の世界観のゲームなら漢字はそこまで重要ではないかもしれませんが、このモックのようにユニット名に「騎兵」「弓兵」などと命名するなら、やはり漢字を表示するほうがいいですね。

以上を踏まえて画面サイズを決定します。
マップタイルやユニットの大きさとして、低解像度ゲームとして一般的なのは16x16です。
この場合、横幅が16x8=128になるので、12ドットの文字だと10文字しか入りません。
上のスクショのようなステータス表記くらいならなんとかなるかもしれませんが、後々ストーリーパートなどを追加しようと思うとかなり厳しいです。
そこで本モックでは、マップタイルやユニットの大きさを24x24としました。
これだと横幅が24x8=192、12ドットの文字が16文字まで入りますので、漢字も使えることを考慮すればなんとかなりそうですね。
縦幅24x13=312ドットとあまり見ない数字ですがまあいいでしょう。(15マスにすれば24x15=360でキリがいいですね。)
私はこんなふうに「文字がどれくらい入る画面にするか」は最初に必ず考慮するようにしています。でないと後で詰むので・・
AIにプロトタイプを作ってもらう
基本的な画面仕様が決まったので、実際に操作感を確かるためにプロトタイプを作ります。
従来はこれを自分の手で作る必要があったので、プロトとはいえ少し時間がかかっていましたが、昨年末あたりからAIのコーディング力がすごいことになってきたので、こういう場面で利用しない手はありません。
簡単な仕様書(プロンプト)を書いて依頼します。

よく見ると「アセットは使用しない。キャラクタ漢字で簡易的に」などと書いているのですが、本記事のスクリーンショットのバージョンは後からアセットを入れて見栄えを良くしています。
自分はClaude Codeを重課金して愛用しているのと、最近はPyxelもAIとの連携に力を入れているようで、Pyxel MCPというMCPサーバを用意してくれています。
この辺りはテーマが違うので詳細割愛しますが、「AIがプロンプトでPyxelのコーディングができるだけでなく、Pyxelの画面を開いて自律的に見た目などの調整を行える状態になっている」と思ってもらえれば大丈夫です。
(次回、この点くわしい記事を書くつもりです。)
日ごろそんなにAI活用していない方だと「ずいぶん細かいプロンプト書くんだな」と思われたかもしれませんが、実際にはむしろこれだけだと思ったような操作感にはならなかったり、UIなどがあちこちおかしかったりします。
なので、ここからさらにテストして修正指示を入れて… を繰り返して手直ししていきます。
結論:これはアリ
プロトを作ってみて、これは十分アリだなと思いました。
UI/UXファーストというか「これはプレイ感として良さそうだぞ」と感触を得られるまでプロトを作ってみて、行けそうなら本格的にゲームデザインやシナリオを検討していくというアプローチは昔からあったと思いますが、「プロトを作ってみて」と軽く言っても実際にはけっこうエネルギー使うんですよね。
そのハードルが格段に下がったのは大きいです。
自分は他に作るものが決まっているので、どなたかこの実験を継承して本格的に作りませんか?(ゆる募)
