あの日の備忘録#1『近所の廃工場』
私がまだ小学生の低学年だった頃の話。
家の近くに大きな廃工場があった。
実際はそこまで大きくないとは思うのだが当時の
自分にはとても大きく見えた。
その建屋は、すでに屋根や壁の大部分が無くなっていたがボロボロに錆びた階段もあり二階に上がることができた。
そのひどく損壊した二階から自分の家を眺めていた
記憶があるのだが定かではない。それが本当にあった出来事なのか、ただの夢なのか今ではもう分からない。そのくらい自分にとっては昔の話。
危ないし、汚い。誰が捨てたのか分からない色んな物が落ちている。放し飼いの犬がウロウロしている。ついつい押してみたくなる謎のボタン。
そんな廃工場という名のジャングルジムを当時の私はとても気に入っていた。
そんな思い出の場所も私が大人へと成長していく中で解体され、ついでに記憶からも薄れていった。
もう高齢になった父に、昔あそこにどんな工場が建っていたのか聞いてみることも考えたが、やめておくことにした。
答えを知ってしまえば今まで大切にしていた何か
幻想のようなものを失ってしまう。そんな気がしたからだ。
そんな昔の記憶の備忘録をいくつか文筆の練習がてらに書いていこうと思う。
