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第138話:ウメばあちゃんの『新作日本昔ばなし』!『灯籠に入ったホタル』

語りかけ

リクちゃん、夜道で道に迷ったことはあるかね?
真っ暗で前が見えんと、不安で泣きそうになるやろ。
今日はな、そんなときに“ちいさな光”が人を助けたお話ばしてやろう。

むかし話

むかーしむかしのことじゃった。

山里の村には、夜道を照らす石の灯籠が立っとった。
けれど、ある夏の晩に強い風が吹き、油が切れて火は消えかけてしまった。

その夜、まつり帰りの人々が山道で道に迷い、足元も見えず困り果てていた。

すると、一匹のホタルがふわりと飛んできて、灯籠の中にすうっと入った。
ホタルの光は小さかったが、石の窓に反射してぼんやりと道を照らした。

やがて二匹、三匹と仲間のホタルも入ってきて、灯籠はまるで火が灯ったように輝き出した。
人々はその光を頼りに、無事に村まで帰ることができたんじゃ。

村人たちは口々に言った。
「ホタルがわしらを導いてくれた!」
「ほんにありがたいことじゃ!」

それからというもの、村では夏になると灯籠のそばに花を供え、ホタルに感謝を捧げるようになった。

――けれど、ここからが“ひねり”じゃ。

後になってわかったことじゃが、あのホタルはただ光ったわけではなかった。
実は、道に迷った人々の“心の不安”に引き寄せられたのだという。

つまり、ホタルの光は「道」を照らしただけやなく、人の「心」を照らしてくれたんじゃ。

その証拠に、年老いた村人がひとり道に迷ったとき、誰もいないのに灯籠がふわりと光を放った。
「お前たちか…」とつぶやくと、やさしいホタルの影が見えたそうな。

めでたし、めでたし。

子どもたちへ

ほらね、リクちゃん。
光ちゅうのは、ただ明るいだけじゃなく、人の心を安心させる力があるんよ。

「じゃあ、ぼくが迷子になったら、ホタルが助けてくれる?」
リクちゃんが不安そうに聞いた。

「もちろんさ。ホタルだけやなく、リクちゃんの心の中にも小さな灯りがあるけんね」
ウメばあちゃんはにっこり笑った。

そいぎ、今日はこのへんにしとこうかね。

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