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【第5弾・完全版】GOLDはどこで入れば期待値が変わるのか?|Entry・SL・TP完全検証

GOLD CANDLE LAB|Entry / SL / TP 完全検証


公開形式:全文無料


第3弾では、前日高値・安値を大きな実体で抜いたStrong Breakを抽出しました。


第4弾では、その後の25 / 50 / 75%戻し、Broken Level、FVG、Order Blockを追跡しました。50%戻しは92.9%、元の水平線まで戻るケースも76.1%ありました。


では、押しを待てば実際の売買成績も良くなるのでしょうか。


今回比べたのは、即時Entry、25 / 50 / 75%押し戻り、Broken Level、M5 / M30 / H1 FVG 50%、Order Blockの9種類です。すべてを同じシグナル、同じSL・TP、同じBid / Ask価格で比較しました。


先に結論


  • 共通条件「SL 0.5ATR / TP 1.0ATR / 12有効H1」では、9種類すべて期待値がマイナス

  • 即時Entryは全期間で1シグナルあたり-0.051R、PF 0.925

  • 25%押し待ちは96.2%約定したが、1シグナルあたり-0.663R

  • FVGやOrder BlockへEntry位置を変えるだけでは、成績はプラスにならなかった

  • 探索期間だけで全条件を比較すると、即時Entry・SL 0.75ATR・TP 2.25ATR・24有効H1が残った

  • このルールは探索期間で+0.049R、未使用の確認期間で+0.133R。PFはそれぞれ1.067、1.186

  • 周辺4条件も探索・確認の両方でプラスだった

  • ただし探索期間は往復それぞれ0.02ATRの不利なslippageを加えると-0.004Rへ低下


今回得られたのは、万能なEntryポイントではありません。


「押しを待つほど有利」という一般論は確認できず、Strong BreakではEntry位置よりSL・TPと保有時間の組み合わせの方が結果を大きく変えた。しかも残った差はコストに弱い。


これが第5弾の結論です。


使用データ


  • 銘柄:XAUUSD

  • 元データ:Dukascopy Historical Data

  • 主時間足:H1

  • 売買経路:M5 Bid / Ask OHLC

  • 対象期間:2015年1月〜2025年12月

  • 探索期間:2015年〜2022年

  • 確認期間:2023年〜2025年

  • Strong Break:920件

  • 探索期間:705件

  • 確認期間:215件


Askデータは、検証に使ったBidの969,711本すべてに同時刻の価格を対応させました。買いEntryはAsk、売りEntryはBid、決済は反対側の価格で判定しています。


スプレッドは最初から含みます。基本結果にはslippageを含めず、最後に別条件として悪化させます。


Strong Breakの固定定義


今回のシグナルは、第3弾・第4弾と同じです。


  • D1 High / LowをM5終値でBreak

  • Break candleの実体が0.75 H1 ATR以上

  • 水平線から終値までの貫通幅が0.25 H1 ATR以上

  • 同じ方向の連続抜けは重複させない


Entry検証を見てから、Breakの定義は変えていません。


最初に9種類を同じ出口で比較する


Entryだけを比較するため、最初の出口は全条件で固定しました。


  • SL:0.5 H1 ATR

  • TP:1.0 H1 ATR

  • RR:2

  • 最大保有:12有効H1

  • 指値待機:Break後24有効H1


未約定は0Rとして「1シグナルあたり期待値」に含めます。約定した取引だけを見る数値と、待って機会を失ったケースまで含む数値を分けるためです。


同じM5の中でSLとTPの両方へ到達した場合は、順序を復元できません。そのため、基本結果では保守的にSLを先としました。


全目次


  1. 共通SL・TPで9種類のEntryを比較

  2. 押しを待つと何%約定するのか

  3. 25 / 50 / 75%Entryが崩れた理由

  4. FVG・Order Block Entryの成績

  5. 探索期間だけでSL・TP・保有時間を選ぶ

  6. 未使用期間で同じルールを確認する

  7. 周辺条件でも結果が残るか

  8. spread・slippage・同一M5順序の影響

  9. 実運用へ持ち込む前に残る問題

  10. 第6弾・統合ストラテジー編への引き継ぎ


この先で分かること


  • 「50%押しまで待つ」は本当に即時Entryより良いのか

  • FVGやOrder BlockはEntry価格として価値があるのか

  • 勝率ではなく1シグナルあたり期待値で比べると何が残るのか

  • 探索期間で選んだルールが、その後の3年間でも残ったのか

  • 少しコストを悪化させても耐えられるのか


1.最初の結果は、9種類すべてマイナスだった


まずはEntry位置だけを変え、SL・TP・最大保有を共通にした結果です。

Entry約定数約定率勝率1取引期待値1シグナル期待値PF 即時920100.0%31.63%-0.051R-0.051R0.925 25%戻し88596.20%10.62%-0.690R-0.663R0.228 50%戻し80587.50%16.89%-0.494R-0.432R0.401 75%戻し69675.65%15.23%-0.550R-0.416R0.350 Broken Level61066.30%19.18%-0.441R-0.293R0.451 M5 FVG 50%58063.04%28.97%-0.150R-0.094R0.787 M30 FVG 50%34737.72%28.24%-0.182R-0.069R0.742 H1 FVG 50%25327.50%26.48%-0.238R-0.065R0.674 Order Block47251.30%27.33%-0.187R-0.096R0.739

