シュレディンガーの扉
扉。
目の前に扉があります。それを開けるかと聞かれたら、あなたはどうしますか?
いつもの扉。そうでない扉。それによって変わるかもしれません。いつも開け閉めしている扉なら、考えるよりも先に無意識に開けてしまうかもしれません。
でも本当にその扉、開けて大丈夫ですか?
有名な量子力学の話に「シュレディンガーの猫」というものがあります。この知っている人も多いシュレディンガーの猫という思考実験。簡単に言えば、開けてみるまで箱の中の猫が生きているか死んでいるかわからない状態であるというもの。開ける前の箱の中は、生きている状態の猫と死んでいる猫が重なり合っているのだと言う考え方です。
しかしこの時点ですでに半ば意味がわからないですよね?生きている状態と死んでいる状態が重なっているとは何か?中身が見えようと見えまいと、生きているか死んでいるかは箱を開ける前から決まっているはず。誰もがそう思うでしょう。
けれどこれを多世界解釈を用いて並行世界的に説明すると、すんなりと頭に入る人は多いのではないでしょうか?
つまり、箱の中で猫が死んでいる世界と生きている世界が並行して存在している状態と言うこと。そして箱の蓋を開けた瞬間、開けた人の世界での現実が確定し、どちらの世界線に進むかが決まると言われると何となくわかるかと思います。
さて、目の前に扉があります。
この扉というのは、シュレディンガーの猫で言うところの「箱の蓋」にあたります。その蓋は見た事のないものかもしれないし、見慣れたものかもしれない。けれど「中が見えない箱の蓋」と言う事は共通しているのだとしたら、それが見慣れたものかそうでないかは、あまり重要ではないような気がします。
扉。
それは今いる場所とその先を区切るもの。「開ける」という動作をしなければその先には進めません。また扉は基本的にはその先が見えない場所に入る為に存在しています。
いつも何気なく使っている扉。玄関の扉。トイレの扉。コンビニの自動ドア。電車の降車口。たくさんの扉を開いて私達は生活しています。
けれどその扉、あなたの目の前にあるその扉。今日もいつもと同じ結果を見せるでしょうか?
玄関を開けたら空き巣に入られている結果が選ばれるかもしれない。
寝室のドアを開けたら愛する人が不倫しているかもしれない。
いつも通り出社したらオフィスが血みどろの殺人現場かもしれない。
開けたくはない結果ではあるけれど、この辺はまだ理解可能な世界。
マンションを出たら他の建物は全て消え失せていたら?
開けた先が断崖絶壁になっていたら?
大量の水が押し寄せてきたら?
蝉がぎっしり詰まっていたら?
異世界に繋がっていたら?
見慣れない扉であっても見慣れたいつもの扉であっても、扉は扉。条件は変わりません。全ては開けるまで決定されていないのですから。
あなたの目の前に扉があります。
開けますか?
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