【コラボ企画桜城市】短編小説・『桜城市をさまよう男その5』
田舎料理柿の木でをアルバイトをしている雨香えるは、大学へ通ういつもの道を歩いていた。
向こうから赤い自転車に乗った少女が、茶色い髪をなびかせながらやってくる。
(あれは日々ちゃんちゃうやろか?ちょうどこっちにきはるし、話しかけてみよ。
今日はライフル、持ってへんな。よし。)
「日々ちゃ〜ん、こんにちは〜
ちょっとお話よろしおすか?」
えるは手を振りながら、女の子にアピールする。
(はっ、あれはこの間なめこ汁を食べたお店の女の人…何だろう?呼ばれているみたい?)
「こ、こんにちは?」
自転車を止めて、少女は目を細めると、不思議そうにえるの顔を見上げる。いかにも訝しんでいる様子を隠さない。隣のアヒルも眉間にシワが寄っている。
「こんにちは、こないだはお店に来てくださってありがとうね。今ちょうど、日々ちゃんを探しとるところやったんです。」
「えっ、私を?」
日々ちゃんは大きな瞳をぱちくりさせてアヒルと顔を見合わせた。
えるは、話を続ける。
「実は日々ちゃんのアヒルちゃんを探しとるっちゅうおじさんがいてはりまして、その方に会ってもらえませんやろか?」
(??? 知らないおじさんに会いたいと言われ、会っても良いものだろうか?)
日々ちゃんもアヒルも困った顔で、えるを見返す。
(そらそうだわな。)
えるも自分の言っていることがおかしい事はわかっているので、変な愛想笑いになってしまう。
「あのね、そのおじさん、日々ちゃんの黄色いアヒルちゃんをね、ずいぶん熱心に探してるみたいなんよ。
それが、ぎっくり腰になってしもうて、お店に、柿の木に居るみたいで…、もし、もし良かったらなんやけど、会ってもらえへんやろか?」
一生懸命説明する、えるの様子を見る日々ちゃんの目が次第に大きくなっていった。
嘘はついてないだろうと判断した日々ちゃんは、アヒルと少し話をしてから、えるのほうに向き直す。
「行きます!」
と日々ちゃんは笑顔で答えた。
えるはホッとするのと同時に、大学生にもなって説明下手な自分をいたく反省した。
「ほんまにええのん?ほな、お礼にお店で何かを好きなんお姉さんが、奢っちゃるわ。
あ、うち午前中講義が入ってるから、午後からでもええかしらん?」
「午後でも大丈夫です。
ではお昼過ぎに柿の木に行きますね。」
日々ちゃんの受け答えがあまりにしっかりしているものだから、えるはさらに恥ずかしなってしまった。
「うん、ありがとう〜、ほんまにありがとう!」
えるは自転車に乗って走り去る日々ちゃんに何度も頭を下げ、手を降って見送った。
(いや…でも本当にグッドタイミングやったんとちがう?昨日の夜、女将さんから日々ちゃんとアヒルを探してるっちゅう連絡もらって、今朝やもん。
あそうだ、女将さんにも連絡しとこうっと…と、と、と、とっと。
よし、これでいいやん♪)
えるはいつもお世話になっている女将さんの役に少しでも立てたことが嬉しかった。
今日はこれからとっても良い事が起こりそうな予感で、いつもの道もキラキラと輝いて見える。
思わず出た鼻歌は、春の風に乗って新緑のなかに吸い込まれていった。
つづく
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今回ご出演いただいたのは
織日々是好日さんの
日々ちゃん(にちにちちゃん)とアヒルです。
どこからか読んでも楽しめる、日々ちゃんとアヒルちゃんの4コマ漫画です。かわいいイラストと日々ちゃんの突破力に癒されます♪
この小説は瑛さんの【桜城市構想】に参加しているキャラクターコラボ作品です。近頃はラジオ局まで開設されて、今後の展開が楽しみでしかたない、桜城市です。皆さんもぜひ訪れてみてください。
新しく桜城FMも開設!!
パーソナリティの涼風桜子さんのほんわかボイスに癒されよう〜♪
