【前編】コンビニ経営は“頑張り方”より“残し方”で差がつく!!なぜオーナーには「4つ目の式」が必要なのか
最近、コンビニオーナーの発信を見ていて、少し不思議に思うことがあります。
商品の売り方。
売場作り。
発注の工夫。
本部との付き合い方。
現場でどれだけ頑張っているか。
こういう話は多いです。
もちろん、どれも大切です。
商品を売る力も必要ですし、売場を整える力も必要です。
本部とうまく付き合うことも、現場で踏ん張ることも、コンビニ経営では避けて通れません。
ただ、私はいつも思います。
その経営で、最終的にいくら手元に残っているのか。
ここを語る人は、意外と少ないのではないでしょうか。
売上を作る話は多い。
売場を頑張る話も多い。
本部との距離感を語る人も多い。
現場で苦労している話も多い。
でも、税金、社会保険、助成金、補助金、資金繰り、法人と個人のお金の流れ、最終的な手残り。
このあたりになると、急に話が少なくなる。
なぜでしょうか。
私は、ここにコンビニ経営の大きな盲点があると思っています。
コンビニオーナーは店長ではなく経営者です
少し厳しい言い方をします。
多くのコンビニオーナーは、経営者という立場にいながら、実際には店長業務の延長線上で物事を考えているように見えることがあります。
売場を作る。
発注する。
シフトを組む。
人手不足を埋める。
本部対応をする。
従業員を教育する。
現場に入って穴を埋める。
これらはもちろん重要です。
ただし、これはどちらかと言えば、店舗運営の話です。
一方で、経営者が本当に見るべきものは、もう少し先にあります。
会社にいくら残るのか。
個人にいくら残るのか。
税金をどう考えるのか。
社会保険をどう設計するのか。
使える制度を見落としていないか。
資金繰りは安全か。
その投資は将来の手残りにつながるのか。
ここまで見て、初めて経営者の仕事だと思います。
コンビニオーナーは、本部社員ではありません。
雇われ店長でもありません。
自分で資金を負い、人を雇い、税金を払い、借入や投資の判断をする経営者です。
であるならば、見るべき数字も、店長レベルで止まっていてはいけないはずです。
コンビニを語る人の多くが、店舗運営の話で止まっている
これは、コンビニオーナーの発信だけに限った話ではありません。
コンビニ経営を語る人。
コンビニ向けのコンサルを名乗る人。
業界に詳しい立場として発信する人。
そういう人たちの発信を見ていても、同じような違和感を覚えることがあります。
商品の売り方。
売場作り。
発注の工夫。
接客。
従業員教育。
本部との付き合い方。
現場改善。
人手不足への対応。
もちろん、これらは大切です。
ただし、これらの多くは、あくまでも店舗運営の話です。
私が本当に聞きたいのは、その先です。
その改善で、最終的にいくら手元に残るのか。
人件費は構造的に下がるのか。
税引後の利益はどう変わるのか。
資金繰りは改善するのか。
助成金や補助金、制度活用まで見ているのか。
会社としての手残りは増えるのか。
ここまで踏み込んで語られている発信は、意外と少ないように感じます。
「売れる売場を作りましょう」
「本部とうまく付き合いましょう」
「従業員を大切にしましょう」
「現場で頑張りましょう」
これらは、正しいかもしれません。
しかし、それだけでは経営とは言い切れません。
コンビニを語るのであれば、店舗運営だけではなく、経営まで語る必要があると思います。
なぜなら、オーナーが本当に困っているのは、売場の作り方だけではないからです。
最終的にお金が残らない。
人件費が重い。
税金や社会保険の負担が重い。
使える制度を知らない。
資金繰りが不安定。
専門家に何を相談すればいいか分からない。
こういう問題こそ、経営者として向き合うべきテーマです。
それなのに、コンビニを語る側が、店長レベルの店舗運営の話だけで止まってしまう。
私は、ここにもこの業界の大きな課題があると思っています。
コンビニ経営を本気で良くしたいなら、
「どう売るか」だけでなく、「どう残すか」まで語るべきです。
小さな節約に敏感なのに、大きな流出には鈍くないか
ここで、もう一つ不思議に思うことがあります。
日頃の100円、200円の支出には非常に敏感なのに、人件費、税金、社会保険、助成金、補助金のような、もっと大きなお金の流れには意外と無頓着な経営者が少なくありません。
小さな節約には反応する。
でも、大きな流出や取りこぼしには反応しない。
これは、かなり危険な状態だと思っています。
たとえば、人件費。
「時給が上がって大変だ」
「人が足りない」
「募集しても来ない」
こういう話はよく出ます。
しかし、その人件費が本当に必要な作業に投下されているのか。
その時間帯に、その人数が本当に必要なのか。
作業の組み方を変えれば、もっと効率化できないのか。
そもそも、その業務は本当にやる必要があるのか。
ここまで踏み込んで考えているかどうかで、経営は変わります。
税金も同じです。
「税金が高い」
「利益が出たら持っていかれる」
そう言う前に、そもそも税金の着地を事前に見ているのか。
経費設計をしているのか。
設備投資のタイミングを考えているのか。
税理士に具体的な相談をしているのか。
ここを見ないまま、ただ「税金が高い」と言っても、経営は変わりません。
助成金や補助金も同じです。
