Fujitsu Technology Update開催!富士通研究所の最先端技術を大公開
こんにちは!富士通広報note編集部です。
当社は12/2(火)、報道関係者や投資家・アナリスト向けに技術・研究戦略を発表するFujitsu Technology Updateを開催しました。役員によるテクノロジー戦略発表のほか、富士通研究所の最先端技術や業界を跨いだ新たな取り組みを紹介するデモンストレーションを公開しました。
この記事では、全12あるデモンストレーションの中から、広報室員が気になった因果AI、そして企業をまたがるマルチAIエージェント連携に関する展示をピックアップ。担当者へのインタビューを通じて、当社の最新技術を分かりやすく深掘りします。

―こちらの展示内容について教えてください。
財務と非財務における因果関係を推論し、データに基づく経営を支援する因果AIのデモンストレーションをしています。例えば従業員満足度が高いと売上が高くなるなど、財務と非財務に関連する指標値の可視化を行うことでデータに基づく経営を支援することが可能です。
当社の技術の特徴は、スケーラビリティが高いことと最適な施策提案が行える点です。例えば米国国立健康センターの数千規模のデータを因果分析したところ、従来だと1時間半以上かかっても終わらなかった分析が、当社の技術を使えばたった2分弱で終わることが検証でき、当社の技術のスケーラビリティが実証されました。
また、健康経営のデータ分析では、売上を伸ばすために従業員のエンゲージメントスコアをあげるべき、という施策が提案されました。しかし、この施策では、従業員のストレスが上がるという新たな課題が生じます。当社の技術を使えば、ストレスの上昇を抑制するという制約を設定した上で、最も効果的な施策を導くことが可能です。
―財務と非財務情報間の因果関係を迅速に分析し、制約のある中でも最適な提案を示すことが当社の技術の特徴なのですね。何か傾向はみられたのでしょうか。
当社の従業員エンゲージメントスコアの因果分析において、大変興味深い結果が見つかりました。国内と海外でセグメントを分けて因果分析を行ったところ、全く異なる因果グラフが導き出されたのです。海外ではキャリア形成、個人の強みなど個人の要因がエンゲージメントにつながっているのに対し、国内では部署間連携、コミュニケーション程度など組織の要因の方が重要という結果が出ました。これは、従業員エンゲージメントスコアを上げるためには、国内と海外で施策を変える必要があることを示唆しており、原因と結果の関係を正確に捉える因果分析の重要性を示していると感じています。

―セグメント別に分析できれば、現場でも活用が広がりそうですね。今後、どのような業種にサービス展開されていくのでしょうか。
現在、製造業、経営、マーケティングへのサービス展開を考えています。
製造業は、複雑なパラメーター調整に苦労されているため、この領域は因果AIが活躍できるところだと思います。また経営については、トップ層から財務指標に対して非財務がどう影響するのかを明らかにしたいというお話を伺うので、今後需要が高くなると予想しています。マーケティングは、単純なルールによるターゲティングという従来の分析手法から抜け出せない、という悩みを現場の方々はお持ちです。セグメントをうまく特定して因果分析を行うことで、より高度なマーケティングが可能になると考えています。 今後、当社のコンサルティングの新たな強みとしても活用できると考えています。

―こちらの展示内容について教えてください。
今回のデモでは、複数の異なる企業が参加するサプライチェーンの運用を、各企業のAIエージェント同士が連携して行う様子をご覧頂いています。
その背景として、近年のサプライチェーン大規模化に伴って、その運用を人手で行うことが難しくなっています。その一方で、複数のAIエージェント同士を連携させるマルチAIエージェント連携が注目されていますが、各企業のAIエージェントやその意思決定に関わる機微な情報を一つに集約できず、全体として最適化を図ることが困難でした。
今回開発したマルチAIエージェント連携技術では、各企業が共有できる情報が限られる中、それぞれの企業に属し、異なるベンダーが設計・開発した複数のAIエージェント同士が、限られた情報をセキュアに共有し、状況に応じて全体で適切に対応することで、通常時の運用効率化だけでなく、急な需要変化や事故・災害などの緊急時の迅速な回復を可能にしました。
この技術は、各企業が抱えるAIをセキュアに連携するための構想であり、当社も推進しているAIスペースの方向性に即したものです。
―セキュアな環境下で、各企業が共有できる情報が限られた中でも AIエージェントの全体最適を実現できるのですね。 AIスペースとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
近年、データスペースと呼ばれる企業間データ連携の枠組みに関する議論が活発化し、主に日本および欧州において、これを実現するためのデータ基盤の整備やルール策定が進められてきました。AIスペースは、このデータスペースが提供する企業間のデータ連携をさらに拡張し、AI同士の連携まで適用範囲を広げる新しい取り組みです。データスペースが持つ「データ主権」「信頼性」「相互運用性」に基づくセキュアな組織間連携基盤を活用し、各組織が保有するAIを安全に接続・連携させることを可能にします。これにより、組織間でAIが学習・協調・推論を行い、従来のデータ共有を越えた新たな価値を創出します。

―今後、どのような業界に向けて事業化するのか、教えてください。
今後、製造業をはじめとする多様な業種への展開に向け、実証と技術強化を進めます。また、より幅広く複雑なサプライチェーンに対応するために技術開発を行い、2026年度中を目標に、当社の社会課題を起点とする事業モデル「Uvance」のDynamic Supply Chain事業を通じて提供していきます。こちらの技術により、企業のサプライチェーン戦略に新たな視点をもたらし、レジリエンスの強化と持続可能な事業運営の実現に貢献します。
また、今回のデモでご覧頂いたような、複数の異なる企業を跨いだAIエージェント連携の実現は、日本全体での競争力を高める活動として行う必要が有ります。今後は、産官学で連携しながら、AIエージェントによる日本の産業界の競争力強化を目指します。
ー記事で取り上げた以外にも、多数の展示をFujitsu Technology Update当日、ご紹介しました。デモ動画をご用意していますので、是非ご覧ください!
1. 企業間マルチAIエージェント連携によるレジリエントなSCM
2.宇宙データオンデマンドによる衛星データ利活用
3.AIエージェントとデータ活用でネットワーク障害対応を自動化
4.HPC&AIによる材料向けシミュレーション技術
5.エンタープライズLLM「Takane」と生成AI再構成
6.データドリブンは可視化から因果へ
7.海洋活用施策でネイチャーポジティブ実現
8.PolicyTwin
9.デジタルフェイク対策テクノロジー
10.空間World Model
11.量子アプリケーション実用化に向けた量子古典ハイブリッド技術
ー今後も富士通広報noteでは、社会の課題解決に貢献する当社の最先端技術や、その技術に込められた開発者たちの思い、そして未来を切り拓くビジョンなどを、皆様にお届けしていきます。次回のnoteにもぜひご期待ください!
【関連リンク】
・企業をまたがるサプライチェーンを最適に運用するマルチAIエージェント連携技術を開発し、実証実験を開始
・Fujitsu Technology Update

