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『風、薫る』の関係者の本を読んでみた ~大山捨松との関係が濃すぎませんか?

はじめに
 NHKの朝ドラ『風、薫る』の登場人物に関係する本を探して読んでみました。上坂樹里さん演じる「大家直美」のモチーフとなった、「鈴木雅」さん。三上愛さん演じる「一ノ瀬りん」のモチーフとなった、「大関知」さん。さらに、多部未華子さん演じる、「大山捨松」さん。三人に関する本で、手軽に手に入る本を探してみました。
 でも、大山捨松さんがものすごく関わっているように描かれていますが、そうなの? という感じです。元朝ドラ女優の多部未華子さんを起用することで、二人の若い女優さんの引き立て役を演じさせているのでしょうか? 実際の所はどうなのか? 紹介した本を読んで比べてみましょう! 

1.鈴木雅さん


◎『小説 もう一人のナイチンゲール 鈴木雅の生涯』
 伊多波 碧:著 潮出版 潮文庫
(この本は、朝日新聞の本の広告に出ていました。近くの、くまざわ書店さんに行ってみたのですが、置いていませんでした。そこで、静岡の谷島屋さんに行ったところ、何と六冊も置いてあって早速購入しました。
 この小説は、鈴木雅さんの死後しばらくたって、雅さんの孫が、雅さんの書棚の隙間にある日記を見つけ、それをひもとくところから話が始まっています。
 鈴木雅さんが、大関知さんと比べ、あまり世に知られていなかったのは、四十二歳で、看護師の仕事をすべて大関知さんに託して、あっさり引退をしてしまって、八十二歳で亡くなるまで完全な隠居生活を送っていたためと思われます。
 さらに、鈴木雅さんは、断髪で知られていたのですが、この小説の中では病院の実習をしていた時期に断髪にしたと書かれています。しかも、同じ学校の皆がそれに従ったことになっています。他の小説では、看護学校の入学前に断髪にしたとなっていて、そのあたりが違っています。
 鈴木さんの実家は士分の身分で、静岡県の沼津市生まれ、看護師を引退後は京都に住んでいましたが、関東大震災後に故郷の沼津市に転居し亡くなるまで住んでいたとのことです。沼津市出身とか士分の出とか結婚して子供が二人いるとか、そのあたりのことが朝ドラではすっぽりと抜けてしまっているので、何か別人の物語をやっているなと思って見ています。)

2.大関知さん


◎『明治のナイチンゲール 大関知物語』
 田中ひかる:著 中央公論新社 中公文庫
(朝ドラの原案となった本です。大関知さんが主人公の本ですが、鈴木雅さんをはじめ、明治時代に活躍をしていた女性を積極的に取り上げているので、当時、看護師になることが、女性が自立することがいかに大変なことだったのかそういう所が実感できる内容になっています。
 まあ、現在も女性が仕事を持つことは大変な面もあると思います。明治時代よりも良くなっているのでしょうか? 鈴木雅さんも大関知さんも、ある程度活躍できたのは、自身の母親が健在であったことも大きかったと思います。二人の子供をある程度母親が見ていてくれたので、仕事に打つ込めることができたのだと思います。核家族化が進んだ現在は、なかなか親を頼ることもできず、大変な思いをしている人も多いと思います。困ったときに人に頼れるしくみがもう少しあれば良いのですがね。)


◎『大関 知 ~看護に人生を捧げた日本のナイチンゲール』
 青山 誠:著 KADOKAWA 角川文庫
(この本は、近くのくまざわ書店の新刊本のコーナーに立てかけてあるのを偶然見つけました。この著者は、角川文庫から朝ドラの主人公に関係する本を今までにも何冊か出しています。
 色々な資料を調べて、どちらかというと伝記という感じで書かれています。資料に書かれた事実をもとに、大関知さんに絞ってコンパクトにまとめているので、大關さんのことを知るには良い本だと思います。
 実在の人物の本を読み比べると面白いのは、視点の違いです。色々な行動に関して、やはり、青山さんは男性目線で書いていて、田中ひかるさんの本は、女性目線で書かれていて、同じ行動に関してどう解釈するか、読み比べてみると面白いなとお思います。
 さらに、大関知さんのすごいところは、キリスト教の教えの犠牲的精神に基づいて行動をしていたので、死後借金が今のお金で数千万円ほどあったそうですが、葬儀の時に寄せられた香典などで返済できたそうです。著者は、「金は天下のまわりもの」と結論づけています。)

