Silent Night ―十年後の君へ―【第4話】
第4話 静かな夜の報せ
携帯のバイブが、
静まり返った部屋に震えた。
画面には、
“〇〇(彼)の母” の文字。
胸の奥が、
ざわついた。
「はい、もしもし……?」
電話の向こうの声は、
小さく掠れていた。
「○○ちゃん……少し、会って
お話ができる?」
理由は言われなかった。
でも、
その声だけでわかった。
胸の中の何かが、
静かに崩れ落ちていく音がした。
私はすぐにコートを掴み、
外に飛び出した。
夜の空気は冷たく、
息を吸うたびに肺が痛んだ。
信号の灯りが、
滲んで見えた。
何かを否定するように、
何度も首を振りながら歩いた。
「大丈夫、大丈夫……」
口の中で何度も繰り返した。
だけど、
その言葉は風に溶けていった。
病院の灯りが見えたとき、
足が止まった。
扉の向こうから、
白い光が漏れていた。
胸騒ぎが、
形を持って迫ってきた。
深呼吸をしても、
涙が先に出そうになった。
受付で名前を告げると、
看護師が少しだけ目を伏せた。
「こちらへどうぞ」
彼の母が、
静かに立ち上がった。
その目は赤く、
でも、強く光っていた。
「……○○ちゃん」
震える声が私を包んだ。
その瞬間、
心の奥で、
何かが音を立てて崩れた。
白い廊下の奥から、
機械の電子音が
かすかに響いていた。
――続く。
🌙 サイレント・ナイト 全話まとめ
👉 https://note.com/fresh_acacia6097/m/m64a0253498ea
🌙 夜シリーズまとめ(入口)
👉 https://note.com/fresh_acacia6097/n/na1fd86384ce8
📖 関連作:影の遺伝子
👉 https://note.com/fresh_acacia6097/n/na54dcd32e98c
🌙 全シリーズ一覧
👉 https://note.com/fresh_acacia6097/n/nf2199811b403