共通条件では、即時Entryが最も損失の小さい結果でした。しかしPFは1を下回り、プラスではありません。


「押しを待てばEntry価格が良くなる」という説明だけでは不十分でした。価格が深く戻ってきたという事実は、同時にBreak方向への勢いが失われた可能性も含むからです。


2.約定率と優位性は別だった


25%戻しは96.2%、50%戻しも87.5%で約定しました。第4弾で確認した通り、Strong Breakの多くは押し戻りを作ります。


しかし、到達しやすいことと、到達後に再加速しやすいことは別です。


特に25 / 50 / 75%戻しEntryは、約定したM5ですぐ逆側のSLへ触れるケースが多く、25%と50%は保有時間の中央値が0分でした。M5 OHLCではEntry後の細かな順序を再現できないため、同じ足でSLとTPの両方へ触れた場合はSLを先としています。


このルールは厳しいですが、都合よくTPを先にすれば現実より良い結果を作ってしまいます。


3.「深い押しほどRRが良い」は片側だけの説明


同じ目標価格を想定すれば、深い位置で買うほど見た目のRRは良くなります。


ただし深く戻った時点で、次の三つも同時に変わっています。


  • Breakから経過した時間

  • Break方向の勢い

  • 元のレンジへ戻る確率


Entry価格だけを有利にし、SL幅を0.5ATRへ固定すると、この悪化を吸収できませんでした。


今回の結果から言えるのは、「押し目買いが常に悪い」ではありません。押しの深さだけで注文を置くルールには、再加速を選ぶ情報が足りなかったということです。


4.FVGとOrder Blockへ置き換えても解決しなかった


第4弾では、FVG 50%やOrder Blockの反応率がRandom Zoneを明確には上回りませんでした。


売買ルールにしても同じ傾向です。


  • M5 FVG:1シグナルあたり-0.094R、PF 0.787

  • M30 FVG:-0.069R、PF 0.742

  • H1 FVG:-0.065R、PF 0.674

  • Order Block:-0.096R、PF 0.739


H1 FVGは損失額だけを見ると即時Entryに近く見えます。しかし約定率は27.5%です。約定した取引だけでは-0.238Rで、約72.5%の未約定を0Rとして平均したため、1シグナルあたりの損失が小さく見えています。


選択性が高いことと、選ばれた取引の質が高いことは同じではありません。


5.出口条件は探索期間だけで選んだ


共通出口が全滅したため、次にSL・TP・保有時間を比較しました。


ただし、2015〜2025年を見て一番良い条件を選ぶと、その期間に合わせただけの結果になります。そこで役割を分けました。


  • 2015〜2022年:探索に使用

  • 2023〜2025年:条件選択には使用しない確認期間


探索した範囲は次の通りです。


  • SL:0.25 / 0.5 / 0.75 / 1.0 H1 ATR

  • TP:0.5 / 1.0 / 1.5 / 2.0 H1 ATR

  • 固定RR:1 / 1.5 / 2 / 3

  • 最大保有:4 / 12 / 24有効H1

  • Entry:共通条件で上位かつ探索期間100約定以上の3種類


探索期間で残った条件は、次でした。


即時Entry / SL 0.75ATR / TP 2.25ATR / RR 3 / 最大24有効H1


勝率を上げたルールではありません。損失1Rに対して利益3Rを狙い、Strong Breakの伸びる少数ケースを残す形です。


6.選んだルールを未使用期間へそのまま適用

期間N勝率期待値 / signalPFSignal順DD 探索 2015〜202270526.52%+0.049R1.06748.83R 確認 2023〜202521528.37%+0.133R1.18613.00R

探索期間で固定した条件は、確認期間でも符号がプラスのまま残りました。


これは重要な結果ですが、強く言いすぎるべきではありません。探索期間のPFは1.067で、利益と損失の差は小さいからです。確認期間のNも215件で、長期運用を保証できる数ではありません。


また、ここで示すDDはシグナルを時系列に並べてRを累積した「Signal順DD」です。重なったポジションの合算、証拠金、同時保有上限、ロット調整を含む口座資金曲線ではありません。