◎『月刊Newsがわかる 特別編 毎日ムック 大関知がわかる』
 毎日新聞:編 毎日新聞出版
(これは、子供向けの雑誌なんですが、大関知さんのことがコンパクトにわかりやすくまとめていて、なかなか良い本です。子供だけに読ませるなんてもったいないです!! 大人の人も是非読んで欲しいです!!
 これも、朝日新聞の広告で見かけまして、近くのくまざわ書店で探したのですが、どうも見当たりません。しかし、よく探してみると、雑誌コーナーの端の方に三冊もこっそり置いているのを発見し、購入しました。でも、くまざわ書店の店長さん! なぜこの本を、朝ドラの本の置いてあるコーナーに置いてないの? あんまり、売る気が無いのですかね?
 この本は、大関知の生涯だけで無く、大関知さんのふるさと大田原の案内、さらに現在の看護師の仕事の紹介、大関知さんの同時代に活躍した女性の紹介など、色々な情報満載です。
 これから、看護師の仕事な内容とか、大学などの学校の紹介などもあって、これから看護師をめざそうとする人にも参考になると思います。)

3.大山捨松さん


◎『鹿鳴館の貴婦人 大山捨松 ~日本初の女子留学生』
 久野明子:著 中央公論新社 中公文庫
(この本は、やはり近くのくまざわ書店で、新入荷本のカートの中に入っているのを偶然見つけました。でも、その時は「へー、こんな本があるんだ。面白いな。」で終わってしまいました。
 でも、朝ドラが始まったところ、どうもドラマの展開に大きく関わる人物として描かれていることがわかり、詳しく知りたいなと思い、後日、くまざわ書店で購入しました。この本も、帯に朝ドラで取り上げられていますとか着いているのに、普通に本棚に入れてあって、目立つように置いていませんでした。これでは、みんな気がつかないし売れないよな。などと思います。
 この本は、捨松さんのひ孫に当たる著者が、アメリカ人のある夫人に自分のルーツについて話したところ、アメリカから大量の捨松に関する資料が送られてきて、それをきっかけに捨松のことを書くことになったと書かれています。
 いつも感心するのは、欧米の図書館とか博物館は、手紙など紙の資料をすごく大切に保管していることです。日本では、そういう資料はあまり大切にされず捨てられてしまっている感じがします。たとえば、アメリカの図書館には捨松さんの手紙などが保存されていたのですが、捨松さん宛てにアメリカから送られてきた手紙は、残念ながら日本には残されていないという違いがあります。まあ、関東大震災や東京大空襲など、紙の資料が残りにく出来事が多かったと言うこともありますが・・・。
 捨松さんは、日本初の女子留学生の一人なのですが、同じ時に留学した津田梅子さんは、お札になったりして有名なのですが、捨松さんは今までどのような人かあまり知られていませんでした。その原因の一つは、明治時代に徳冨蘆花によって書かれた『不如帰』という小説に、意地悪な継母というイメージで捨松が描かれてしまい、その悪いイメージが捨松像として定着してしまったからです。津田梅子さんの設立した女子英学塾にも、捨松は大きく関わっていますし、女子高等教育や看護婦教育の普及にも大きく関わっています。今回の朝ドラをきっかけとして捨松さんの功績が再評価されると良いですよね。
 しかし、この本では、大関知さんや鈴木雅さんとの関係についての記述はほとんどありませんでした。)

おわりに
 実は、大山捨松という人は、沼津市にゆかりのある人であることが、捨松の本を読んでいて気がつきました。アメリカの友人宛の手紙に「沼津にて」という言葉が出てくるので調べたところ、夫の大山巌さんの別荘が沼津に有り、避暑とか療養のためにたびたび沼津の来ていることがわかりました。
 残念ながら別荘自体はもうありませんが、沼津市の『牛臥山公園』というところに『大山巌別荘跡地』という案内板があります。沼津御用邸記念公園の近くなので、もし近くに行ったときに訪れてみてください。その跡地に立ちますと、『鹿鳴館の貴婦人』と呼ばれた大山捨松さんも見たであろう駿河湾の海を見ることができます。

扉の写真について
 『牛臥山公園』のある牛臥山は、NHKの『ひょこりひょうたん島』のモデルなのでは無いかと、地元では言われています。確かに、海側から見るとそっくりです。この模型は、JR沼津駅の北口にある『キラめっせ沼津』というイベント施設のロビーに置かれています。

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