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マイホームを売るとき、知らないと損する「3,000万円控除」の落とし穴3つ


1. はじめに

マイホームを売却するとき、利益が出たら税金がかかります。

不動産の譲渡所得に対する税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」なら約39.63%、5年超の「長期譲渡所得」なら約20.315%(いずれも所得税・住民税・復興特別所得税の合計)です。

「えっ、そんなに?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、安心してください。マイホームを売却したときには、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(租税特別措置法第35条第1項、第2項)という、とても強力な特例があります。

譲渡益から最大3,000万円を控除できるこの特例は、マイホームを売却するほとんどの方にとって、非常に有利な制度です。

ところが、この特例——「使えると思っていたのに、使えなかった」というケースが、相談の現場では本当によくあるんです。

今日は、3,000万円控除の「落とし穴」を3つ、わかりやすくお伝えします。最後まで読んでいただくと、「売る前に確認しておいてよかった」と思っていただけるはずです。


2. 最新トレンド——令和8年度税制改正で変わったこと

令和8年度(2026年度)税制改正では、居住用財産の譲渡に関連していくつかの改正が行われました。売却を検討している方は、必ずチェックしておきましょう。

① 空き家特例の適用期限が令和9年12月31日まで延長

被相続人(亡くなった方)が住んでいた自宅を相続した後、一定の要件を満たして売却する場合に3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)の控除を受けられる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(租税特別措置法第35条第3項)の適用期限が、令和9年(2027年)12月31日まで延長されました。

相続した実家を売却する予定のある方には、特に重要な改正です。対象となる譲渡は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに行ったものが要件となります。また、譲渡対価の額が1億円以下であることも必要です。

② 居住用財産の買換特例の適用期限が令和9年12月31日まで延長

自宅を売却して新たなマイホームに買い換える場合に利用できる「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」(租税特別措置法第36条の2)についても、適用期限が令和9年(2027年)12月31日まで延長されました。

なお、この特例の適用を受けるためには、売却する資産の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年超であること、居住期間が10年以上であることなど、一定の要件を満たす必要があります。


3. 現場の実感——よくある「使えなかった」パターン3つ

ここからは、実際の相談現場でよく耳にする「3,000万円控除が使えなかった」ケースをご紹介します。「自分は関係ない」と思っていても、意外とはまってしまう落とし穴ばかりです。

落とし穴① 前年か前々年にも3,000万円控除を使っていた

ある相談の現場で、こんなご相談をいただいたことがあります。

「2年前に相続した実家(空き家特例)を売却して特例を使いました。今年、今住んでいる自宅を売ろうと思っているんですが、また3,000万円控除が使えますよね?」

……残念ながら、使えません。

3,000万円控除は、売った年の前年および前々年にこの特例(空き家特例を除く)または居住用財産の買換特例(措法第36条の2)・住宅売却損失の損益通算(措法第36条の5・第41条の5等)の適用を受けていないことが要件の一つです(租税特別措置法第35条第2項)。

ただし、ここで注意していただきたいのは「空き家特例を除く」という部分です。空き家特例(措法第35条第3項)を前年・前々年に使っていた場合は、今年の3,000万円控除の適用を妨げません。

3,000万円控除は、基本的に3年に1回のペースでしか使えないルールになっています。「またすぐ使えるはず」という思い込みには要注意です。

落とし穴② 買換特例と同時に使おうとした

「自宅を売って新しい家に買い替えるんですが、3,000万円控除と買換特例って両方使えますか?」

こちらも、使えません。

買換特例(租税特別措置法第36条の2)は、適用を受けようとする年またはその前年・前々年に、3,000万円控除(措法第35条第1項)の適用を受けていないことが要件とされています。

逆に、3,000万円控除側(措法第35条第2項)も、前年・前々年に買換特例の適用を受けていないことを求めています。

つまり、3,000万円控除と買換特例は、同じ年に同時に使うこともできませんし、前後3年以内に両方使うこともできません

では、どちらを選べばよいのでしょうか。

一般的な考え方をお伝えすると、課税関係をすっきり確定させたい場合(利益が3,000万円以内に収まる場合など)は3,000万円控除が有利なことが多く、売却益が大きく将来に課税を先送りしたい場合は買換特例が有利になるケースもあります。どちらが有利かは個別の状況によって異なりますので、売却前に専門家に相談することをおすすめします。

落とし穴③ 特別の関係がある人に売ってしまった

「子どもに自宅を売ったんですが、3,000万円控除は使えますか?」

これも、使えません。

3,000万円控除の対象となる譲渡から、配偶者や生計を一にする親族、当該家屋を売った後に同居する親族、内縁関係にある者、特殊な関係のある法人などへの売却は除かれています(租税特別措置法第35条第2項第1号)。

相続税対策の一環として、子どもや配偶者に自宅を売却しようと考えるケースがあります。不動産の売却で利益が出ているときに、「どうせ家族に売るなら控除を使って節税しよう」と考えてしまう気持ちはわかります。でも、この特例は使えないのです。

「家族に売るのが一番安心」と思っていた方にとっては、意外な盲点になります。売却先が「特別の関係がある人」かどうかは、契約を結ぶ前に必ず確認してください。


4. 読者へのポイント——売却前に確認すべき3つのこと

マイホームの売却を検討中の方は、次の3点を事前に確認しておきましょう。

① 過去2年間に同様の特例を使っていないか確認する

前年・前々年の確定申告書を引っ張り出して確認しましょう。3,000万円控除・買換特例・譲渡損失の繰越控除など、居住用財産に関する特例を使っていた場合、今回使える特例が制限される場合があります。

② 買い換えるなら、どちらの特例が有利か比較する

3,000万円控除と買換特例は同時に使えません。「どちらが有利か?」は売却価格・取得費・買換資産の価格・今後の保有計画などによって変わります。数字を見ながら比較検討することが大切です。

③ 売却先が「特別の関係がある人」ではないか確認する

配偶者・子・生計を一にする親族などへの売却は適用外になります。「家族内売買だから大丈夫」という思い込みは禁物です。

「売った後に気づいた」では取り返しがつきません。不動産の売却前に一度、資産税に詳しい専門家に相談することを強くおすすめします。


5. まとめ

マイホームを売るときの3,000万円控除は、使えれば非常に強力な特例です。でも「当然使えるだろう」という思い込みが、思わぬ税負担につながることがあります。

今日ご紹介した落とし穴3つ、まとめると——

  1. 前年・前々年に3,000万円控除や買換特例を使っていた場合は適用不可(措法35条第2項)

  2. 3,000万円控除と買換特例は同時に使えない(措法36条の2)

  3. 配偶者・親族など特別の関係がある人への売却は適用外(措法35条第2項第1号)

「売る前の一確認」が、大きな税負担を防ぐことにつながります。

ふじまるは、「知らなかった」で損をする人を一人でも減らしたいと思っています。マイホームの売却を検討中の方、ぜひ参考にしてみてください😊


#譲渡所得税 #マイホーム売却 #3000万円控除 #不動産税金 #資産税

生成日:2026年4月30日 by ふじまる(資産税につよい税理士)

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