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1992|ちゃちゃまるが来た日

大人になったらコリー犬を飼いたい。
できたらイルカも。
わたしはそんな子どもだった。

物心ついた頃からから小6の夏まで、
犬と猫はいつもそばにいた。

引っ越しをして犬猫を飼えなくなると、
町なかで猫を見つけるとその場から離れられなくなる。

頭を撫でたい。モフモフしたい。
そんな事ばかり考えていた。


二十歳で私が家を出ると
母はスーパーのペット売り場で
売り物にならないミックスの白い仔猫をもらってきた。
名前はナナ。
7月生まれだからナナ。
単純だけど可愛い。

もらい手のない猫。
私が見つけたとしても連れて帰っただろう。

娘はおばあちゃん家に行くと
ナナに会えるのが嬉しそうだった。


猫を飼いたい想いが募って
母娘で猫の話ばかりしていた。

まだ保護猫という言葉が一般的ではなかった時代だった。

当時、新宿伊勢丹の屋上にあったペットショップへふらっと立ち寄った。

仔猫のきょうだいが3匹。
ガラス越しに釘付けになった。

アビシニアンMIX。
純血種じゃないから6万円。
血統書なんてつかない。
でも、そんな事はどうでもよかった。
猫を飼う話は夫にもしてある。
娘も連れて帰るつもりになってる。

決まった。

どの子がいいですか?
オスですか?メスですか?

それもどっちでもいい。
一番動き回ってるやんちゃそうな子を選んだ。

ケーキ屋さんの組立てる箱みたいな
ダンボールの箱に入れられて目の前に連れて来られた。

洋館みたいな絵が描いてあって
窓のところに空気穴が空いている。

嬉しくて嬉しくて小躍りしそうだった。

大事に抱えて新宿三丁目駅へ向かう。

駅ってこんなに大きな音がするんだっけ?
箱の中のチビちゃんは怖がってないかな?
たぶんニンゲンの方がビクビクしていた。

家に着くと危ない物はないか確認して
そうっと箱を開ける。

茶色い仔猫がクリクリの目をして
小さくミャーミャーと鳴いた。

壊れそうなちいさな猫を優しく抱いて
微笑む10歳の娘に弟ができた。
名前はちゃちゃまる。
娘とはじめて迎えた猫。

あの日から、わたしたちの暮らしには、いつも猫がいる。

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