【コラボ企画桜城市】短編小説・『桜城市をさまよう男その7最終話』
日々ちゃんの百歳という年齢にびっくりしてしまったものの、アヒル様に感謝を伝えることができて俺はほっとしていた。
何か俺からもお礼を考えなければなるまい。
えるちゃんにあんみつを奢ってもらって、嬉しそうにしている日々ちゃんとアヒル様を見ていて、危なく忘れるところだった。
図々しいのだが、お礼の前にもうひとつお願いがあったのだ。
「アヒル様、実はひとつお願いがありまして…。」
俺は準備していた色紙とサインペンと朱肉を紙袋から取り出して、机に並べた。
まだ何かあるのかと迷惑そうな表情を隠さないアヒル様に、俺はさらにお願いを続けた。
「実は今度、母が初めての海外旅行に行くらしいのですが、どうも飛行機が怖いということで…。御守りに、ひとつこちらの色紙にサインを頂けないかと…。お願いしますっ!」
頭を下げる俺に、日々ちゃんもアヒル様もなんでこんな事になったのか分からないという顔をして呆れているが、渋々ペンを取ってくれた。
「でも、この朱肉は何?」
アヒル様がいう。
「この朱肉で、足型をぺたっと…お願いしますっ!」
アヒル様はもう言葉の代わりに、ふうーとため息をついて空を仰いだが、朱肉の上に片足を乗せると、ペタペタと色をつけて色紙を思いっきり踏んづけてくれた。
「ありがとうございます!これで田舎の母も喜びます。安心して海外に行けますっ!本当にありがとうございましたー!!」
俺は、何度も日々ちゃんとアヒル様にお辞儀をした。
そこにいつの間にかやって来ていた柿の木の常連の伊那谷さんが、独り言のようにつぶやきだした。
「ほうほう、それは縁起が良いですね…
。いっそ、アヒル神社でも建立してはどうでしょうか?逆子治しの足型守りとか、売れそうだなぁ。きっと、お賽銭ががっぽり…いや失礼。」
などといって頭を掻いている。
その声を聞きつけた女将さんがカウンターから顔出してこういった。
「黄色いアヒル様神社?いいじゃない?!建立する時は私も一枚噛ませてちょうだい!!」
舌をペロっと出す女将さんの笑顔に、全員がつられて一斉に笑った。
田舎料理柿の木の店内は夕陽が差し込み、穏やかな時間が流れていった。
おわり
私の拙い小説を、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
この小説「桜城市をさまよう男」はnoteクリエイターの瑛(あきら)さんの『桜城市構想』…コラボレーションを自由にできるキャラクター達の住む街を創る…という企画を小説という形で試してみた作品例みたいなものです。
『桜城市構想』でのコラボレーションを実際にやってみるとこうなるよって例を早く作りたかったものですから、あまり考えもせず、勢いのみで書き始めてしまいました。
小説として成立しているのか、私自身もよくわかりません。物足りない部分や解りにくい点などが多々あったと思います。
それでも最後まで読んでくださった皆さまの温かさに感謝、感謝です。
そして、この企画に参加してみると本当に面白くて、小説(?!)を書くのが楽しく感じ驚きました。
普段は日記や自分の考えを書くことがnoteの中心でしたが、小説のような作り話を書く楽しさにちょっと触れられたような気がします。
桜城市の個性豊かなキャラクター活かすお話を考えるという一種の縛りがある事によって、私のような今まで小説を書いたことのない人間でも、取組みやすかったのではないかと感じました。
また、桜城市に自身なアバターの様なキャラクターを作ることによって、普段のnoteではやっていない試みや、これまでのnoteで作り上げてきた自分のカラーとは別の表現を実験する事も出来ると思っています。
もっともっと多くのクリエイターさんが参加し、色々な方法で携わってくださったなら、桜城市はどんどん魅力的な都市に変貌していく可能性を秘めていると感じます。
まずはぜひ桜城市を訪れてみてください!
…今は面白すぎて小説を書くのはしばらくやめられそうにありません。
飽きるまで、桜城市で作り話を作り続けようと思います。
その時はまたどうぞよろしく…
