【第2弾・完全版】GOLDは過去のどの価格を覚えているのか?|水平線・価格記憶の統計検証
GOLD CANDLE LAB|価格記憶・水平線完全版
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「前日高値は意識される」「抜けた高値は強い」「上位足の始値は効く」。
チャートでは、水平線で反応した場面をいくらでも見つけられます。しかし本当に知りたいのは、反応例が存在するかではありません。
普通の価格と比べても、その水平線は反応しやすいのか。
本記事では、GOLDのW1・D1・H4・H1が作ったOpen / High / Low / Close、合計16種類を同じ条件で比較しました。
さらに、各水平線と似た距離に置いたRandom Levelも同じ値動きで追跡しています。
この検証で分けるもの
水平線の「強さ」には、少なくとも三つの意味があります。
その価格へ戻ってきやすい
Touch後に反応しやすい
Break後にそのまま進みやすい
この三つは同じではありません。
前日高値へ頻繁に戻ってきても、そこで反落するとは限りません。反応率が低い代わりに、抜けた後の継続率が高い可能性もあります。
使用データ
銘柄:XAUUSD
提供元:Dukascopy
価格:Bid OHLC
タイムゾーン:UTC
期間:2015年1月1日〜2025年12月30日
連続M5:969,711本
値幅ゼロを除く有効M5:779,316本
有効H1:65,021本
探索期間:2015〜2022年
確認期間:2023〜2025年
公式静的配信M1をM5へ集約した2,865日と、Dukascopy Data APIのM5 554日を統合しました。
M5をH1へ再集約して既存H1と照合したところ、有効H1 65,021本のうち65,008本に同時刻の集約足が存在し、64,927本はOHLC全四値が0.0011以内で一致しました。
水平線の定義
対象は次の16種類です。
時間足水平線 W1Open / High / Low / Close D1Open / High / Low / Close H4Open / High / Low / Close H1Open / High / Low / Close
形成途中の高値・安値は使いません。参照足が完成した後に初めて水平線を有効にし、その後24本の有効H1以内を観察しました。
完成直後のCloseは現在価格とほぼ同じです。その場にいるだけの状態をRetestとは数えず、価格が0.25 H1 ATR以上離れた後の再接触をTouch1としました。
Touch判定帯はH1 ATR14の2%、最低0.001です。
「反応」の測り方
水平線へ下から到達した場合は、水平線から下へ離れる動きを反応とします。上から到達した場合は上への離脱が反応です。
本章の主比較では、Touch後に次のどちらへ先に到達したかを競わせました。
水平線から反応方向へ0.5 H1 ATR
水平線を通過する方向へ0.5 H1 ATR
同じM5の中で順序を決められないケースは、解決済みの反応率から除外しています。
Random Levelの作り方
実在水平線のTouch事例から時間帯と相場環境を引き継ぎ、有効化時点の価格から水平線までのATR距離を0.8〜1.25倍の範囲で合わせました。上下はランダムに割り当て、一つの実在事例につき20本を生成しています。
H1線の母数が極端に大きいため、Random比較は各水準最大1,000件の実在Touchを固定seedで抽出しました。
Random比較は「どこに置いても反応しやすい相場だっただけ」という影響を減らすためのplaceboです。完全に同一の価格経路を作るものではないため、結果は探索期間と確認期間の一致も合わせて判断します。
先に主な結果
16水準の多くは、Randomより反応しやすくなかった
前日高値のTouch1は、反応するより通過する側へ偏った
前日高値の0.5ATR反応率は45.1%、Randomは52.0%だった
前日高値Break後の0.5ATR継続率は55.8%、Random Breakは52.5%だった
前日安値Break後の0.5ATR継続率は54.9%、Randomは50.0%だった
「High / Lowは反発点」というより、条件によってはBreak継続を観察する場所として情報を持つ可能性がある
この結果は「前日高値を抜けたら買えば勝てる」という意味ではありません。Entry、SL、TP、スプレッドを含む売買検証は別です。
目次
16種類の水平線を同条件で比較
Random Levelより反応した水準
前日高値が反発点にならなかった理由
High / Low Break後の継続率
Touch1・2・3・4+で何が変わるか
第3弾へ渡すBreakout条件
第1章 16種類はRandomより反応したか
0.5 H1 ATRの反応率について、実在水平線からRandom Levelを引いた差が次の表です。
水準Touch実線反応率Random差 W1 Open13457.6%53.4%+4.2pt W1 High15650.5%51.8%-1.3pt W1 Low10049.1%51.8%-2.7pt W1 Close50250.1%50.1%±0.0pt D1 Open1,90651.3%52.4%-1.1pt D1 High1,90345.1%52.0%-6.9pt D1 Low1,74850.7%54.3%-3.6pt D1 Close3,06651.3%51.7%-0.3pt H4 Open13,63652.9%51.9%+1.0pt H4 High13,61050.8%54.5%-3.7pt H4 Low13,13052.8%53.5%-0.8pt H4 Close16,06053.0%52.1%+0.9pt H1 Open56,25852.9%53.9%-0.9pt H1 High56,51251.7%54.0%-2.2pt H1 Low55,47953.0%54.1%-1.1pt H1 Close59,28252.7%52.7%±0.0pt
