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深夜のバウムクーヘン

シドニー市内の中心にある「無印良品」(MUJI)

食料品の品揃えが増えたとの情報を聞き「不揃いバウム」を買いに行った。

一時帰国時によく食べていた無印のバームクーヘン。
見慣れたパッケージを前に、懐かしさが胸に込み上げた。

日本の無印と比べて種類は少ないが、シドニーで「不揃いバウム」に出会えたことで心が躍った。

「紅茶」と「さつまいも」の不揃いバウムを手に取ってレジへ向かい、会計を済ませると、まるで長年の友人と再会したような不思議な安心感。

パートナーが眠り、ひとりになったリビングの深夜の静寂の中、


そっとバームクーヘンの封を開ける。

ふわりと漂う甘い香り。

大きな案件が続き、ほとほと疲れ果てていた身体に、そのやさしい香りが染み込んでいく。

フリーランスとして数人の「仕事仲間」はいるものの、NDA(守秘義務のようなもの)が絡む案件は仕事の相談を誰にもできない。


誰かに愚痴をこぼすことも、ちょっとしたアイデアを気軽に話し合うこともできない。

そんな制約のなかで、心細さと孤独感に押しつぶされそうになる時もある。

それでも仕事を続けてこられたのは、今夜のバームクーヘンのような小さなご褒美のおかげなのかもしれない。


しっとりとした生地の食感。

控えめで上品な甘さ。

おいしい。

無印のバームクーヘンがそっと寄り添ってくれているような感覚。

「ちょっと休んでもいいよ」と囁いてくれるような気がした。


もう少しだけ、頑張れそうな気がした。


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