もらえる可能性のあるお金を調べてもいない。
使える制度があるかもしれないのに、最初から見に行っていない。
専門家に聞くこともしていない。
それでいて、日々の細かい支出には神経を使う。
私はここに、零細企業経営の大きなもったいなさを感じます。
本部に従うだけでも、反発するだけでも足りない
本部との付き合い方についても、同じことが言えます。
本部の言うことをすべて正解として受け入れるのは危険です。
一方で、本部の言うことをすべて否定して終わるのも、同じくらい危険です。
大事なのは、本部が正しいか間違っているかではありません。
自分の店、自分の会社、自分の資金繰りに照らして、
「それは自社にとって本当に利益につながるのか」
を考えることです。
ただ従う。
ただ反発する。
どちらも、自分で経営判断しているとは言えないと思います。
本部の方針を理解することは大切です。
使えるものは使えばいい。
参考になるものは取り入れればいい。
ただし、最終的に会社を守る責任はオーナーにあります。
本部社員は社員です。
オーナーは経営者です。
この違いは、かなり大きいです。
本部が悪いと言いたいのではありません。
本部に従うなと言いたいわけでもありません。
私が言いたいのは、
最後は自分の数字で判断しなければいけない
ということです。
コンビニ経営の基本は3つの式で見える
コンビニ経営の基本は、突き詰めるとかなりシンプルです。
売上 = 客数 × 客単価
粗利益 = 売上 × GP率
最終利益 = 粗利益 − 経費
この3つです。
売上を上げたいなら、客数を増やすのか、客単価を上げるのか。
粗利益を上げたいなら、売上を上げるのか、GP率を上げるのか。
最終利益を残したいなら、粗利益を増やすのか、経費を下げるのか。
ここを分解できていないと、経営はすぐに根性論になります。
もっと頑張ろう。
もっと売場を綺麗にしよう。
もっと声を出そう。
もっと発注を頑張ろう。
もっと従業員教育をしよう。
もちろん、それも大切です。
ただ、それが本当に利益に結びついているのか。
どの作業が、どれだけ利益に貢献しているのか。
どの時間帯に、誰を、何人配置すれば最も効率が良いのか。
その施策は、売上ではなく利益を増やしているのか。
ここを見ないまま頑張るのは、かなり危険です。
今はAIやアプリを使えば、作業時間、人員配置、売上、客数、時間帯別の業務量などを、以前よりずっと見える化しやすくなりました。
つまり、感覚だけで経営する時代ではなくなってきているということです。
経験と勘は大切です。
ただし、経験と勘だけでは足りません。
これからは、経験と勘に、数字とAIを組み合わせる時代だと思っています。
コンビニ版マネーボールが必要だと思う理由
かつて、MLBのオークランド・アスレチックスは「マネーボール」と呼ばれる考え方で注目されました。
資金力で劣るチームが、世間一般で評価される派手な選手を集めるのではなく、独自の指標で「本当に勝利に近づく選手は誰か」を分析し、限られた予算で勝つチームを作った。
乱暴に言えば、
常識ではなく、勝つための数字を見た
ということです。
私は、コンビニ経営にもこの考え方が必要だと思っています。
世間一般の「いい店」像。
本部が考える「理想の店」像。
オーナー同士で語られる「頑張っている店」像。
コンサルが語る「売れる店」像。
それらがすべて悪いとは言いません。
ただし、それが本当に自社の利益につながっているのか。
最終的な手残りにつながっているのか。
ここを見なければ、経営者としては足りません。
コンビニ経営にも、独自の勝ち筋が必要です。
売上だけを見るのではなく、利益を見る。
日販だけを見るのではなく、PLを見る。
人員数だけを見るのではなく、作業量と生産性を見る。
頑張りを見るのではなく、成果を見る。
現場の充実感ではなく、会社に残るお金を見る。
そして最後には、
稼いだ利益を、どれだけ最終的な手残りに変えられるか
を見る必要があります。
私が考える「4つ目の式」
先ほど、コンビニ経営の基本として3つの式を挙げました。
売上 = 客数 × 客単価
粗利益 = 売上 × GP率
最終利益 = 粗利益 − 経費
この3つは間違いなく重要です。
ただし、実際に経営していると、この3つだけでは説明しきれない部分があります。
同じような日販。
同じような粗利率。
同じような人件費率。
同じような店舗規模。
それでも、最終的に手元に残るお金が大きく違うことがあります。
この違いは何なのか。
私は、ここに4つ目の式があると考えています。
この4つ目の式は、単なる売上の話ではありません。
単なる粗利率の話でもありません。
単なる人件費削減の話でもありません。
もっと言えば、
稼いだ利益を、どれだけ最終的な手残りに変えられるか
という話です。
ここから先は、単なる店舗運営ではなく、経営者としてのお金の残し方の話になります。
私は、この4つ目の式こそ、コンビニ経営における本当のマネーボール的指標だと思っています。
次回は、この「4つ目の式」について、もう少し具体的に書いていきます。
売上を作る話ではありません。
現場で頑張る話でもありません。
本部とうまく付き合う話でもありません。
稼いだ利益を、どう手元に残すのか。
この視点から、節税、助成金、補助金、資金繰り、専門家の使い方、AIの使い方について書いていきたいと思います。