表だけを見ると、W1 Openの+4.2ポイントが最良です。しかし解決済み事例は99件しかなく、探索期間64.2%に対して確認期間43.8%でした。
期間外で向きが反転しているため、有効な水平線とは判定しません。
H4 OpenとH4 Closeも約+1ポイントでしたが、H4 Closeは探索期間54.0%から確認期間50.7%へ低下しました。Randomとの差が小さく、安定した反応優位性とは言えません。
第2章 もっとも差が大きかったのは前日高値
D1 Highの反応率は45.1%、Randomは52.0%でした。
差はマイナス6.9ポイントです。
重要なのは、この差が「前日高値は無意味」という結果ではないことです。
反応方向と通過方向のraceなので、反応率が50%を下回ることは、前日高値へ下から戻ったときに反落するより上へ通過するケースが増えたことを意味します。
期間D1 High反応率解決済み件数 2015〜2022年45.2%850 2023〜2025年45.0%400 全期間45.1%1,250
探索期間と確認期間でほぼ同じ数字でした。
「前日高値は初回Touchで売られやすい」という仮説より、前日高値まで戻った勢いが、そのまま通過へつながることがあるという仮説が次に残ります。
第3章 Break後は本当に続いたか
M5終値が水平線の外側で確定した後、水平線内へ終値で戻る前に0.5 H1 ATR進んだ割合を調べました。
水準実線BreakRandom Break差 D1 High55.8%52.5%+3.4pt D1 Low54.9%50.0%+5.0pt
D1 Highは探索期間55.2%、確認期間57.2%。D1 Lowは探索期間54.6%、確認期間55.9%でした。
1 H1 ATRまで継続した割合も、D1 High 36.6%対Random 33.6%、D1 Low 34.9%対Random 30.3%でした。
差は大きくありません。しかし反応率の結果と方向がつながっています。
D1 HighはRandomより反応しにくかった
D1 Highを終値でBreakした後はRandomより継続しやすかった
D1 LowもBreak後継続側で差が出た
前日High / Lowを「必ず反発する壁」と読むより、Breakが確定した後の継続候補として扱うほうが、今回のデータには合っています。
第4章 初回Touchが最も強いのか
D1 HighEpisode数0.5ATR反応率Break後0.5ATR継続率 Touch11,90345.1%55.8% Touch21,58853.6%46.8% Touch31,32355.8%46.7% Touch4+4,53651.9%47.0%
Touch4+は同じ水平線イベントから複数episodeが入るため、独立した4,536本ではありません。統計的不確実性はevent単位で扱う必要があります。
それでも形は明確でした。
初回Touchだけ、反応率が低くBreak継続率が高い。2回目以降は反応側が50%を超え、Break継続側が低下しました。
「Touch回数が増えるほど水平線は弱くなる」という単純な関係ではありませんでした。
ただし、この章はD1 High内部の比較です。Touch回数ごとのRandom episode比較ではないため、「前日高値固有の効果」とまでは断定しません。
第5章 最終的に残す仮説
ここまでで、次の候補が残りました。
D1 Highの初回Retestは反発点よりBreak候補として見る
D1 High / LowはM5終値Break後の継続率を調べる価値がある
Touch2以降はTouch1と同じルールで扱わない
Open / Closeの小さな差は、確認期間とRandom比較で優位性を確認できない
16種類を同時に比較しているため、最も良かった数値だけを採用すると偶然を拾う危険があります。特にW1 Openは母数が小さく、探索期間と確認期間で向きが反転したため採用しません。
今回は、単純な反応率で期間をまたいで大きな差が残った水準は「なし」と判定します。一方、探索・確認の両方で同じ方向を示したD1 High / LowのBreak継続だけを、次回の事前仮説として残します。
Session High / Low、複数時間足の重なり、Touch回数別Random比較は本記事の対象外です。今後追加する場合も、今回の結論と混ぜず別検証として扱います。
第6章 第3弾へつながる問い
第2弾の結果では、「反応する水平線」より「抜けた後に継続しやすい水平線」が候補として残りました。
では、D1 High / LowのBreakなら何でも同じなのでしょうか。
ヒゲだけ抜けた場合
M5終値で抜けた場合
大きな実体で抜けた場合
終値が深く抜けた場合
Touch1で抜けた場合
一度Sweepしてから抜けた場合
この違いを調べるのが、第3弾「GOLD Breakout / Sweep 完全検証」です。
本記事では、連続M5、16水準、Random Level、Touch回数、Break継続を同じ定義で比較しました。Session4値や複数水準の重なりは対象に含めていません。
本記事は過去データの統計的な観察を目的としたもので、将来の値動きや利益を保証するものではありません。売買の推奨ではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。
