冬の夜
冬の夜といえば、ひと昔まえまでは家族で炬燵を囲むのが定番だった。母の残した古い写真にはその通りの風景が残されている。炬燵を囲む長女である母と、その母親、三人の妹、一人の弟、炬燵の上にはお決まりのように背を丸めた猫が目を細めている。父親がいないのは写真を撮った本人だからだろう。
たった一人の男の子であった叔父は姉たちに囲まれておとなしそうにおさまっているが、いたずらっ子だった。炬燵の中に猫を閉じ込め、出たがっても布団を押さえて出さない。しばらくたって布団を開けると猫がふらふらになって出てきてカタン、と倒れる。それを面白がっていたとか。一酸化炭素中毒にされた猫にとっては大迷惑だっただろう。
数年前の冬、その写真を久しぶりに見てあることに気づいた。母の年子の妹の後ろに見知らぬ女性が写っているのだ。それもなにか悲しい顔で。角度を変えて見ると恨みがましい顔にも見える。この人は誰だろう?もしかして父が他にもうけた子供?まさか。気になって当時の戸籍を取り寄せてみたがなんの記述もなかった。
そういえば入院中の母からこんな話を聞いたことを思い出した。年子の妹は高校の規則を破ってパーマをかけたり、制服を作り直したり破天荒なところがあったけれど、いつも姉と比較されるのを気にしていた。成績優秀で誰からも好かれお見合いの話も山ほどあった姉を妬んでいたとか。母の母親も次女をなにか気が合わないとこぼしていたそうだ。わたしが知る叔母は明るくておしゃれでそんな一面は全く見せなかったのに。
人には見られる自分、アピールする自分と、隠れた暗いところに人に見せない自分がいる、と本で読んだことがある。もしかしてあの女性は叔母の裏の姿なのかもしれない。
母が亡くなったとき、なにか気味が悪くてその写真も処分してしまったので今は確かめる術もない。
それ以来、わたしには自分の写真を眺めるたび後ろに写っている誰かを凝視する癖がついている。
おわり
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