31歳で、初めてカミングアウトした夜【実体験】
31歳になるまで、
自分がゲイだということを、誰にも言えなかった。
自覚したのは中学2年生。
そこから18年間、
恋愛対象が男性であることを、ずっと隠して生きてきた。
言おうと思った瞬間は何度もあった。
友達と深い話になった時、
お酒が入って本音を言えそうになった時。
でも、そのたびに頭をよぎった。
受け入れてもらえなかったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
この関係が壊れてしまったらどうしよう。
考えれば考えるほど、
「言わない」という選択を重ねてきた。
気づけば、
“言えないままの31歳”になっていた。
31歳になる月、
中学からの同級生の女の子の友達と、久しぶりに2人で新宿で飲むことになった。
友達は静岡に住んでいてあまり会えてなく久しぶりの再会だった。
最近の日常生活や仕事の話題など何気ない会話の中で、
最近のテレビや映画の話題になった。
その中で、BL映画『チェリまほ』の話題になった。
「実は、俺も観てるんだよね。」
そう言うと、少し間があって、彼女が聞いた。
「……まさか?」
心臓が強く鳴った。
逃げようと思えば、いくらでも逃げられた。
でも、その夜はなぜか違った。
この人なら、受け入れてくれる気がした。
グラスを置いたまま、少し黙ってから言った。
「……実はさ」
この一言を口にした瞬間、
この関係が終わるかもしれないと思った。
それでも、
31歳の今、もう隠したまま生きたくなかった。
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この先では、
なぜ3人で飲む関係の中では言えなかったのか
同じメンバー・同じ場所でも、2人きりで言えた理由
カミングアウト後、人間関係がどう変わったのか
それでも全員には言えない現実
を、きれいごとなしで正直に書いています。
カミングアウトに正解はありません。
でも、選択肢を増やすことはできると思っています。
31歳で初めてカミングアウトした、その後の話
「……実は、ゲイなんだよね」
そう伝えると、
一瞬だけ、友達は少し驚いた表情をした。
でも、すぐにこう言ってくれた。
「そうなんだ。全然いいじゃん」
その言葉を聞いた瞬間、
胸の奥に溜まっていたものが、静かにほどけた。
普段よく飲むのは、
中学・高校の同級生と、高校からの友達の3人。
この日は急きょ
「飲める人いる?」という呼びかけで集まった。
もう1人は来られず、
結果的に2人で飲むことになった。
思えば、
この友達と2人きりで飲むのは初めてだった。
今振り返ると、
「2人だったからこそ、言えたんだ」と思う。
① 3人で飲む関係の中で、言えなかった本当の理由
3人で飲んだり出掛けたりすることはよくあり、カミングアウトできるタイミングはたくさんあったはず。でもできなかった。
正直に言うと、
頭の中には不安しかなかった。
もし、どちらか1人でも受け入れてくれなかったらどうしよう。
その場の空気が一気に凍ってしまったらどうしよう。
学生時代から続いてきた関係が、
この一言で壊れてしまったらどうしよう。
3人で笑って飲んでいる
“今の関係”が、
もう二度と戻らなくなるかもしれない。
そう思うと、
言葉は喉まで来ているのに、
どうしても口に出せなかった。
② 2人きりになった瞬間、なぜ言えたのか
中学からの同級生にカミングアウトした翌月、新年を迎え、3人で久しぶりに会うことになった。
今日はもう1人の友達にもゲイであることを伝えたいと思っていたが、結局勇気が出ずカミングアウトできなかった。
更に翌月、また飲みに行く機会があり、今日こそカミングアウトしたいと思っていた。
友達の1人が席を外したタイミングで2人きりになった瞬間、空気が変わった。
この人なら、受け入れてくれそう。
そんな感覚が、はっきりとあった。
すでに1人にはカミングアウトしている。
だからこそ、
もう1人にも伝えたいと思った。
全員に同じ自分で接したかった。
恋愛の話題になるたびに、
話をそらし続ける関係を終わらせたかった。
これからも
“いつメン”として関係が続いていくなら、
このタイミングしかない。
そう思って、
取り繕わず、正直に話した。
③ 3人で恋愛トークができるようになって、変わったこと
カミングアウト前の飲み会は、
どこか無難だった。
恋愛の話は自然と避けられ、
日常のたわいもない話が中心。
きっと、
お互いが無意識に気を遣っていたんだと思う。
でも今は違う。
好みの男性のタイプ。
恋愛の失敗談。
マッチングアプリの話まで。
驚くほど、
お互いに赤裸々に話せるようになった。
誰かが無理をしていない。
誰かが隠れていない。
「この場にいる全員が、本音だ」
そう感じられる時間が、
今まで以上に楽しくて、心地いい。
カミングアウト後に初めて知ったのは、
自分を隠さない人間関係の、あたたかさだった。
④ それでも、全員に言えない理由
今回うまくいったからといって、
カミングアウトが正解だとは思っていない。
家族や親戚には、
これまでの家庭環境や関係性がある。
簡単に言えない理由が、確かにある。
職場は、もっと慎重だ。
1人に話せば、
どこまで情報が広がるかわからない。
アウティングされてしまえば、
働きにくくなる可能性もある。
カミングアウトは、
勇気の問題じゃない。
環境と、守りたい生活の問題だと思っている。
最後に
31歳で初めてカミングアウトして思った。
無理に言わなくてもいい。
言えない選択も、間違いじゃない。
でも、
言えた先にしか見えない景色があるのも、確かだった。
この文章が、
同じように悩んでいる誰かの
「考えるきっかけ」になれば、嬉しい。
