#018【現場レポ】福良こども園ワークショップ
みなさん、こんにちは。
保育現場でファシリテーションをしているふじいけ ようたろうです。
今回は、ぼくが住む兵庫県南あわじ市にある
福良こども園で開催した1学期のふりかえりワークショップの様子をレポートしていきます。
プログラム
福良こども園さんにとって
今回のように「解決策を出さない」「対話そのものを味わう」ことを目的とした研修は初めての試みでした。

あまりカタカナや英語の難しい言葉を使ったりせずに
シンプルにみんなで話すことを楽しめるようにデザインしました。
【タイトル】1学期の「がんばったこと」と「しんどかったこと」を分かち合う、おつかれさまワークショップ
【時間】13:00~15:00
【人数】12名
【ねらい】対話を通して考えや気持ちを重ね合わせることで、リラックスした雰囲気で1学期を振り返り、2学期へ向かう気持ちを整える。
アットホームな雰囲気からスタート
まずは場を温めるチェックインとして、
「オープンウインドウ」という手法を用い、
4つの問いをベースに対話の時間を設けました。

これまでぼくが関わらせていただいた園の中でも、
今回は一番職員数が少ないアットホームな規模感でした。
「すでにみんな顔見知りだし、どんな空気になるかな?」
と少しドキドキしていましたが、
「へ〜、そうだったんだ!」
と普段見えない意外な一面に驚き、笑い合う声がたくさん。
この「意外性」を楽しめる関係性と、「共感」で受け止める空気感。
これは、先生方が普段からしっかりと
コミュニケーションをとれている何よりの証拠です。

予想以上に場があたたまるスピードも早く、
ファシリテーターとしてもいいスタートを切ることができました。
キャリア別の対話へ
チェックインで心がほぐれた後は、メインワークへ。
キャリア(経験年数や役職)ごとにグループに分かれ、
1学期の「よかったこと(グッジョブ)」と
「むずかしかったこと(おつかれさま)」を
付箋に書き出し、共有していきました。


書きながらも、横の先生の付箋を見ながら
「あ〜それわかる〜!」
と自然と対話を始める、そんな素敵な関係性もたくさん見られました。
「付箋の貼り方」がもたらす魔法
ここで非常に特徴的で面白かったのが、「付箋の貼り方」です。




ぼくからは
「こういう手順で貼ってくださいね」
という細かな指示は出していなかったのですが、
どのグループも、
「一旦、全部貼り出してみよう!」と
自分たちが書いた付箋を一気に模造紙に貼ってから、
ワイワイと話し合いを始めていました。
実は、ワークショップにおける付箋の貼り方には大きく2つのパターンがあり、
それぞれ場にもたらす意味合いが変わってきます。
一枚ずつ貼りながら話す(ストーリーテリング型)
自分のエピソードを話しながら付箋を貼る手法です。
一つひとつの話にじっくりスポットライトが当たるため、「それすごくわかる!」という深い共感や、予定調和ではないライブ感のある対話が生まれやすいのが魅力です。
一方で、全員の注目を浴びて話すため、対話に不慣れな方は最初少しプレッシャーを感じる場合があります。
一気に全員で貼ってから話す(俯瞰・マッピング型)
まずは全員の頭の中にあるものをドバッと出し切る手法です。
「うわー、みんなこんなに色々あったんだ!」と視覚的なボリュームを見ることで、「しんどかったのは私だけじゃないんだ」と圧倒的な安心感が生まれます。
また、すでに出ている言葉を指さして話し始めることができるため、発言のハードルがグッと下がり、付箋同士の「つながり」も発見しやすくなります。
明るく元気なキャラクターの先生が多いからこそ、
無意識のうちに「一気に貼りながらワイワイ話せる」という
自分たちにとって一番安心できるスタイルを自然に選ばれたのだと思います。
そのスタイルがマッチし、
付箋を眺めながら話したり、付箋を並べ替えながら自然と課題を深掘りしながら対話している様子がたくさん見られました。
キャリアごとに見えた、それぞれの「リアル」な視点
グループごとの対話を全体でシェアする時間では、
それぞれのキャリアや立場によって、見ている視点に明確な特徴が表れていました。

若手グループ
日々の保育に対する素直で一生懸命な姿勢が、
言葉の端々からあふれていました。
園長先生や主任の先生からも、
「本当によくがんばっているよね」と、
若手の先生方の努力を心から讃える温かい言葉がたくさんかけられていました。
「福良こども園で働けて嬉しい!」
なんてうれしい言葉も!すてきなチームです。

中堅グループ
目の前の自分のクラスのことだけでなく、
園全体のことや、職員間の連携、仕事の進め方など、
視野が一段上がっているからこそ直面する、一歩進んだ悩みや葛藤が見られました。
ぼくもグループの対話に入りましたが、
「そうだよね〜」
という、単純ではない課題もいっぱいでした。
給食室(調理)グループ
なんと「悩みはほとんどない!」という頼もしい声が上がり、
会場が驚きと笑顔に包まれました。
今年度は保育士さん側から
「お弁当作り」などの提案をもらえたことが非常に嬉しく、
一緒に活動できたことが大きな喜びにつながっていると語られていたのがとても印象的でした。
園長先生&主任の先生グループ
現場の先生方に
「本当によくがんばっている!」と心からの労いを送りつつも、
「口出ししすぎたのではないか」
「自分たちも迷ったり悩んだりしている」
と、リーダーとしてのリアルな弱さや悩みを、皆さんの前で素直に吐き出してくださいました。
リーダーがこうして自分の「弱さ」を自己開示できることは、
一緒に働くメンバーにとって
「ここでは完璧じゃなくてもいいんだ」
という計り知れない安心感につながります。

「文化が不透明」=これから一緒に描ける大きな余白
対話の終盤、園長先生から
「自園らしさ(文化)が実は結構不透明になっている」
という悩みも共有されました。
私立の保育園は、公立と違って、
先生の異動がなく、管理職も変わらない。
だからこその築いていける伝統や文化もありますが、
意外と属人的になっていて、言語化されていない部分があり、
あいまいな部分も多い。
若い先生が
「うちの園では〇〇をしないといけない」
と思っている伝統やルールも、
実はそんな事実が全くなかったりするのはよくある話。
「不透明である」「決まりきっていない」
ということは、
一見するとネガティブに聞こえるかもしれませんが、
ぼくはこれを聞いてとてもワクワクしました。
見方を変えれば
「不透明」「決まりきっていない」
=「これから一緒に作っていける余白がたっぷりとある」
ということです。
完成されたガチガチの文化がないからこそ、
今の福良こども園の素晴らしいメンバー全員で、
新しく、心地よい保育の形をデザインしていけるのです。
リーダーが弱さを見せ、若手がのびのびと語り、
給食室と保育士が手を取り合う。
この日のワークショップで見せていただいた温かい関係性があれば、
その「余白」にはきっと素晴らしい色が塗られていくはずです。
これから、福良こども園の皆さんがどんなチームを作り、
どんな保育を描いていくのか。
伴走者として、本当に楽しみでなりません。
福良ファミリーのみなさま、
実りある最高の時間をありがとうございました!
▼おしごと依頼はHPから▼
ふじいけ ようたろう(藤池陽太郎)
