🎏💨 第62話:加須のこいのぼりの独り言(埼玉編)
うおおおお、風が来たぁ!
待ってました、五月の風!
ぼくは、加須で作られたこいのぼり。
今、利根川の河川敷で泳いでるんだ。
体いっぱいに風を吸い込んで、ぶわあって膨らんでる。
加須のこいのぼりはね、百メートルを超えるやつがあるんだよ。
ジャンボこいのぼりって呼ばれてるんだ。
全長百メートル、重さ三百三十キロ。
クレーンで揚げるんだよ。すごいでしょ。

ぼくはそこまで大きくないけどさ、それでも風を受けると最高なんだ。
地面にいるときは、ただの布だもん。
でも風が来た瞬間、ぼくは空を泳ぐ鯉になるんだ。
こいのぼりがなんで鯉か知ってる?
鯉は滝を登って龍になるって言われてるからだよ。
だから男の子のお祝いに使うんだ。
どんな困難も乗り越えて、立派に育ってほしいっていう願い。
ぼくの体には、その願いが染め込まれてるんだ。
あ、下で男の子がぼくを見上げてる。
指さして「およいでる!」って叫んでる。
いいぞ、見ててくれ。
今日のぼくは絶好調だ。
風がある限り、ぼくは泳ぎ続けるよ。
あの子が大きくなるまで、ずっと空から見てるからね。
さあ、もっと風よ来い。
ぼくはまだまだ泳げるぞ!
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