🌺ウメさんと喜三郎の縁側シリーズ『“正体バレそう”のドキドキ感』(まぼろし探偵団)
「“げんきな~しょう~ねん、まぼろしたんて~い!”」
ウメさんが、両手でゴーグルのまねしながら叫んだ。
喜三郎は思わず吹き出した。
「おまはん、よう覚えとるなあ! あの白いスーツにゴーグル、今見たらちょっとダサ……いや、当時はカッコよかったんや」
ウメさんはまっすぐ前を見つめたまま、真顔で言った。
「子ども心にね、“この人はいつか正体がバレるんやないか”って、毎週ドキドキしとったとよ」

喜三郎は笑いながらうなずいた。
「せやな。
けど正直、ようあんな目立つ格好で街中ウロウロしとってバレへんよな。
ほんまにおったら、三日でご近所にチクられとるで」
「そうかもしれんけど……
うちは“正体を隠すヒーロー”にすごく惹かれとったと」
「なんでや?」
「人前ではふつうの顔して、けど裏で誰かを守る──
そういう人が、この世にはおる気がしとったけん」
喜三郎はその言葉に、少しだけ表情を変えた。
「なるほどな。
ほんまの正義って、目立たんところにあるんかもしれんな……
テレビじゃピカピカやけど、現実は地味やもんな」
ウメさんは、ふっと笑った。
「でもよかとよ。
ピカピカのまぼろし探偵も、地味な正義も、どっちも子どものわたしには希望やったとよ」
喜三郎は腕を組んでうなずいた。
「そうやな。“バレたら終わり”やけど、“バレんかったら、ずっと守り続けられる”。
ヒーローって、そういうもんやったんかもな」
風が少し吹いて、ゴーグルのつもりで手を当てたウメさんの髪が揺れた。
「ねえ、喜三郎さん──
うちら、いまもどっかで“誰にもバレんヒーロー”やってるんかもしれんね」
「はは。そうやな。
……わしは“家の鍵を探してくれるヒーロー”くらいやけどな」
ふたりはまた、笑い合った。
📝 フォロー・スキを、ありがとう
誰にも気づかれずに、誰かを助けている──
そんな人に、気づける目を持ちたいものです。
次回は、冒険とアジアの風が吹く「怪傑ハリマオ」編でお会いしましょう。
いいなと思ったら応援しよう!
🌿チップでの応援、ほんの少しでも嬉しいです。いただいたご支援は、新しい記事づくりの糧にします。