7.一点だけ良かったのか、周辺にも残ったのか


最良値だけがプラスなら、過剰最適化を疑う必要があります。


そこで近いSL・TP・保有時間も確認しました。

SLTP最大保有探索期待値確認期待値探索PF確認PF 0.75ATR1.50ATR12H+0.023R+0.087R1.0351.138 0.75ATR2.00ATR24H+0.025R+0.126R1.0351.181 1.00ATR1.50ATR12H+0.037R+0.039R1.0641.069 1.00ATR2.00ATR12H+0.030R+0.079R1.0481.128

4条件すべてが探索・確認の両方でプラスでした。


最良条件だけが孤立した点ではなく、SL 0.75〜1.0ATR、TP 1.5〜2.25ATR付近に小さなプラス領域が残っています。これは一点最適化よりは良い材料です。


ただし、どのPFも大きくはありません。「だいたいこの領域なら強い」ではなく、「少なくともこのデータでは、近い条件にも同じ方向の差があった」と読むのが適切です。


8.slippageを加えると、差の薄さが見える


基本検証にはBid / Ask spreadを含めています。さらに、EntryとExitの両方を不利な方向へずらしました。

片道slippage探索期待値探索PF確認期待値確認PF 0 ATR+0.049R1.067+0.133R1.186 0.01 ATR+0.023R1.030+0.107R1.145 0.02 ATR-0.004R0.995+0.080R1.106

探索期間は、片道0.02ATRの追加コストでわずかにマイナスへ戻りました。


この感度を見る限り、残ったルールは大きな優位性ではありません。実運用では、ブローカーごとのspread、指標時の拡大、約定遅延、slippageが結果を消す可能性があります。


同一M5でSLとTPの両方に到達したケースについて、楽観的にTPを先とした場合も確認しました。探索期間では曖昧ケースがなく数値は変わりません。確認期間では期待値が+0.133Rから+0.152Rへ上がりました。基本結果は保守的な+0.133Rを採用します。


9.なぜ即時Entryが最後に残ったのか


第4弾では押し戻りが非常に多いことが分かりました。それだけを見ると、待つ方が合理的に見えます。


しかし売買結果は、次の二つを同時に考える必要があります。


  1. より良い価格で入れる効果

  2. 戻ってきた時点で勢いが弱くなっている効果


今回の機械的な押し待ちは、2を選別できませんでした。対して即時Entryは価格面では不利でも、Strong Breakが成立した瞬間の勢いを失う前に参加します。


そしてSLを0.5ATRから0.75〜1.0ATRへ広げ、TPを1.5〜2.25ATRへ置くと、細かな揺れで落とされるケースを減らし、少数の大きな伸びを残せました。


これは「Breakoutでは常に飛び乗るべき」という結論ではありません。今回のStrong Break定義と比較範囲の中で、機械的な待ちEntryより即時Entryが残った、という限定された結果です。


10.実運用前に残る検証


このままEAへ入れる前に、少なくとも次を確認する必要があります。


  • 年別・月別に損益が一部期間へ偏っていないか

  • ロンドン・NY・アジア時間で差があるか

  • 指標発表時のspread拡大を含めると残るか

  • 同時保有を制限した口座資金曲線

  • 固定ロットとリスク一定ロットの違い

  • Walk-forwardでルールが維持されるか

  • 別データ提供元でも再現するか

  • D1 High / Low以外の水平線へ広げても残るか


今回の920シグナルは、それぞれ独立した機会として評価しています。重複時間帯のポジションを相殺せず、資金制約も入れていません。この部分は第6弾で戦略へ統合するときに処理します。


11.第1〜第5弾で、役割がつながった


第1弾では、ローソク足単体の形に大きな優位性があるのかを調べました。


第2弾では、どの価格に記憶があるのかをRandom Levelと比較しました。


第3弾では、その価格をBreak / Sweepしたことに情報があるのかを調べました。


第4弾では、Break後にどこまで戻り、FVGやOrder Blockから再加速するのかを調べました。


そして第5弾では、候補を実際のBid / Ask売買へ変換しました。


最終的に残ったのは、華やかな名前の付いたEntryポイントではありませんでした。


大実体・深い終値抜けでStrong Breakを定義し、即時Entry、0.75ATR SL、2.25ATR TP、最大24有効H1。


ただしPFは薄く、コスト感度も高い。現時点では「完成した必勝法」ではなく、第6弾でさらに壊しにいく価値が残った候補です。


次回|第6弾 GOLD統合ストラテジー・EA構築編


第6弾では、今回の候補を口座レベルの戦略へ変換します。


  • 同時保有と最大ポジション数

  • セッション・曜日・ボラティリティ条件

  • Walk-forward

  • 現実的なspread / slippage

  • リスク一定の資金管理

  • EAへ実装できる完全なルール


一つずつ都合の悪い条件を加え、それでも残るのかを確認します。


免責事項


本記事は過去データを用いた統計検証であり、将来の利益を保証するものではありません。記載した数値は特定データ・定義・期間・約定モデルに基づきます。実際の取引では、spread、slippage、約定拒否、価格配信、取引時間、資金管理などにより結果が変わります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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